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137話 ミドリムシの家族の戦術


 兜が見せた笑顔に冒険者達は唖然とする。その笑顔からは先ほど冒険者達がチームで戦っても敗れる魔物を苦にしない兜の戦闘力がうかがえるた。


「誰かケガはしてないか?」


 そう言った兜に対してリーダーの冒険者はあわてて返事をする。


「助かった! ケガは大丈夫だ! うちのチームには回復魔法を使えるメンバーもいる!」


 冒険者からの返事を聞いた兜は、自分の持つバックの中からいくつかの実を取り出し冒険者達に放り投げる。冒険者達は実をキャッチすると実に視線を向け、その後これはなんなのかと兜に視線を戻す。


 その視線に気づいた兜は冒険者達に向かって説明する。


「体力回復の実と魔力回復の実だ。それ食ったら王都に向かって走りな」


 そんな兜言葉をどこか夢でも見ているかのように聞いていた冒険者達は、突如現実に引き戻される。なぜなら自分達の周りに大量のホレストアントが集まってきたためであった。


 ホレストアント達に気づいた冒険者達は慌てて振りかえる。今まで王都に背を向けるかたちをとっていたために気づかなかったが王都から自分達の立っている場所まで道ができていた。


「なっ! なんだ! この数は!」


 そのできた道を見た冒険者の1人が思わず叫ぶ。道ができていたと思ったのはホレストアント達が地面を覆いつくすほど溢れているにもかかわらずある一定の場所を避けていたためそれが連なり王都までの道にようになっていた。


「ホレストアントが道を作っている?」


 冒険者達その事実を飲み込めずに再びぼうぜんとする。そんな様子を見て兜が再び口を開く。


「あんた達、このホレストアントは俺達の家族だ。命を奪おうとでもしなければ決してあんた達を襲う事は無い。それは冒険者ギルドも保証してくれるだろうし、俺も冒険者だ」


 そう言って兜は冒険者ギルド証を見せる。


「「チーム【軍団(レギオン)】なのか!?」」


 それを見た冒険者達はそこに書かれていたランクに驚き叫ぶ。


「あんた達からするとこのホレストアントも魔物に見えるかもしれないが、さっきも言ったが俺達のチームの家族だだから怖がらないでやってくれ」


 そう言われて子供達に視線を移した冒険者達に向かって子供達が足を上げ挨拶する。そんな子供達と冒険者達のやり取りをよそに兜がつぶやく。


「クウの子供達が戦闘を開始したか……」


 そう言って兜の視線の先を確認したーダーの冒険者は顔を引きつらせる。他の冒険者達もリーダーの視線をおう。視線の先ではホレストアント達が森からでてきた魔物と戦っていたのだが、ホレストアント達はもともと集団で戦う魔物であるがそれは魔物の知能のレベルの話であり、今見ているホレストアント達は人が使う戦術レベルの連携を取り魔物達を次々と倒していた。


 特に冒険者目を引いたのが体長が4mほどもある個体も見つけられ、その大きなホレストアントを中心に自分達よりも大型の魔物も危なげなく倒す姿。


 冒険者達がクウの子供達の戦闘に目を奪われているその時、空から咆哮が聞こえ冒険者達が視線をその咆哮のでどころにむける。


「ワイバーンだ!」


 魔物の中でも空を飛ぶ魔物はやっかいであり、その中でもワイバーンは強い魔物のため冒険者達は顔を青くする。


「あんたも逃げろ!」


 そう言って空から自分達の方に向かって急降下してくるワイバーンから逃げようとするが兜の発した言葉で動きを止める。


「大丈夫だ、見ておけ」


 そう言った兜の体みるみる大きくなり昆虫の様な外骨格に覆われる。


「あ、あんたも魔物か!?」


 思わず叫んだ冒険者の言葉に兜はニヤリと笑い答える。


「半分正解!」


 そう答えた兜が地面に刺さっていた自分の斧を片手で持つと急降下してきたワイバーンに向かってまきでも割るかのように振るうとワイバーンはあっさりと両断される。


「そろそろ、あんた達も王都に向かいな。まだ少し魔物は残っているからな」


 冒険者達にそう言うと兜は他に逃げ遅れているものはいないかと辺りを見渡しその巨体には似つかわしくない速度で走っていくい。


 その後ろ姿を見たリーダーの冒険者は叫ぶ。


「とにかく助かったんだ王都に向かうぞ!」


「「お、おう……」」


 そう言って走り出すリーダーの冒険者その声になんとも歯切れの悪い返事をし仲間の冒険者達も王都に向かって走るのであった。




 兜が冒険者達を助けに向かう少し前、王都の城壁の上で警備をしていた者達は空を見上げ青い顔をしていた。


 王都の城壁の周りに集まった人々に魔物が集まり始めた時、チーム【軍団(レギオン)】がその魔物を対処すると連絡を受け警備の者達は安堵していたのだが王都の中心から大量に何かが空に飛びあがり始めたのを見て城壁の上で警備をしていた者達はその様子を注意深く見ていた。


 その飛び上がった物は四方八方に進み始め、王都をの外側に円状に作られている城壁の警備の者達との距離を縮めていく。


 しばらくすると城壁の上で叫び声があがる。


「おいおいおいおい! キラービーだ! あの飛びあがっているの全部がキラービーだ!」


「なんて数だ! 何がどうなっているんだ!」


「王都の中心からなんでキラービーが!?」


 まさに城壁の上で警備をしていた者達は蜂の巣をつついたような状態に落ちている。兵士達が慌てふためいていると王城より連絡が兵士達に届けられる。


 それは、王都の中心から飛び立つキラービーはチーム【軍団(レギオン)】の家族ために手を出すなという事であった。


「あれが全部家族とかどうなってるんだ……」


「イカレタチームだ……」


 単純な目測だけで数千はくだらないと思われるキラービー達が王都の中心より続々と飛び立つ。そんな光景をみてあぜんとしている警備の者達をよそにヒカリの子供達は城壁の外の上空に整列し始める。


「俺は、今後何が起ころうが今日ほど驚くことはないと思う……」


 警備の1人がぼそりとつぶやくとそれを聞いた周りの者達も思わずうなずく。


 そんなやり取りをしていると1人の者が気づき声を上げる。


「おい! 王都の中心の上空になんか光ってるものがあるぞ!?」


 その声に反応した警備の者達は視線を向ける、それはキラービー達の準備が整うのを待っていた光りの翅を生やしたファントムであった。


 ファントムが司令塔のキラービー達に攻撃を開始することを伝えると、さらにその者達が城壁の外の上空に待機している者達の元に合流すると緑の爆弾の実による空襲が始まる。


 キラービー達が自分達の国を守ってくれているのはわかっていたがその空襲の光景をみた警備の者達は息をのむ。その空襲の光景はまさに地獄絵図であり、だれか巻き込まれたりしていないかと心配するほどのものであった。


 その後、空襲を受けた魔物がその数を大きく減らし、それを確認したキラービー達は空の魔物に対応するべく数匹のグループに分かれ魔物の元に向かっていく。。


「なぁ…… さっきのセリフ撤回はする、今この瞬間からにする……」


「……俺もだ」「……俺も」

  

 この攻撃を王都がうけたらと一瞬想像しそうになった警備の者達はすぐに頭を振ってそんな事はあるはずがないと自分達に言い聞かせるのであった。


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