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16話 ミドリムシのダンジョンにいらっしゃいませ~


 翌日、元アサルトビートルは兜とデッドマンティスはレイと緑に名前を貰う。


「大将! いってらっしゃいませ!」


「緑さん〜 いってらっしゃませ~」


 2人はダンジョン内で新しく人に成った体に成れるために修行をしたいと緑に伝え、緑達とは別行動をとる。緑達とアラン達は今日も山の中で動物をダンジョンに誘い込むのであった。


 数日後、緑達は動物をある程度ダンジョンにいれたら場所をかえ動物をダンジョンに入れるのをくりかえしていた。


「今日で動物をダンジョンに入れるのは終わりにして街に戻りましょうか」


「ああ、そうだな行きと帰りを合わせると10日ほどになるか・・・・」


 しばらく街にもどっていなかったが緑のダンジョンの居心地の良さで宿に戻らなくても苦にならないためにアラン達も山にこもり始めてから日数の事を忘れていた。


 翌日朝早くに緑達は馬車に乗り込み街にもどるのであった。完全に日が落ち門が閉まる少し前に街の入り口に着き兜とレイの説明をし中に入れてもらうと馬車を返しギルドに行き山から帰ってきたことを伝える。


 そして、兜とレイのギルドの登録をすませると山にこもっている間に討伐したモンスターの討伐部位をわたし報酬を受け取る。その後アランに言われるままギルドマスターを訪ねるのであった。


「なるほど・・・・。とりあえずここでダンジョンの入り口を出すことができるか?」


「はい、今あけますね! ダンジョンオープン!」


 緑達に続きアラン達ギルドマスターとダンジョンに入っていくのであった。入った瞬間ギルドマスターは驚き周りを見回し、ため息を1つはき緑に紅茶を1杯入れてもらうように頼むのであった。ギルドマスターは出された紅茶の香りを楽しみ一口飲む。


「うまいな・・・・ それに体が軽くなった。緑いつから店を開ける予定だ」


「まだ当分先だと思います」


 それを聞き緑に提案をする。まずギルドマスターは緑が店を開けると大量の人が集まって来ることが予想される事を伝える。


 そして、緑のダンジョンに入れる人間はギルドで管理しようかと尋ねる。


「それは、俺も思っていた。緑がもし店を開けばそれこそパニックが起こるかもしれない。それを防ぐためにギルドが管理をするのは良いことだと思う」


 ギルドマスターのギルドで管理するということに対してアランが賛成する。


「ギルドの依頼には『赤い依頼』というものがあり報酬に見合わない依頼がある。これは、一般的に貧しい村や子供や老人の依頼であるが冒険者もなかなか手を出さないことが多い。冒険者も慈善事業でないから仕方がないがこの依頼をある程度こなしている冒険者もしくはその冒険者たちの紹介を受けたものだけが緑の店に入れることにするのはどうだろうか?社会貢献をする冒険者と考えればその性格も善であると考えられる、そんな冒険者の知り合いであれば王族や貴族でも問題ないと考えられる」


「わかりました、その様にお願いいたします」


「緑あとお前のダンジョンの勢力の数をギルドマスターに報告しておけ」


「ダンジョンの勢力?」


 その言葉にギルドマスターが反応する。緑は今現在ダンジョン内にいるヒカリ、クウ、レイが生み出した子供達の数を報告する。それを聞いたギルドマスターは緑にダンジョンから溢れるなんてことになるなよと釘をさすのであった。


 ギルドマスターへの報告が終わり全員がそれぞれ仕事場や宿に戻る。


 1人仕事場に戻ったギルドマスターは緑の扱いは細心の注意を払わなければならないと自分に言い聞かせる。


 緑から聞いたダンジョンの勢力は下手をすれば小さな国なら亡ぶレベルの戦力でありギルドマスターは以前アランとシャークを交え3人で話した時にドラゴンにただの紐で首輪をしている気分だという話をしたがいよいよ緑の戦力が本当にドラゴンクラスとすでに同等なのではないかと考えるのであった。


 翌日、ギルドマスターより『赤い依頼』を複数たっせいした冒険者のいくつかのチームがギルドの会議室に呼ばれる。


 アラン達が部屋に入るとシャークのチームがいた。


「おい!アランこの呼び出しはなんなのか知っているか」


 シャークの質問に答えずらそうにしていると部屋にギルドマスターが入ってきた。


「皆忙しいところ呼び出してすまんな。ここに来てくれたことが100%お前たちの得になることは私が保証する。とりあえず話を聞いてくれるか?」


 そういうとギルドマスターは緑達の事をぼかしてダンジョンの事を話始めた。話を聞き終わると冒険者達は騒ぎ出す。そんな人に害を及ぼさないダンジョンがあるのか? それを管理するものがいるらしいがそいつは人間なのか? 食べたこともないような食事を食べれるらしいが値段はいくらだ? などなど冒険者の興味は尽きない。


「今から、その一端を見るためにダンジョンに向かうついてきたい奴だけ来い」


 ギルドマスターがそう言うと隣の部屋に続く扉を開ける。そこには緑のダンジョンに続く扉があった。


 今回の扉は大柄な人間が3人ほど同時に入れるような扉でありギルドマスターがそれを開ける。部屋には扉だけがありその後ろには何もなく魔法を操る冒険者達は非常に興味深げに見ていた。いざ冒険者たちが扉をくぐると驚きの声を上げる。


「どうなってるんだここは? 俺たちはもどれるのか?」


「あっちには川や山まであるぞ!」


 そんな冒険者達をよそにギルドマスターは少し離れたところにある建物の扉を開ける。


「おい!お前たちこちらに来い!」


 その言葉にしたがいダンジョンに入った冒険者達はギルドマスターに続き建物に入る。そこに20個以上の机があり、その1つ1つに10個の椅子が備え付けられている。


「とりあえずチーム単位でいいから席につけ」


 ここに呼ばれる冒険者達は素行の良いものがほとんどであるがギルドマスターからの指示のためことさらおとなしくその指示に従う。


 全員が席に着くと奥の扉が開き各20匹ほどのキラービーとホレストアントが入ってくる。それを見た冒険者達が戦闘体制に入ろうとするがギルドマスターが落ち着くように言う。そんなやり取りをしていると最後に緑、ヒカリ、クウ、レイが入ってくる。


 緑を見た1人の冒険者が叫ぶ。


「あいつは、シャークさんともめたゴブ……」


 ゴブリン野郎と続けようとした言葉は離れた場所に座っていたはずシャークの手によって口を塞がれ

ていた。口をふさいだシャークが緑達に向かって言う。


「おーい、緑こいつは新しいお姉ちゃんの子供か?」


「そうなんです!まさか勝手に子供たちが動こうとするとは思ってなくて!すいません!」


 離れた位置なので若干緑が声を強めシャークに謝る。口を押えられた冒険者がシャークに後ろを見るように言われ振り返るとそこにはデッドマンティスがまさに自慢の鎌を冒険者に振りかざそうとしていたところであった。シャークは左手で冒険者の口を押えると右手でデッドマンティスの鎌を掴んでいた。


「皆さま初めましてレイと申します~ このたび緑さんの家族にしていただきました~ 元皆さんの言うところのデッドマンティスです~ 子供達もこの部屋には20匹ほどいますので宜しくお願いいたします~」


 のんきな話し方とは裏腹に言い放った言葉はこの部屋にデッドマンティスが20匹は居るという事実であった。

 

 デッドマンティスとはB級のモンスターであるがそのランクの高さは周囲の景色に溶け込み相手に己を悟らせない部分が大きいモンスターである。


 だが決して戦闘能力が隠密行動できる部分に頼っているものではないことが重要で仮に姿を現した状態で戦ってもB級の評価を受けたモンスターである。


 そんな言葉を聞いてまたもや冒険者達は戦闘態勢に入ろうとするがギルドマスターが叫ぶ。


「騒ぐな!このダンジョンの中にいる戦力からみればここにいる者たちの数はごくごく一部だ!入り口はダンジョンの外から開ければそこで固定となるが入ってきた場所を思い出せ!それがどういう事か考えろ!」


 今までの会話ですら衝撃を受けていた冒険者達は絶望する。ここにいるモンスター達がこのダンジョンにいる者達のごくごく一部と叫んだギルドマスターの言葉に。そして、考えるここの扉がギルドの会議室で開けられた事を冒険者達は考えた末おとなしく何が起きるか見守るのであった。





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