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128話 ミドリムシの朝風呂


「く~この外で入る熱めの風呂はいいな~」「昨日の晩、風呂に入りながら飲んだ酒もうまかったな~」


 翌朝、冒険者達は朝風呂に入っていた。


「皆さん、お風呂から上がったら朝食ができてますからね~」


 緑はそう言って先に上がっていく。


「昨日、他の冒険者に言われたことがわかったな……」


「リーダー何か言われたんですか?」


「ああ、旅の途中で緑達と会い、同行できることは運がいいと…… 俺も忘れそうになるが今、俺達は王都に向かってる途中という事をな」


「あっ…… 完全に忘れていた……」


「俺もだ…… 俺達は護衛の途中で本来なら気を緩めることができないはずなのに……」


 チームの仲間の言葉に自分に言い聞かせるように口を開く。


「ここで気持ちが緩めきってはだめだ、後で気を引き締めないとな……」


 そうリーダーの男が口にするがこの後、リーダーの意志とは別に冒険者達の心を引き締める事が起こる。




 食事を取り出発の準備をし冒険者達は食堂前に集まる。そこにはすでに緑達が集まっていた。


「あれ? 今日は子供達はお留守番なの?」


「今日はあの子達は学校で勉強なんです」


「なるほどね~ ここでは子供達は勉強もできるのね」


「はい、子供達が勉強していろんな仕事をできるようにしてます」


「良いことだわ。孤児ではなく緑達に拾われた方がよっぽど幸せかもね」


「そんな事ないですよ、子供は父母といるのがいいですよ」


 そう言った緑の目には涙が溢れ始める。それを見た冒険者達はぎょっとするが魔緑がヤレヤレと冒険者達に告げる。


「うちのリーダーは泣き虫なんだ、気にしないでくれ」


「まーちゃんだって一緒でしょ…… ぐすぐす……」


「俺は人前でそんなに泣かねぇよ、じゃあリーダーが泣いてるが出発するか、子供達もまっているしな」


「子供達は勉強しているんじゃないの?」


「ああ、今言ったのはヒカリ、クウ、レイの子供達の事だ昨日の扉の前に行けばわかる」


「「?」」


 冒険者達は疑問を表情にだすが扉の前に行けばわかると言われたので黙ってついていく。途中預けた馬達を返してもらい扉に向かうが途中から様子がおかしいことに気づく。


「うん? 昨日は暗くて足元が見えなかったがこの道って黒かったか?」


 1人の冒険者が自分が進む道が遠くの方で黒くなっていることに気づき呟く。すると1番目が良い斥候の冒険者が声を上げる。


「ひっ!」


 斥候の冒険者は声を上げるとその場に尻もちをついてしまい動けずにいた。その様子がおかしいことに気づいた他の冒険者が心配する。


「どうしたんですか?」「どうした?」「何か見えたんですか?」


 あまりの様子にリーダーも心配するが反応が返ってこない。その時、安心させるためかゆっくりと魔緑が話かける。


「俺達が【軍団(レギオン)】と呼ばれる理由がわかってくれたか? 大丈夫だ安心してくれ子供達はけっしてあんた達に危害を加えない」


 斥候の冒険者は青い顔をして魔緑の方に首だけ向けると壊れた人形のように頭を振り頷く。


「大丈夫ですか?」「失礼しますね♪」


 冒険者のそばにヒカリとクウが歩みより声をかけるとクウが斥候の冒険者の背中と膝の下に腕を回し抱き上げる。


「ではいきますね♪」


 クウがそう言うと先頭を歩き始める。抱き上げた冒険者より小柄なクウが楽々と歩く姿をみて冒険者達は最初こそ驚くものの、自分達より小さく若い者でもとてつもない強さを持つ者が居る事を思います。


 冒険者達もその後に続くが道の黒くなっている部分が近づくにつれて、先ほどの斥候の冒険者の様に声を上げその場に尻もちをつき動けなくなるものがではじめる。


 それを見てクウが声を上げる。


「みんな、この人たちを運んでください♪」


 クウがそう言うと道の先の黒くなっている部分がちぎれた様に見え、こちらに向かってくる。動けなくなっていない冒険者達は自分達の目をこすりそれを凝視しているとそれがホレストアントの集団なのが見えてくる。


 ホレストアントに気づいた冒険者達が同時に声を上げる。


「「えっ!?」」


「「ま、まさか……」」


 冒険者達が驚いている間に荷車を引きながらホレストアント達がやってくる、そこに冒険者達を乗せるとヒカリとクウを先頭にして全員ですすむ。


 扉の前に来た時、緑達と一緒に歩いていたのはリーダーの男だけであった。


「なんという数だ…… だから【軍団(レギオン)】か…… しかし、昨日俺達があった時、子供達が居なかったのはなぜだ?」


「子供達には悪いんですが、毎日ダンジョンから出してあげれるわけではないので……」


「なるほどな、子供達をみて勘違いする者達がいれば事件になるか……」


「確かに、これだけの子供達を見ればスタンピードと勘違いする者もいるな、しかもそれがギルドにでも報告させれれば…… くくくく、あははははは!」


「リーダー……」


 普段の物静かなリーダーが大きな声を上げて笑う姿に仲間達が驚く。


「緑よ、ありがとうこれで全員の気が引き締まった。昨日の待遇で全員気が緩んでいたからな…… それを見越してくれたんだな」


「あははは、気づきましたか」


「おい! お前達もいつまで腰を抜かしてるんだ! 安全なのはわかっただろう! このまま運んでもらうつもりか!?」


 そう言われて冒険者達も立ち上がる。


 それを見た緑がニコリと笑う。


「では、いきましょうか!」


 そう言うと昨日入ってきた門に緑が手をあて魔力を流すと昨日の大きさからさらに大きくなり、開きはじめる。


「皆でていいよー」


 緑の声を聞き子供達は喜んで一斉に門から飛び出していく。


「「ぎゃあああああああああ!!」」


「「ヒヒーん!」」


 ガシャーン


 門の外から複数の悲鳴と馬の泣き声、更には物が倒れる音がし緑と魔緑は顔を見あわせる。


「「やばい!」」


 緑と魔緑の2人は声をあせた後、大急ぎで門の外に走るのであった。



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