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130話 ミドリムシの謝罪

今回は商人の話です。


 私は獣人の国のとある商人、ここ最近噂になっている人族の国から出発したチームでありながらエルフの国、ドワーフの国を通り、ここ獣人の国に入ったチーム【軍団(レギオン)】と何とか縁をむすべないかと考えていた。


 彼らの噂は以前からも聞くことがあったがその内容があまりに常識からかけ離れていたため、私でも信用できなかった。


 だが、先日我が国の王が彼らの功績を全ての街に発表した。それは、エルフ、ドワーフの国に1番近い場所にある街をスタンピードから救ったというものであった。


 その発表と共に【軍団(レギオン)】が獣人国の王都に向かっていると情報を聞き街道を急いで進む事にした。彼らがエルフ、ドワーフの国に1番近い街から王都に行くなら進行経路が予想できた。その道で出会い、更に話をしなんとしても縁を結びたい。


 【軍団(レギオン)】と出会う可能性があるとすれば、情報の伝達速度などを考えると、今私達が進んいる道と幾つかの道が合流する場所の少し先になる。その付近で出会う事が出来る可能性が高いと考えている。


 普段なら定期的に入れる休憩を少し削り道を進んでいた。いや、少しではなく何とかチーム【軍団(レギオン)】とで会う事が出来ないかと大幅に削りながら急ぎながら進んでいた。


 そんな時、商隊の先頭から合図がある。それは、何か不審なものを見つけた際に発する合図であった。私は緊張し連絡を待つ。先頭の馬車に乗り込んでいた護衛の冒険者が街道から脇にそれた平原にポツリととたたずむ扉を見つけたとの事だった。


「皆さんここで少し長めに休憩を取りましょう!」


 私は、馬車から降り、停車した私の馬車に支持を仰ぐために集まってきた馬車の代表達に伝える。その後、私は、私の馬車に乗っている者達に平原にポツリとある謎の扉を監視する様に伝える。


 商隊のメンバー全員には、今自分達が普段は行わないスピードで進んでいる理由を説明してある。それを聞いたメンバー全員が自分達も【軍団(レギオン)】に会ってみたいと返事をする。


 いつも依頼をだす、護衛の冒険者達も獣人の国の英雄には会いたいと言っていた。




 【軍団(レギオン)】と出会うために今まで急いできた分、扉が開くまでの間長めの休憩を取っていた。そんな時、扉が大きくなったと扉の様子を伺っていた者が声を上げる。


「全員、整列! 今から【軍団(レギオン)】に挨拶をします」


 私を筆頭にその後ろに商隊の全員が整列する。すると扉が開き始めた。すこしづつ扉が開き中の様子が見えてくると、私達は身動1つきできず震えはじめた。


 なんと扉の先は魔物で埋め尽くされていた。


『うごけ! うごけ! うごけ! 今、動かないと皆死んでしまう!』


 私達は、余りの恐怖に心の中でしか叫ぶ事が出来なかった。扉が開き切った瞬間、中から魔物が噴火した様にでてくる。


「「ぎゃあああああああああ!!」」


「「ヒヒーん!」」


 ガシャーン!


 誰かの叫び声で何人かは動くことが出来たが私は動けずにいた。


 動けたものは全員がパニック状態で逃げまどい置いてあった荷物につまずいたり人同士でぶつかったりして地面に倒れるものもでたようだ。馬も驚き叫び声を上げ転倒したことが音からわかる。


 1番前にいた私は、恐怖から未だに動けず、そんな事が予想させる音をただ聞くしかできなかった。


 そんな時、扉から2人の人が飛び出してくる。その2人は全身が鮮やかなエメラルドグリーンをしていた。


「みんな、ストップ!」「お前達! とまれ!」


 魔物がそんな言葉で止まるわけがないと思っていた私の心とは裏腹に門から勢いよく湧き出した魔物達がその動きをピタリと止めた。


「「すいませんでした!」」


 その2人が今私の目の前で土下座をし謝罪を叫びはじめた。


「あ、はい…… だ、大丈夫です……」


 恐怖や驚きなどの感情が混ざり合い、私の口から出たのはそんなことばだった。




 その後、扉から冒険者や蟲人達が出てきて一斉に商隊のメンバーの治療を始める。私達は、まだぼうぜんとしつつも治療を受けるが途中から恐怖は無くなり、心は驚きと興奮で塗りつぶされる。


 彼らは魔法での治療や不思議な木の実をケガをしたものに配っていくのだが、魔法も後で聞いた護衛の冒険者の話では相当な技量で、さらに渡された木の実は切り傷などの外傷だけではなく運悪く折ってしまった骨なども一瞬でなおしてしまった。


「「本当にすいませんでした!!」」


 商隊全員のケガが治ると改めて彼らは謝罪をするのであった。


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