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106話 ミドリムシは人の国を守る2


 魔緑のブレスの後は、城壁の上に待機していた冒険者たちも各々の魔法や武器で攻撃をし始める。


「お前達どんどん攻撃しろ! 数が多いからある程度の狙いでもあたるだろう! 今はとにかく攻撃回数を増やして少しでも数を減らすぞ!」


「「おおおおお!」」


 そんな周りを他所に緑と魔緑は話始める。


「さてとまーちゃん、僕達は降りて城門の内側で待っている人達と合流しようか」


「ああ、そうだな・・・・ シャーク達もいるはずだしな」


「じゃあ城壁からおりようか」


 そう言って城門の内側の最前列に向かうのであった。




「シャークさん! こんにちわ!」


「おう! 来たか緑と魔緑!」


 そう言ってシャークは2人に手招きする。


「相変わらずイカレテルな! 城壁でのあいさつは他の奴ら驚いていたんじゃねぇか?」


「まぁ、少し驚いていたと思います」


「あれが少し? 直接見た奴らはこの世の終わりみたいな顔してたぞ」


「まーちゃん、それは言わないで・・・・」


「がはははは! 相変わらずだな2人共。ここでも皆に挨拶しておけ」


 そう言うとシャークは2人が来るまで作戦を話していた冒険者達の方を向く。


「あ! はじめまして! 水野 緑と言います! よろしくお願いします!」


「俺は魔緑だよろしく頼む」


 2人を見た冒険者達はシャークに尋ねる。


「シャークさん! この2人がさっきの原因なのか!?」


 その質問にシャークは緑達に向き直り確認する。


「さっきのでかいのはお前達の仕業だろう?」


「はいまーちゃんがブレスを撃ってくれたので」


「ん? ブレス? また何かイカレタことをしたのか? まぁ、それも城門が開けばわかるだろう」


 人族の国は、ドワーフの国の様に始めから籠城をすると魔物の数が多いため城壁が崩される可能性さを考え、城壁の上からある程度攻撃したのち城門を開けて平地で戦いその後城に戻り籠城をする手はずになっていた。


「さぁ、そろそろ時間だ! 行くぞ野郎ども!」


「「おおおおお!」」


 その冒険者達の叫びの後ゆっくりと城門が開く。冒険者達は順番に城門をでる。


「まーちゃん、ブレスと魔法ならどっちがコストパフォーマンスが良い?」


「あ~ それは、魔法の方がいいな龍の体で戦うと体の維持にもエネルギーをつかうからな」


「なら接近して戦う前に魔法を撃ってくれる? 残りのエネルギーや魔力はある程度のこしつつ」


「ああ、わかった。光合成は自動でするからそのうちエネルギーもたまるだろう」


「じゃあ僕も仕事をするよ」


 そう言って緑は魔力を圧縮し始める。


「おいおい、どんな魔力を持ってんだ。怪物か!」


 城壁の上でのように今度は緑が魔力を圧縮し始めると周りの冒険者達が騒ぎ始める。緑は周りの騒ぎを気にせず魔力を圧縮し続ける。


「これくらいでいいかな? 氷の迷路!」


 以前獣人の国で作った氷の城壁のように氷の薔薇で作られた巨大な迷路が完成する。


「これで1度に戦う魔物の数は減らせるでしょう!」


 周りで見ていた冒険者達は一同絶句する。


「な! 言った通り噂の斜め上をいくだろう? がはははは!」


「ああ、そうだな・・・・ これを見せられたら噂は本当だと信じれる」


「では皆さん初めに配られたと思う地図をみて散ってください!」


 緑にそう言われて冒険者達は緑の作り出した迷路に散っていく。


「じゃあ、まーちゃん僕らも行こか」


「そうだな、シャークのおっさんまた後でな」


「ああ! また後でな!」


 緑達とシャーク達はそう言ってわかれる。その際にお互い気を付けろなどの事は言わずにわかれた。これは、お互いの実力を知ったうえで死ぬことなど微塵も思っていなかったためであった。




 シャークとわかれてしばらくして緑と魔緑は迷路の上に立っていた。迷路での場所はまさに入り口で魔物達が迷路に入る前に上から魔法で攻撃するつもりであった。


「じゃあ、まーちゃん一緒に撃とうか」


「ああ、その方が効果も高くなるだろう」


 そういって魔力を圧縮する2人。2人の周りには魔力で作られた炎の矢、石の矢、水の矢が無数に出来上がりそれが魔物の群れに向かっていく。


 周りに他の冒険者が居ればまた驚くことになっただろう。無数の魔法の矢は打ち出されたそばから作りだされ打ち出される。緑達の世界に居た者ならばガトリング砲を思いしたと思われる。


魔物の群れの先頭は緑と魔緑の魔法の前に数を減らすしていくがそれでもまだ平原を埋め着くほどの数で向かってくる。残りの魔力が1/2になったほどで魔緑が呟く。


「これは迷路で他の冒険者達にも戦ってもらわないとだめだな・・・・」


「そうだね・・・・僕達だけで済めばよかったんだけどね」


 魔緑と緑は呟くと迷路の上から飛び降り魔物の群れに向かって走り出す。


 魔力の温存のため2人は物理的な戦いに移行する。2人はアイテムボックスよりチャクラムを取り出すと魔物に向かって投げる。


 投げられたチャクラムは魔物に向かいその進行方向に居る魔物達を切り裂いていき地面に落ちる。そのチャクラムを2人は拾わず魔物の群れの中をひたすらチャクラム投げ投げると同時に髪で切り裂き進んでいく。


 手元のチャクラムが無くなると2人はあらかじめチャクラムに結び付けていた髪をひきつけ地面に落ちていたチャクラムを集め再び投げるのであった。



 2人の様子を見ていた城壁の上の監視役達は驚き話していた。


「なんだあの2人は出鱈目にもほどがあるだろ!」


「先ほどの魔法の矢の数はなんだ!? あんな数を打ち出そうと思ったら数十人で代わる代わる撃たなければあんな速度で撃ち続けられねぇぞ」


「今はチャクラムを投げて戦っているが投げられて地面に落ちたチャクラムが生きてるみてぇに2人の元に戻っていっている、あんな事されたら戦っている相手は一方的にチャクラムをくらうだけだ!」


「「イカレ過ぎだろ!!」」


 そんな風に言われていることなど2人には想像できなかった。


「緑!魔力が回復してきた変異する!」


「次は1点集中のブレスじゃなくて薙ぎ払うように吐いてみてよ!」


 緑の言葉を聞いた魔緑は龍種に変異するとすかさずブレスを吐き続けながら首の向きを変える。その首の方向に連れだって吐かれるブレスも進む方向を変える。


 緑と魔緑の周りには大量の魔物の死骸が作られていく。


 魔緑が腕を振るうと魔物達は吹き飛ばされその動きを止める。魔緑の背中に乗った緑は受け取ったチャクラムを投げ魔法を撃ち続ける。魔物の数も減り始めの1/4になり、その魔物の半分ほどが迷路に入り、残りの半分が今緑達を殺そうと向かう方向を変えるのであった。


「む、魔物達の動きが変わった? さっきまでは迷路の入ることに躍起になっていたがようやくこっちにも向かってくる様になったな」


「だね~ こっちに向かってくれるのは動かなくていいから楽だね~ 迷路も救難信号が打ちあがってないから戦う魔物の数も上手くコントロールできてるみたいだね」




迷路の上部


 先ほどの緑達がした様に今迷路の上には沢山の冒険者達がいた。


 彼らは迷路の中を進む魔物達に攻撃し続け、部屋で陣形を整え待ち構える者達や罠を張り待つ者、長い直線の通路で強力な魔法を撃つ準備をする者などそれぞれ得意とする態勢でまつ冒険者達に向かう魔物の数をコントロールしていた。


「おっとそっちはまだ、前に入った魔物と戦闘中だいかせねょ!」


「おーいこっちに手を貸してくれ! やたらと硬くて強いのが居るんだ!」


 魔物のコントロールに余裕があったため迷路の上に居る冒険者達の一部は、その魔物を倒すために集まり攻撃を仕掛けるが様子がおかしいことに気づく。


「あの魔物おかしくねぇか? こんなけの人数で攻撃してるにも関わらずあんまりダメージがみられねぇぞ?」


「ああ、だがこのまま行くと【海の守護者(ガーディアン)】の部屋だろう? あそこは特に強力な遠距離攻撃ができる者達が周りにいるしこのまま攻撃し続けるぞ」


「「おう!」」


 冒険者達はシャーク達【海の守護者(ガーディアン)】が守る部屋まで迷路の上から攻撃し続けるのであった。


 そのころシャーク達は最後の大広間までたどり着いた魔物達を倒しきったところであった。この大広間は城門のすぐ前にあり迷路の上にも特に強力な遠距離攻撃を持った者達が配置されていた。


「ふう、これでひと段落ついたか? じゃあ次のが来るまで休憩だな・・・・」


 そうシャークが一息つこうかとしたところ迷路の上から声がかけられる。


「シャークさん! 1匹倒せない魔物がいるらしい! すまんがそいつを頼む!」


「ああ! わかった!」


 そう返事をするシャーク達は緑から渡された魔力と体力を回復させる実をそれぞれ口にほりこむ。


 迷路の上から声をかけられ返事をするシャークであったが嫌な予感を感じ呟く。


「これだけ有利な地形で物量を使って倒せない魔物などいるのか?」


 そんなシャークの呟きを聞いた他のメンバーも同じように思い顔をしかめ考えるがすぐさま迷路の上から声がかかる。


「来るぞ!」


 シャーク達はその声を聞きすぐさま立ち位置を確認し迎え撃つ態勢に入ると部屋の入り口に意識を集中するのであった。


 その魔物は大広間の手前で走るスピードを落としゆっくりとした歩みで部屋に入り立ち止まる。


「おいでなすったぜ! 気を引き締めろ!」


「「おう!」」


 魔物が部屋に入るとシャークが叫びメンバーもそれに答える。


「ふむ、1つの国を落とせと命令で来たが退屈せずに済みそうだ」


「「!?」」


 部屋に入った魔物がそう呟くと同時にシャーク達がs級ランクになるまでに培った危険を察知するセンサーは悲鳴を上げるように大音量で鳴り始める。


 シャークは持っていた魔道具を使い救難信号を2発空に使い向かって撃つ。


 それを視界にとらえた迷路の上下に居る者達、城壁の内側で休憩し次の戦いの準備をするもの達、その他この戦いに戦闘以外で参加している者達、城から様子をうかがっていた者達その全てに戦慄が走る。


 2つの信号弾の意味は【龍種】【城門】であった。


「おいおい! 龍種ってのはでかいと相場が決まってるんじゃねぇのかよ!」


 叫ぶシャークに龍種が答える。


「我は変わり種でな他の者達と違って小さいのだよ。 まぁそんな事はどうでも良い…… 初めは撫でる程度から始めるが簡単に死んでくれるなよ」


 そう言って龍種はその歩みをゆっくりと始めるのであった。


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