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198話 ミドリムシと門


 サークル王国、王都ドットの西門では兵士達により、町に入る者達の検査がされている。


 それは町に入る者全員が受ける必要があり、それを免除されるのは一部の者達だけであった。


「次の者こちらに、荷物の中身を見せてもらう」


 その日も兵士達は、お王都に入ろうとする者達の検査をしていたがそれを中断する事になる。


 ドガァーン!


 突然の衝突音に王都に入るために列を作っていた者達と、その者達の検査をしていた兵士達が驚きその動きを止め、音の原因を見つけるために辺りを確認する。


 その音の原因は城壁にあった。


 その原因に目をむけた者達は、その姿を見て理解できずにぼうぜんとした。


 王都の城壁は、魔物の襲撃や戦争の際に防御の要になるために非常に強固な造りをしている。


 だが、音の原因となった者達は、その強固であるはずの城壁に遠目に見ても確認できる大きな蜘蛛の巣上の破壊痕を作っていた。


 本来であれば、その様な事になれば人々を一時的に王都に収容して門を閉じなければなら。


 しかしこの時その場に居た兵士達は、すぐにその決断を下すことができなかった。


 それは、小さな魔物の背に乗る数人の子供と、直ぐ近くに浮いている水の塊の中に保護されていると思われる緑色をした子供達。


 しかも保護されている子供達は、意識を失っている様に見える。


「ま! まも「すまないが通してくれ、これが冒険者ギルドのギルド証だ」


 それでも魔物と思われる姿に兵士の1人が叫ぼうとした瞬間、その姿は掻き消え目の前に現れると冒険者のギルド証を兵士に向かって突き出した。


 突き出された冒険者ギルドのギルド証に驚くが、そのギルド証を見た兵士は大きく目を見開くと大きな声で叫ぶ。


「道をあけろ! 冒険者チーム【軍団(レギオン)】だ!」


 そう兵士が声をあげると、他の兵士達は検査をしていた町に入る者達を誘導し門への道をあける。


「助かる」


 そう声を上げた兵士に言ったのは、ノームの背に乗ったサラマンダーであった。


 ドン!


 地面にクレーターと大きな音を残し、サラマンダー達は感謝の言葉の後に、再び姿がかき消えす。


「通してよかったのか?」


「ああ、朝方って言ってももう冒険者達が大方出た後に、子供達だけで門から出ようとする集団がいてな」


「通したのか?」


「ああ、冒険者ギルドで依頼をうけていたんだ。通した後、念のためにギルドに確認するために人をやったが問題ないとの事だった。その後、チームの方にギルドから連絡があったのかチームの1人が門まで来て。子供達を通したことに礼を言っていたそうだ」


 ここ最近、騒ぎの中心の冒険者チームに興味がわいた兵士はごくりと唾を飲み込み、意を決してたずねた。


「その礼を言った奴はどんなやつだったんだ?」


「ああ、その礼を言いに来た奴も子供だったようだ」


「はぁ? 子供をよこしたのか? それで良いのか【軍団(レギオン)】は? 」


「ああ、だがその子供なんだが背中から翅を生やしていたんだだと。しかもその翅は虹色に輝いていたらしい」


「蟲人ってやつか? しかし、虹色の翅ってなんだそりゃ?」


「ああ、しかも貴族に使える執事の様にかしこまった礼をしたらしく、その場に居た奴らが思わず敬礼したって話だ」


「しかし、聞く話の全部が嘘みたいな連中だな」


「しかも、その子供は令状を持っていたらしくてな……なんと国王直々だったらしい。レギオンが門を通りたいと言った場合は無条件で通せとのことだ」


「もう、訳がわからんな……」


「ああ、冒険者達は奴らはイカレテルから手は出すなっていってるらしい」


「ああ、本当にイカレテいるな…… それでIランク冒険者か……」


 話し込んでいた2人に別兵士が叫ぶ。


「おい! お前達話していないで仕事をしろ! もう【軍団(レギオン)】は通ったんだぞ!」


「ああ、すまん、すまん」


 そう言って話し込んでいた兵士達は仕事に戻っていく。




それから数時間後


「おい、あれを見ろ。門の横にでっかいヒビがはいってるぞ」


 洞窟の中で干支緑達の後をつけていた、商人の服装をしていた冒険者達の1人が思わず仲間に耳打ちする。


 それに、気づいたのは冒険者達だけでなく列に並ぶ者達の話題になっていた。


「ああ、崩壊してないのが奇跡の様だ」


 冒険者達が町に入る者達の列に並んでいる間にそんな話をしていると、門の方が少し騒がしくなる。


「何かあったのか?」


 思わず、冒険者達の1人がつぶやく。


「なんだろうな? ここからじゃ人が多くてよくわからん」


 そんなやり取りをしているとすぐに騒ぎが収まったのかすぐに静かになる。


「おっ! どうやら収まったらしいな?」


「ああ、そうだな……ん? おい!なんだあれは?」


 門の方を見ていた冒険者は思わず声を上げる。


 思わず声を上げた冒険者の声に他の者達が目を凝らして門を見る。


 すると、ヒビがある城壁とは反対側に列がずれる。


 その様子に他に並んでいた町に入る順番を待っていた者達も騒ぎはじめる。


「おい! ホレストアントが門から出て来たぞ!」


 冒険者達の前の方からそんな声が聞こえてくると、列に並んでいた者達の先頭の方から再び騒がしくなりはじめる。


「なんで、門からホレストアントが出てくるんだ?」


 そう言うと商人の姿をした冒険者達は警戒態勢になる。


「おいよせ! へんに構えるな変相がばれる。様子を見るぞ」


 そう言ったのは冒険者達のリーダー。


 リーダーの言葉に冒険者達は戦闘態勢には移行せず、そのまま警戒態勢のまま様子をうかがう。


 門から出て来たホレストアントは、城壁にヒビが入っている部分の前に集まると綺麗に整列する。


「おいおい、ホレストアントが綺麗に整列したぞ」


「いったい何が起こるんだ?」


 冒険者達が話していると門の方から声が聞こえてくる。


「安心しろ! あれは【軍団(レギオン)】の家族だ! 野良の魔物とは違う! 間違ってもこうげきするな! このまま列を崩さず待っててくれ!」


 そう言いながら複数の兵士がやってくる。その兵士の1人を呼び止めるリーダーの冒険者。


「おい! その【軍団(レギオン)】ってのはなんだ?」


「ん? ああ、よその国から来たのか?」


「ああ、そうだ! 【軍団(レギオン)】って名前を聞いて、安心している奴もいるみたいなんだが、俺達は知らないんだ。気が気じゃないから教えてくれ!」


 冒険者達のリーダーがそう言うと兵士達は冒険者達に説明する。


 冒険者がチラリと他の兵士を見ると、説明を求める者達に説明していた。


「……というやつらだ、すぐに済むらしいから大人しくしててくれ」


「何がすぐに済むんだ? あいつらの事はわかったが……」


「見ていればすぐにわかる」


 そう言うと兵士は列の後ろに歩きながら、先ほどの様に安心する様に言っていく。


 腑に落ちなかったが言われたとおりに冒険者達はホレストアント達の様子を見続ける。


「なんか女の子がでてきたぞ……」


 冒険者が思わずつぶやく。


「なんか城壁を登りはじめたな……道具も一切使わず……」


「ああ、しかもホレストアントも登りはじめた……」


「壊れた部分の周りに綺麗に円をえがいて整列をしたぞ…… もう何がなんだか……」


 冒険者達がその様子を見ていると、不意に城壁に魔法陣が浮かび上がる。


「おいおいおい、魔法で修復するのか? ホレストアントが?」


 その言葉と同時に蜘蛛の巣上の破壊痕が端から順に塞がっていく。


 その後、城壁にあった破壊痕が数分の間に何事もなかったかのように塞がった。


「なんか、あそこだけ他の城壁とは違って綺麗だな……」


「ああ…… しかも頑丈そうだ……」


「魔物が隊列を組んで城壁を綺麗に修復する? しかも、以前より状態がいい? 前言撤回、これが人生最大の驚きだ」


 思わず冒険者の1人がそう言うと他の者達も同意する様にうなずく。


 その後、冒険者と【軍団(レギオン)】の名を知らない者達は、呆然としたまま兵士達に検査をうけ王都にはいる。




 冒険者達が王都に入る数時間前


 その騒ぎの原因になったサラマンダー達は、ダンジョンの中に入り、緑達に説明をしていた。


 眠り続ける、干支緑達に緑と魔緑、腐緑がそれぞれ鑑定で状態を確認していく。


「こっちは大丈夫だ、実を大量に食べていたのは魔力と【超光合成】で作ったエネルギーを大量に消耗したせいだろう」 

 

「だね、こっちも大丈夫だったわ」


 魔緑と腐緑は、自分達が見た干支緑達に問題はないと言い緑に視線を向けると、緑は苦笑いしながらつぶやいた。


「え~っと……1人増えてるね……」


 2人が見つめる中、緑は言いにくそうに事実を告げる。


「「えっ!?」」


 緑の言葉を聞き、魔緑と腐緑も干支緑達の数を数えはじめる。


「12人いるな……」「12人いるね……」


 干支緑達の数を数えた、魔緑と腐緑も事実をもう一度確認するようにそうつぶやいたのえあった。


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