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17話 ミドリムシの仲間は強かった

 

 先ほどまで絶望していた冒険者達はうってかわって今大騒ぎをしていた。


「うめ~なんだこの料理は!酒がむちゃくちゃ進むじゃねぇか!」


「あんた達わかってないね!このデザートは他のものと比べる事自体がおこがましいよ!」


 ほとんどの冒険者達が食事の旨さに驚き次に酒を飲み驚く。緑の得意な水魔法のなかでもこの世界の冒険者が想像しなかった氷の魔法、緑はそれを食品や酒を冷やすことに使ったのであった。無尽蔵なエネルギーを持つ緑は他の冒険者と比べ物にならないほどの魔法を使い続けた。


 主に食品を冷やすために。この世界の人々は氷の存在を氷が自然に張られる環境の地域に住んでいる人達以外は、あまり認知していなかった。


 それに気づいた緑は食事や酒などに0度近くになるまで冷やす料理や酒を出したそのため、そんな概念が無かった冒険者達は大喜びをする。


「がはははは! 緑またやりやがったな! 」


 シャークが緑に絡む。シャークは自分の妻の件いらい緑に絶対の信頼を寄せている。


「ここまで来ればマスターが緑達に今までのランク以外のランクを付ける事に文句をつけるやつもいないんじゃないか?たしか、『いかれたランク』で Iランクだっけ!?だったか?」


「あはははははははは!」


 この時、ダンジョンに入った冒険者達は自分達が聞いたこともないギルドマスターの笑い声をきく。


 それを聞いた冒険者達はギルドマスターとの心の距離が近づき全員で騒ぎ倒すのであった。



 翌日、起きた冒険者達を襲ったのは壮絶な二日酔い。


 建物の2階にに用意された各々の寝床から1階に降りてきた冒険者は先に起きていた冒険者が清々しく朝飯を食べている風景に疑問を抱き質問する。


「なんで、お前ら二日酔いになってないんだ?」


 後から起きてた冒険者が聞くと先に起きていた冒険者達はすっと指さす。その先には見たこともない果物がおかれていた。その果物に近づいていくと書置きがあった。


 それには、二日酔いがきつい方は食べてください、と書かれていた。昨日ダンジョンに入ってから不思議な事続きであった冒険者達は迷いなくその果物にかぶりついた。すると果物にかぶりついた冒険者たちの顔がみるみる普段の表情を上回る笑顔豊かなものになった。


「「うまい!」」


 一般人より良い暮らしをしている上級冒険者達よりかなり高評価を昨日から受けている緑は笑顔である。そんな緑を見つけシャークが緑に絡む。


「緑、俺とアランのチームはここに扉が開いてる間自由に出入りしていいとギルドマスターに言われたが本当にいいのか?」


 緑はそんな事は一切聞いていなかったがアランとシャークのチームが自分たちのチームのストッパーとしてギルドマスターから言われたと理解した緑は笑顔で答える。


「お2人のチームなら大歓迎です!いつでも来てください!」


 アランはシャークが緑のストッパーになるのかと不安を覚えながらその様子をみていた。


 そんな時建物の外から大声が聞こえる。


「ご来店いただいた冒険者の方々!いっちょ俺と勝負をしていかないか!?」


 それは兜の声であった。


 緑達も外に出ると兜が緑に向かって叫ぶ。


「大将おはようございます!こちらの冒険者の方々と一戦まじえて俺に勝った方々には褒美がもらえるという約束忘れてないですよね!?」


 兜が緑に確認する。緑は自分が負けた時の相手の報酬を確認するのは兜が勝負に真剣に向き合ってると考えるが兜はその餌につられた上級冒険者と戦いたいだけであった。


「「おお!!」」


 それを聞いた冒険者達は騒ぎ出す。ご褒美とはなんだ? 今までの待遇がご褒美ではないのか? 今まで食べたことが無い飯や酒。次の日、飲みすぎた症状を一瞬で治す果実。これよりさらに上のご褒美とは?未知を求める冒険者たちの心を大いに揺さぶる。


 兜に挑戦しようとする冒険者達。


 しかし、兜が言うのは冒険者1人1人ではなくチームで戦えという。これには冒険者達も楽しい雰囲気を保てない。ここにいるのは仮にも生活には余裕がある上級冒険者達そんな者たちに1人の者と戦うのにチームで戦えと言う。


 そんな時ギルドマスターが叫ぶ。


「アラン!そいつを確実に倒すならお前はどんなチームで戦う!?」


 アランがそれを聞いて叫ぶ。


「俺なら! 確実に倒すならチーム全員で戦う!」


 s級間近と言われているアラン達のチームでありながらリーダのアランが確実にチーム全員で戦うと言う事に驚く冒険者達だがアランに対しての信頼度は高いが調子に乗った馬鹿にお灸をすえる、そんな考えでチームで冒険者達が兜に挑む。


 結果は冒険者達の完敗であった。


 試合開始そうそう兜の体が変化する。もともと2m近くあった筋骨隆々の男がまさしく変身する。それは、5mほど虫の外骨格を持った巨人であった。それまで自分達がお仕置きをするつもりであった冒険者達は即座に意識を切り替える。


 しかし、それは上級者同士の戦いでは致命的なスキなった。モンスターのランクと冒険者のランクの違いは、モンスターのランクは単体でつけられるランクに対してあくまで冒険者のランクはチームでのランクであった。そのチームが殺し合いではないとは言え油断をしたまま戦闘を開始したのである。


 兜は戦闘開始直後、自分の戦闘力を遺憾なく発揮できる姿に瞬時に変貌するそれは2mの大男から5mの巨人に。それだけは飽き足らず元虫のモンスターだけあって体の関節部を除くほとんど体表を強固な虫の外骨格で覆われた姿に変化する。


 それに反応し後衛がチーム全員に強化の魔法をかけようとするが彼、彼女らが見た光景は自分達を守るように離れて前方に立っていた前衛の冒険者の背中がすぐに目の前に迫る光景であった。


「兜!止まって!」


 そんな緑の声が響く中、戦闘をすると決められた範囲内で今まで動いていた者たちを含め全員が動きを止める。


 それは冒険者達の安否を気遣った緑が兜も含め吹き飛ばされた冒険者達を緑の髪で絡めとり動きを止めたためであった。


「それまで!兜とやら油断した冒険者に腹を立てるのもわかるが実力が違うものに大けがさせたとなるとお前の主の緑の評価も悪くなるぞ。そんな事はのぞんでいないだろう?」


「確かに……」


 モンスターの頃から強いものと戦うための旅をしていた兜からすれば戦う相手を過小評価し油断するような者たちには腹が立った。だが自分よりも実力が劣る者たちにケガをさせるなという裏の意味を含んだ言葉にうなずくしかなかった。


 そんなやり取り見ていた冒険者達はまじめに兜に挑戦を始める。本来冒険者とは挑戦者である。そんな者たちが大けがはするかもしれないが死なないよう相手が手を緩めてくれる状態で尚且つ自分たちのチームより強い者が相手をしてくれる状況に飛びつかないはずがなかった。


 そんな兜と冒険者たちとの腕試しは昼過ぎでおわる。なぜなら緑達が食事を用意したため、兜と冒険者の一致の意見で腕試しを終えるのであった。



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