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123話 ミドリムシは子供でも強い?


 緑達の前に居た馬車の集団を護衛する冒険者達は混乱していた。


「ねぇ、リーダーあの馬車大きなホレストアントが引いてるんだけど…… しかも2体。そんな話聞いたことある?」


 斥候を担う女性冒険者がリーダーに尋ねる。


「ああ、俺も見たことが無いし聞いたこともない……」


「しかも真っ黒な魔物に子供がのっているのよ…… ただその子供も肌の色から初め遠目ではゴブリンかと思ったけど……」


「ああ、それは俺も気づいていた。だから道中気を使っていたのだが…… 馬車の御者をしている奴も双子で肌が緑色をしている。俺達の知らない種族なのかもしれない……」


「そんな種族があったら冒険者ギルドで噂にならない?」


 そんな女性の言葉にリーダーの男は沈黙する。


 冒険者達が話をしていると隊列の真ん中にいる馬車から止まるよう合図が出される。


「どうやら、休憩の様だな」


「みたいね、後ろの馬車は進むのかしら?」


 2人の冒険者が様子を見ていると後ろを進んでいた緑の馬車も止まる。


「向こうも休憩をとるようだな」


「これは警戒が必要ね……」


 冒険者達は得体の知れない緑達を警戒しながら休憩をしなければならない事に悩むのであった。




「あ、前の馬車の集団が休憩をとるみたいだね。僕達も休憩をとろうか」


「向こうに合わせる必要があるのか?」


 緑の言葉に魔緑が尋ねる。


「まぁ、一般の人達と行動を共にした方が目を付けられないと思うんだ」


「そうか……」


 緑の言葉に、すでに見た目で他の人々とは違いその異常性に相手は警戒するだろうと思う魔緑であったが、見た目はどうにもできないと思いあきらめ何も言わない。




「なぁ、リーダー後ろの馬車の近くに扉が出てきて中から食事が出てきてる」


「ああ、俺の目にもそう見える」


「ダンジョン持ちかもしれないけど…… 中は広くて料理人でも雇っているのかな?」


「そうかもしれないな、広いダンジョンを持つことが出来る冒険者ならそれも可能かもしれない……」


 この時リーダーの男の想像は広くても食堂くらいの広さだと考えていた。とてもではないがダンジョンの中に広大な自然があり学校があり孤児達がそこで勉強をしているなど夢に思わなかった。


 沈黙したリーダーを他所に女性は話続ける。


「いくらここが街道で魔物出てくる可能性が低いと言っても子供を周り遊ばせておくのはどうなのかしら」


「ああ、それは俺も思っていたのだがあの子供がまたがっている魔物を見てみろ?」


「確かに黒い何かにまたがっているみたいだけど……」


 そう言ってリーダーの男が持っていた双眼鏡を渡す。


「え!? 何あれ? 少しだけ色と体形は変わっているけど子供達が乗ってる魔物はどれもB級以上じゃない!?」


「ああ、俺も初め見た時自分の目を疑ったよ。それにな……」


「まだ何かあるの?」


「魔物に乗った子供達を囲む様にいる3人の子供見てみろ」


 リーダーがそう言うと視界を移し驚きの声を上げる。


「え!? 気づいている……の?」


 双眼鏡がうつした光景をみて女性冒険者はあせる。


「ああ俺も手をふられたよ……」


 女性が双眼鏡の視界を移し魔物に乗っていない子供を視界にとらえると、子供はすぐに女性の方を向きニコリと笑い手を振るのであった。


「ありえない……」


「あんななりをしているが中身は俺達などおよびもしない化け物なのかもな……」


「……」


 女性冒険者はそんな事はありえないと思っていたが、龍種が姿を変えた子供に対しての評価はこのリーダーの男が考えた事が正解であった。


「まぁ、ここでいくら考えても仕方がない、俺達も昼食を済ますぞ」


「うん……」


 そう言って2人の冒険者は昼食の準備をしはじめる。それからしばらくして森から声があがる。


「「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」」


 緑達の前の馬車の集団が昼食のための休憩をしていたところ、近くの森からゴブリンと思われる叫び声が聞こえる。


「森からゴブリンかくる!」


 斥候の女性冒険者の叫びで他の馬車に散って護衛をしていた同じチームの冒険者達は一斉に森に視線を移し、自分の戦いやすい場所に移動すると森を警戒する。


 しばらくすると1人の冒険者が叫ぶ。その者は弓を使う冒険者であり1番遠くを見通せる者で双眼鏡を使い森を監視していた。


「おいおいおい! なんだあの数は!」


 冒険者が叫ぶと森から200匹以上ののゴブリンがこっちに向かって走ってくる。


「各自、射程に入った物から攻撃しろ!」


 リーダーが焦りながらそう叫ぶと全員が攻撃準備に入るが双眼鏡を使い、やっとわかる距離のため弓を使う冒険者でもまだしばらくはい射程内にはいらい。


 そんな時、子供の声が聞こえる。


「ゴブリンだー!」「やっつけろー」


 その声の主は干支緑達であった。冒険者達が声をした方に顔を向けると11人の魔物に持った子供とそれを追いかける3人の子供が見えた。


 それを見た冒険者達は思わず叫ぶ。


「お前達! とまれ!」「あなた達とまりなさい!」


 その声は子供達に聞こえていないのかむなしく響きわたり。子供達はゴブリンの群れに向かっていく。


 冒険者達はその場で動けずにいた。子供達が食われれば次は自分達だ、自分達だけならまだしも依頼主も守らなければならないため陣形を崩すことができず、子供達がゴブリン達に向かっていくのを見守るしかできなかった。


 しかし、冒険者達の悲しみの内情とは裏腹に子供達はゴブリンを蹂躙し始める。


「おいおい夢でもみてるのか!?」


 冒険者達が見る前で魔物に乗った緑色の肌をした子供達はゴブリンを瞬殺していく。子供達が進むにつれてゴブリンはその数を減らしていき最後のゴブリンを倒した子供が声を上げる。


「「準備完了ー!」」


「みんな逃げろー」


 そう叫び、きた道を戻る子供達。その姿を見てぼうぜんとしていた冒険者達を現実に引き戻す声がきこえる。


 ワオーン!


「ゴブリンの次は狼の魔物のむれかよ! もっとやばいぞ!」


 先ほどのゴブリンは自分達を襲うために出て来たのではなく逃げるために森から出てきた事に気づいた冒険者は思わず叫ぶのであった。



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