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191話 ミドリムシの冒険者登録(干支緑編)


「よし、これで完成。皆さん喜んでくれるかな?」


「さすがアミさんすごく綺麗にできてます!」


 蟲毒の戦士であった蜘蛛の蟲人の少女は、緑達にアミと言う名を貰っていた。


 アミは緑のダンジョンの中で仕事を探す中、服を作る仕事をすることに決めた。


 そして、現在アミは服を作る工房で緑達に頼まれた服を作っていた。


「これで皆が喜んでくれたらうれしいんだけどね」


「きっと喜んでくれますよ! ヒカリさんも!」


「……かな?」


 そんな中、服の工房の扉を開き人がはいってくる。


「こんにちわ~」


「「緑さん、こんにちわー!」


「ちょうど良かった緑さん、今出来上がった服でっ!?」


 工房に緑が挨拶をしながら入ってくると、工房の中の人達が声をそろえて挨拶をする。


 緑に気づいたアミは今できた服を見せようと緑に駆け寄ったが、緑の後ろから入ってきた人物に気づくと様子を豹変させる。


「なぜお前が居る!?」


 アミは、それまでの様子とは違い荒々しい口調と険しい顔つきになり、体の一部を外骨格が覆う。


 緑に蜜を貰いほぼ人になったアミだが、他の蟲人と同じように戦闘態勢に入ると体を外骨格が覆いその力を大きく増す。


「子供の姿をしていても、戦士の私には気配でわかるぞ! ここに何をしに来た! 闇の龍シェイド!」


「アミ……」「いや、緑待ってくれ」


 アミの様子を見て、緑がアミを落ち着かせるために前に出ようとするがシェイドがそれを止める。


「私はここを守るためなら、勝てなくてもお前と戦うぞ!」


 アミがそう言ったのを聞くとシェイドは両手をあげて話はじめる」


「安心してくれ、私は緑達にぐうの音も出ないほど圧倒的に負けた。ダンジョンの中で私が緑達に逆らって戦う事はない」


「じゃあ、ダンジョン以外で戦うと言うのか!」


「いや、言葉が悪かったな。緑達と今後、私が戦う事は無い」


「……」


 シェイドの言葉を聞いてもアミは警戒を解かない。


 そんな様子を見ていた緑が口を開く。


「アミ安心して、シェイドはここ数日の間、大人しくダンジョンで仕事をさがしてたんだ」


「緑さん…… でもこいつがその気になれば、いくら緑さん達でも駆けつけるまでの間に少なくない被害がでるはずです」


 そんアミの言葉にシェイドが申し訳なさそうに答える。


「そればかりは、信用してもらうしかないな……」


 シェイドの言葉を聞き緑が再びアミの名を呼ぶ。


「アミ……」


「……わかりました、ここは私の様な元蟲毒の戦士でも温かく受け入れてくれました。そんな私が受け入れないのはダメですね……」


 そう言ったアミの体から外骨格が消え失せる。


 そんな様子を見て緑は安心する。


「だが! ここの人達を気づ付けるなら私が絶対に殺してやる!」


 警戒他姓を解いたアミであったが最後忠告とばかりにシェイドに叫ぶ。


「わかった…… 今はそれでいい。私はダンジョンの全ての人に受け入れられように努めるつもりだその目で見ていてくれ」


「……」「……」


 アミとシェイドは目を合わせ黙り込む。


パンパンパンパン


 そんな中緑が手を叩く。


「はい、ここまで! アミにはここの仕事をシェイドに教えてあげて欲しかったけどちょっと今はむりそうだね……」


「……すいません」


「また違う日に声をかけるから、もし教えれそうならその時はお願いね」


「わかりました……」


「その時は、よろしく頼む……」


 そう言って緑とシェイドは工房を出る。


「まぁ、なんだ…… 信用はこれから築けばいいんじゃないか?」


「うむ。やはり自分の過去の清算はこれからしていけばいい」


「そうね。これだけは時間がかかるかもだけど……」


 中の様子を聞いていた3人の龍種がシェイドに声をかける。


「ああ、わかっている……」


 シェイドは3人の言葉にそう短く返事をするのであった。






 それから数日の間


 シェイドは様々な仕事を体験するが肌に合うものがなく、最後の仕事となる。


「やっぱり、皆と同じ仕事が良いのかな?」


 緑のつぶやきにシェイドが反応する。


「皆とは?」


「俺達だな」


 そう答えたはサラマンダーで、その言葉にノームもウンディーネも頷く。


 3人の言葉を聞いたシェイドは思わず緑にたずねる。


「それであれば初めからその仕事を見に行けば時間もかからなかったのではないか?」


 シェイドが思わず言った言葉に緑が反応する。


「それはダメ。皆がしたい仕事をしてもらいたいんだ」


「そうよ、私達もシェイドと一緒で色々もまわったのよ」


 緑の言葉にウンディーネは同意してシェイドをたしなめるように言う。


「そうなのか…… では最後の仕事とはなんだ?」


 シェイドの言葉に緑が真面目な顔になり答える。


「その仕事は、シェイド達みたいに龍種じゃないとうっかり死にかねない仕事なんだ」


 緑の言葉にシェイドは息を飲み、緑の言葉をまつ。シェイドの顔つきが真剣なものになったのを見て緑が続ける。


「その仕事は子守りと言えばいいのかな?」


 そんな緑の言葉にシェイドが目を丸くする。


「子守りとは? 子供の面倒を見る事だったと思うのだが他の者達なら死にかねないとは?」


 シェイドの言葉にウンディーネが思わずこぼす。


「たしかに私達以外だと事故が起きた時に死人が出るかもしれないのよ。可愛くていい子達なんだけど持ってる力が強すぎるから……」


「お前も見ていたはずだぞ」


「ああ、間違いなくな」


 ウンディーネの後にサラマンダーとノームも続く。


「ダンジョンの中でか?」


 シェイドの言葉に緑が答える。


「いや、はじめて見たのは僕達が戦ったあの舞台の上だよ」


 そう言われてシェイドは記憶の中を探す。


「子供。子供。たしか…… 緑の弟妹だったか!?」


 思い出そうと考えていたシェイドがはっとして答える。


「「正解」」


 シェイドの言葉に3人の龍種が反応する。


「確かにヒカリと戦った奴が死なない様に回復の実をくわせていたが……」


 その時の光景を思い出すシェイドにノームがある事実を告げる。


「あの子達も必死だったのだろう、回復の実を無理やり食わせるとき牙を殴り折って実を口にねじこんでいたからな……」


「その話は本当か!?」


 ダンジョンで過ごした中で1番の驚きの声をシェイドが上げた。


 あの舞台で戦った龍種は龍種の中でも上位になる者で、そんな彼等の牙や爪は、普通の冒険者には折ることが難しい、それこそs級と呼ばれる者達であっても。


 そんな事は知らないシェイドであったが、自分達の牙や爪が他の種族にそうやすやすと砕かれる事はありえないと考えていた。


 だが、その牙を緑の弟妹はそれこそ小さな子供にも関わらず、それを砕いた事実に驚きをかくせなかった。


 そんな強力な力を持っている子供の世話が容易でない事はシェイドにも想像ができた。


「それは他の種族では下手をすれば死んでしまうな…… そんな子供が11人……」


「そうなんだよね、僕やまーちゃん、ふーちゃんが常についておくわけにはいかないしね…… それで、サラマンダーやノーム、ウンディーネに一緒にいてもらっていたんだ」


 そんな言葉にシェイドは質問する。


「それはわかったが、最近は3人とも私についてダンジョンを周っていたがその間はどうしていたんだ?」


「それは、ヒカリ、クウ、兜にレイやファントムが一緒にいてくれていたんだ」


「なるほど…… あの者達なら我等龍種と同じかそれ以上の力を持っている彼等なら、大丈夫か……」


 緑の言葉を聞いて、自分のために迷惑をかけていたんじゃないかと思ったシェイドは安心する。


「それもずっとは無理だから、シェイドは今日3人と一緒に干支ちゃん達の世話を経験して欲しいんだ」


「ふむ、それならば役に立つことができそうだな……」


「なら、さっそく干支ちゃん達のところに行ってみよう」


 そう言って緑は干支達の元に向かうのであった。




 しばらくダンジョンの中を歩いた5人は、緑のダンジョンの冒険者達の通う学校につく。


「ここが干支ちゃん達が通う学校なんだ」


「ほう、たしかにここにある建物の中には大勢の気配があるな」


「ここでは沢山の人達が色んな仕事の勉強をしてて、その中の1つに冒険者になるための勉強をしているんだけど、干支ちゃん達はこと戦闘に関してはかなり他の冒険者達とは違うから戦闘の勉強は龍種の皆が見守る中、自分達で勉強してもらおうと思うんだ」


「なるほど、では今からダンジョンから出て魔物と戦いにいけばいいのか?」


 そういったシェイドの言葉に緑は苦笑いする。


「いや今日は、皆には干支ちゃん達が冒険者登録をするのを見守って欲しいんだよ。それでシェイドには後で今日あった事を僕に報告して欲しいんだ」


「という事は緑は、一緒にはいかないのか?」


「僕が一緒にいくと、僕の身内ってわかっちゃうから本当の冒険者ギルドの事がわからないと思うんだ。だから、今日は子供の姿になれる皆に一緒に言ってもらいたいんだ」


「なるほどな…… おっとさっそくお出ましか」


 緑とシャイドが話していると遠くから緑を呼ぶ声が聞こえてくる。


「「おにいちゃーん!」」


 その声の聞こえた方向に緑達が顔を向けると、干支緑達が猛烈なスピードでかけてくる。


「こら! 皆走ったら()()()があぶないでしょう!」


 干支緑達のスピードに思わず緑がさけぶ。


「「ごめんなさーい」」


 そういってスピードを落とし緑の元に来た干支みだり達に向かって緑はなしはじめる。


「これから、僕は一緒にいかないからちゃんとしないとダメだからね。皆の言う事を良く聞くんだよ」


「「はーい」」


 本当に大丈夫なのかと心配になる緑だが、龍種の4人の方に顔を向ける。


「じゃあ皆、僕の弟妹をお願いするね」


「ああ、大丈夫だとおもうぜ」


「うむ、まかせろ」


「みんな、緑の居ないところではちゃんとお利口にするわよ」


「まかされた」


 サラマンダー、ノーム、ウンディーネ、シェイドが順に緑に返事をする。


 その言葉を聞いた緑は干支緑達の方に振り返り再び口を開く。


「みんな、他の人に迷惑をかけちゃだめだよ。あとわからない事があれば龍種の皆に聞くんだよ」


「「はーい」」


 干支緑達は手を上げて緑に返事をする。


「じゃあいってらっしゃい!」


「「いってきまーす」」


 そう挨拶をすますと【超ミドリムシ】11人と龍種の4人の子供達はダンジョンの外に向かうのであった。




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