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164話 ミドリムシの会議


「ああ、サラマンダーの言う通りだね。そろそろ話をもどそうか……」


 そう言ったのは魔緑の発言で顔を凍り付かせていた緑であった。


「僕が眠っていた間に進んだ事を教えてもらいたいんだけど……」


「それは俺から説明しよう。まず、お前が倒れた原因ん蟲毒の戦士の風習の話からだな」


 魔緑がそう言うと思わず緑は顔をしかめる。風習の話を聞き怒りを抑えられずスキルの暴走が起こり魔王になった緑。緑が暴走する前に怒りのあまり空に向かって広範囲に強力な魔法を放った魔緑も気持ちの良い話ではなかったが確認のために話はじめる。


「まず蟲毒の戦士を作る風習だが……蟲人の中でも強い種族の子供達を集めその子供達で殺し合いをさせ、ある一定の人数にまで数を減らす……」


 そこまで言った魔緑は黙り、その黙った魔緑の口の端から血が流れる。ここまでの話でも魔緑の中で激しい怒りにより唇を噛み、その怒りの大きさから唇を切る。


 少しの沈黙の後に魔緑は続ける。


「そこで残った、各種族の者達は新しい部族の代表となる……その代表者は、そこから数年種族のトップとして先頭をきりつつも戦いつつも子供を産む……」


 そこまで言って魔緑が怒りで我を忘れそうになり、机を殴りつけそうになるが緑が声をかける。


「まーちゃん、僕みたいにならないで……」


 怒りで暴走し魔王になった緑が魔緑に声をかける。


「ああ……そうだな……」


 魔緑が黙り、怒りを落ち着けようとしている姿をみて緑がぼそりと呟く。


「ごめんね……魔王になった僕が言う事じゃないけど……」


 それを聞いた魔緑は目をつむり自分自身を落ち着かせる。目をつむり落ち着いたところで話を再開する。


「子供をある程度作ったその代表者は、その身を種族の者達に捧げる……」


 その言葉を魔緑が言うと。静寂が訪れ、誰のものか分からない啜り泣く声が聞こえてくる。


「その代表者はその種族の者達の間で食われ、次世代を生む力にされる……」


 その言葉を放ったのは魔緑ではなく、腐緑であった。魔緑がそこまで聞き怒りのあまり空に向かって、魔法を放った後にその魔法から国を守るために結界を張った腐緑。


 そう言った腐緑は笑顔を浮かべながら涙を流していた。


 事あるごとに涙を流した【水野 緑】その強さは涙の数に比例して力を持ったのかもしれない……。


「はい……蟲人の達の中でも蟲毒の戦士を生み出す事が多い種族の中では……今言われた風習がずっと続けられてきました……」


 その言葉を言ったウィスプは、その顔は涙でぐしゃぐしゃに汚していた。戦わず土地を豊かにしようと戦っていた蟲人達の国に味方し、その代表になったウィスプはこの現状を何とかしようとあがいていた。その現状を他人の口から確認すると涙を流さずにはいられなかった。


 敵対する蟲人や龍種に負けた蟲人達やその家族の末路を知っていながらもその蟲人達に同情する。割り切って敵対する相手を憎みきれなかったウィスプにすれば、緑の言った「この大陸を幸せにしにきました」その言葉はまさに救いの言葉であった。


 自分達が言いたかった言葉……決して口にできなかった言葉、なんとしても言いたかった【言葉】ウィスプは耐えられず咽び泣く。


 その後に誰も言葉を発さない。少しの時間が経った後口を開く者がいた。


「皆を幸せにするよ!」


 ウィスプだけではなく、戦いをやめ土地を豊かにしようと考えた蟲人達の代表者達が緑の言葉を聞き跪き嗚咽を漏らす。


「緑様! 今後の動きどうしましょか!」「なんでも言ってください♪」


 この大陸に来る前に涙を流し、この大陸の者達を救いたいと叫んだヒカリとクウが緑に問う、顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら。


緑の家族の会議が終わった日から、緑の家族による蹂躙が蟲人と竜種が戦う大陸ではじまった。




◆◇◆◇◆◇◆◇




「ぐうぅぅ……お前は何者だ、そんな人族の子供が我をたおすとは……」


「馬鹿が! ここまでされてまだ俺が分からないのか!? 本当に今後の龍種の道はどうなることやら……」


 そう言ってサラマンダーが子供の姿から龍種の体に変貌する。


「あ! あんたは!?」


 龍種の姿を見せたサラマンダーに気づくと倒された龍種は驚きの声を上げる。


「馬鹿がしばらくの間眠るがいい!」


 その言葉を最後に若い龍種は意識を失うのであった。


 そんな龍種の姿に戻ったサラマンダーに声をかける者がいた。


「終わったサラマンダー?」


「はっ! 魔王様! ご命令は完遂しました!」


「もう! やめてよ! そんな仰々しくするのは!」


「くししししし! すまん緑、少し雰囲気を出そうとしてしまった」


 緑は、笑うサラマンダーを見て、話をかえようと思い他の家族の事を考える。


「他の皆はうまくいってるかな……?」


 家族の事を考え思わずこぼれた緑の言葉にサラマンダーが反応する。


「お前の家族の力を借りているんだ、負けるはずがないだろう」


 今、緑達家族はそれぞれ緑、魔緑、腐緑、干支緑達を支援の中心としいくつかのグループに分けていた。


 そのグループは、いずれかの【水野 緑】とヒカリ、クウ、レイの子供達を均等にわけ、さらに龍種、蟲人達も属性を偏ることなくわけ構成されていた。


 それぞれのグループが均等にはなれ別の場所から闇の龍種シェイドを目指し歩を進めていき、その途中にある蟲毒の戦士を輩出する種族を片っ端から倒していく。


 そんな中、獣人国を襲った病を蟲人達に植え付けた蟲毒の戦士に遭遇するのであった。



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