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107話 ミドリムシの家族はドワーフの国を守る3


 ドワーフの国の城壁ではドワーフ達が城壁を壊そうとする魔物や登ろうとする魔物の対応に追われていた。


「おい! そこ登ってきているぞ!」


「これでも食らいやがれ!」


 初めは技術の粋を集めたバリスタで順調に魔物の群れの数を削っていたが、魔物達が城壁に到着してからは、手を出しにくい状況に陥いる。


 魔物は城壁に到着すると2つの行動に分かれる。それは城壁を壊そうとする魔物と登ろうとする魔物であった。


 魔法を使おうとするもドワーフ達の適正が多いのは土の魔法。仮に土魔法を撃って攻撃した場合魔物がよけたり狙いがそれた時ダメージを受けるのは城壁になる.



 また地上で魔法を使うなら足元の土を使うが場合もあるが今、魔物達がいるのは城壁の直ぐそばで魔法で城壁を材料とすれば城壁を崩すかもしれなかった。


 さらに、先ほど火の玉と流れ星が落ちるのを見た後、龍種と兜達が戦っていた場所が静かな事にも気をそがれていた。


 ドワーフ達の兜達【軍団(レギオン)】への信頼は厚くそのため戦場となる場所で先ほどまで見えていた砂煙が見られず焦っていた。


「くそ! 兜達からの連絡はねぇのか?!」


 ビルが魔物達と戦いながら思わず叫ぶ。


「ビル! あぶねぇ!」


 思わず叫び周りへの警戒が薄れてしまったビルに城壁を登り切った魔物が襲い掛かる。


 ビルの視界は魔物や自分の動き周り全てのものがスローモーションになる。そのゆっくりとした世界のなか襲い掛かる魔物が自分に向かって自慢の爪を振りかざすのが見える。


 ビルが心の中でしくじったと思いその光景を見続ける。ビルが魔物の爪が迫りもうだめだと思った瞬間その全てがスローモーションの世界でそれだけが時間の進み方が違うと思うような速度で槍が上空から魔物を串刺しにする。


「間に合ってよかったです」


 魔物を串刺しにした槍のすぐ横ににヒカリが着地する。


「おせぇよ!  ……だがよく戻ってきた。それで勝てたのか?」


 ビルの問いかけを聞きヒカリは腕を組み下を向き黙り込む。


「お、おい……」


 ビルも思わず声を漏らすがヒカリは顔を上げる答える。


「はい、勝ちました…… が……」


「勝ちはしたんだな? なら兜達はどうした?」


 ビルの言葉にヒカリは先ほどドワーフ達が見た流れ星が落ちた方向を指さす。ビルが以前、緑に言われて作った双眼鏡を使いヒカリが指を指さす方向を確認をする。それを見ていた他のドワーフ達も同じように指された方向に顔を向けるが何も見えず再びヒカリの方を見る。


「おい! 龍種がこっちに向かってきているじゃねぇか!」


「「なに!?」」


 ビルの言葉に驚くドワーフ達。だがヒカリが話始める。


「安心してください。もうあの龍種がドワーフの国を襲う事はありません」


「ほ、本当なのか!?」


 ビルの言葉にヒカリが周りにいる者達全員に経緯を話す。




「なるほどな、龍種に勝ったがその処遇は緑に任せると…… とりあえずこれは王様に報告だな。誰か王様に連絡してくれ!」


 ビルが叫ぶと1人のドワーフが自分の持ち場を他の者に埋めるように頼み駆け出す。


「では私も魔物を倒しに向かいます」


「大丈夫なのか? 無理はするなよ、ここでお前さんに死なれでもしたらドワーフは緑に顔向けができねぇ」


「安心してください。それこそ龍種が出てこなければ私は死ぬような事ないと思います」


「そうか…… だが無理はするなよ」


「はい…… では行ってきます」


 そういってヒカリは城壁から飛び降り槍を構え登ろうとする魔物を蹴散らしながら城壁を壊そうとしている魔物へと向かっていくのであった。




龍種の背中


「きゃっほう! こいつあご機嫌だ!」


「おいレッド騒ぐのはいいが落ちるなよ!」


「ああ、大丈夫だそんな間抜けな事はしねぇぜ!」


 今、龍種と戦ったメンバーでクウとヒカリの子供達以外の全員で龍種の背に乗りドワーフの城壁に向かっていた。龍種は来た時と違い猛スピードで走っていた。


「すげー! すげー! 龍種の背に乗れるなんて夢にも思って、あ!」


「「ギルー!!」」


 兜とレッドの会話の後ろで龍種の背中を動きまわって下を覗き込んで騒いでいたギルが龍種の背中から落ちる。

 その落ちていくギルをレッドと兜は無言で見つめていた。


「クウ、わりぃがギルを回収してきてくれるか俺のスピードじゃギルを回収した後に背中に再びもどってこれねぇ…… あいつを置いていったら後で魔緑の旦那に怒られそうだ」


「あははは♪ まーちゃんはそんあ事で起こったりはしないと思いますよ♪」


 そういうとクウは龍種の背中から飛び降りギルのもとに向かう。


 残った兜とレッドがクウが走っていくのを見送ると進行方向に向き直る。それを感じ取った龍種が2人に確認する。


「兜このままドワーフの国の城壁に向かい城壁周りの魔物達を一掃すれば良いのだな?」


「ああ、それで頼むがくれぐれも城壁を壊すようなことはしないでくれよ」


「任せておけ我をその辺りの低能な魔物と思うな」


 龍種に返事をした兜とレッド達は自分達の武具を龍種との戦いでガタが来てないかを確認していく。


「よし! 武具の確認も大丈夫だ! さっさと魔物をかたずけて人族かエルフの国に応援に行かないとな! こいつの報告も大将にしないといけないしな!」


 そういと兜は乗っている龍種に視線を落とす。兜が龍種を見ているとレッドが龍種にむかって質問する。


「なぁ、あんた名前はないのか?」


「ふむ名前か…… サラマンダーとでも呼べばよい」


「サラマンダーかわかった! よろしく頼むサラマンダー」


「こちらこそよろしく頼む」「俺はレッドと呼んでくれ!」


 そんな話をしているとクウとギルが戻ってくる。クウはギルを担いだまま高速で走りサラマンダーとしばらく並走したあと、タイミングをはかって飛びあがりその背中に着地する。


「ただいまです♪」


「ただいまです……」


 先ほどまで騒いでいた様子と違いギルが申し訳なさそうに挨拶をするとレッドが話しかける。


「ケガはねぇか? まぁはしゃぐのも無理はねぇ、気にせず直ぐに武具の確認をしとけまた直ぐに戦闘だからな」


「ケガはクウさんが実をくれました…… すぐに武具の確認をします……」


「あのスピードで落ちたので結構なケガであちこち骨折もしてたみたいですし直ぐに行ってよかったです♪」


 落ち込んだギルは落ち着きを取り戻し、落ち込んだ様子で武具の確認をはじめる。


「そうだクウ。さっき自己紹介をしてくれた。この龍種の名前はサラマンダーと言うらしい」


「そうなんですね♪ クウと言いますサラマンダーさんよろしくお願いします♪」


「ああ、よろしく頼む。しかし我が言うのも変な話だがお前達はなんの疑いもなく我を信用するのだな?」


「ああ、俺も初めはクウと腕試しのために戦って、その後に家族にしてもらったからな。それにあんたは戦っている最中に嫌なものを感じなかったからな」


「くくくく、なら我もお前達の家族に入ることになるのかな? ますますお前の大将に気になるな」


「そういえば兜さんとレイさんは私達と戦った後に緑さんに全裸で土下座してましたね♪」


「クウ思い出さないでくれ…… あの時の俺達は調子に乗っていたんだ自分達より力があって邪悪な考えの持ち主がいたら俺達は死んでいたことに気づいていなかった」


 その話を聞いたレッドが驚いた表情をしていたのを見て兜が釘をさす。


「レッドあくまで俺とレイが勝手にやったことで大将がさせたなんて思うなよ」


「ああ、わかった。しかし驚いた一瞬緑にも厳しい面があるんだと思ったぜ」


「緑さんはほとんど優しさでできています♪」


「なら、あのイカレタ能力はなんなんだよ…… 優しがいかれるとああなるのか……?」


 クウの言葉に思わずレッドは呟く。


「よし! じゃあさっさと魔物を殲滅しするぞ!」


「「おおおお!!」」


 ドワーフの国の城壁が近づき、兜が叫ぶと他の者達もそれに応えるように叫び返し戦闘態勢に入るのであった。



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