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104話 ミドリムシの家族はドワーフの国を守る2


 戦闘が開始して直ぐににヒカリ、クウ、兜は体が軽くなり力が湧いてくることに気づく。


 それは以前、兜がレッド達と一緒に戦った時の様に【ドラゴンスレイヤー】によって3人に支援魔法がかけられたためであった。


「これが支援魔法の効果なんですね」


「体が軽くなって力が湧いてきます♪」


「ほう、ではこちらも少し本気を出してみよう」


 そういって振るわれた腕をヒカリもクウも余裕をもって回避する。さらに、龍種が腕を振り切ったところを狙って兜が斧を振るう。


 振るわれた斧は龍種の鱗を切断し鱗の内側も傷つけた。


 兜達がそれを見て喜んだのも束の間そのつけた傷もみるみる塞がっていく。龍種は兜達がそれを確認したのを見て龍種はニヤリとわらい話す。


「我を倒すには1撃で致命傷を狙うほかないぞ」


 そこから兜達は龍種を傷つける事より動けなくさせるために動き始める。それは事前にレッドから聞いた龍種用の対策であった。


 圧倒的回復力を持つ龍種を倒すには致命傷を狙う前にその動きを止め確実に致命傷となる攻撃を当てる事の出来る状況を作らなければならないとレッドは言った。


 今、兜達はヒカリを除く全員で龍種と戦う中、ヒカリはその上空でその様子を伺っていた。


「なかなかスキを見せてくれませんね」


 そう呟いたヒカリは上空にダンジョンの扉を開いていた。その扉の向こうにはいくつもの鎖が置かれており、それは龍種の動きを止めるもので龍種がいる事が分かったため用意したものであった。


 ヒカリだけは戦闘を開始し、しばらく龍種に攻撃した後、戦場を離脱し上空で戦いの様子を伺っていた。


 ヒカリが戦闘を見守る中、兜とクウがそれぞれ龍種の片手と片足を大きく傷つけた。


「今です!」


 その光景を確認したヒカリは大量の鎖をダンジョンの扉から落とす。


「全員気を付けろよ!」


 兜がそう叫ぶと上空から降ってきた鎖が龍種の上に落ちる。


「今です!」


 龍種に大量の鎖がかかることを見たクウが叫ぶ。すると龍種にかけられた鎖を地中より飛び出してきたホレストアント達が掴み一斉に引き始める。それが龍種には予想外の事だったために叫び声をあげる。


「ぐあ! 地中に何かいるとは気づいていたがアリどもであったか!」


 そこからは龍種と兜達全員との壮絶な綱引きが始まる。


 ホレストアント達は鎖を引きながら地面の奥深くに潜っていく。ホレストアント達はアリの魔物のため自重の何倍もの重さを支える力がありそれが集団で鎖を引くためにさすがの龍種も動くことが出来なくなっていく。


 そんな状態を待っていたとばかりに龍種の真上に火の玉が現れる。


「今だ! 落とせ!」


 レッドの言葉で【ドラゴンスレイヤー】の後衛がありったけの魔力を集め火の魔法を放つ。その魔力を集め作られた火の玉は龍種に向かって落下を始める。


 それにこたえるかのように、遥か上空で【ドラゴンスレイヤー】が落とした火の玉と一緒に落下を始めるヒカリ。




上空


「ここは寒いですね・・・・」


 その言葉と同時にヒカリはビルに作ってもらった槍を構え落下を始める。落下を始めたヒカリの体には薄っすらと氷が張っていた。


 ヒカリは戦場の上空でダンジョンの扉を開き龍種の動きを封じるための鎖を落とした後、1人ひたすら空に向かって飛び続けていた。


 ヒカリは自分が動くことが出来る限界まで高度を上げていきその限界に到達するとその高さを維持しながら合図を待っていた。


 そして、合図の火の玉を確認したヒカリは龍種に槍を突き刺すために落下を始める。その速度はどんどん加速していき音を超える。


 同時にヒカリは槍に備え付けられた魔石に魔力を注ぎ風の魔石のおかげその速度をさらに上げ同時に先端のドリルの回転速度をも上げる。


 ヒカリが落下を開始した時、地上では龍種と兜達の間で壮絶な綱引きが続いていた。


「うおおおおお! お前を動かさねぇぞ!」


「龍さんはじっとしててください!」


「お前らここで手を放したら全員死ぬと思って死ぬ気で鎖を引け!」


 兜とクウ、レッドが叫ぶ。それでも龍種はその巨大な体を動かす。龍種が火の玉を避けようと動くがそこにギルが切りかかる。


「そこを動くな!」


 ギルは魔緑より教えられた新たな炎剣で龍種の体を動かすために必要な重要な体の筋肉、骨を切断していく。龍種の圧倒的な回復力で切断された部位が信じられない速さで回復していくためギルは龍種を切り裂き続ける。


 ギルが1人龍種を切り裂き続ける中、【ドラゴンスレイヤー】のそれまで鎖を引いていたチームのメンバーは満身創痍であった。


 ある者は鎖事振り回され、またある者は振り回された鎖をその身に受け、運よく鎖を引き続けた者達はその鎖を引くことに使った体は筋肉は切れ骨をおり、鎖を握った手は時より鎖が猛烈に引かれる事によりボロボロになっていた。だがそれでも誰1人として鎖を放すものはいなかった。


 ギルが龍種を切り裂き続ける中、火の玉が龍種の上に落ちる。火の玉は龍種の鱗を焼き、その鱗の内側をも燃やし鱗の内側をむき出しにする。




◇◆◇◆◇◆◇◆


「おい! あれはなんだ!?」


 この時、離れた城壁で迫りくる魔物の群れに必死に対処していた者達は遠目でも見る事の出来る火の玉とそのはるか上空から真直ぐに火の玉に向かう流れ星を見ていた。




 キイイイイイイィィィィン!!!!


 落とされた火の玉が龍種を焼いた後、兜達は上空から甲高い音が聞こえ始めるのに気づく。


 これを緑が聞いたなら緑は飛行機のエンジン音を思い出したと思われる。


「クウ! 盾を作るぞ!」「わかってます!」


 その音に気づいた兜とクウが龍種の周りで鎖を引いてる者達と龍種の間に岩の壁を作り出し、その壁が作り上げられた瞬間爆発音が張り響く。


 その音が鳴り響いた後に岩の壁の後ろに居たにも関わらず兜達はすさまじい衝撃にさらされるた。今まで死に物狂いで鎖を引いたいた者達も最後の力を振り絞った後に襲われた衝撃で鎖より手を離し辺りにそのまま転がる。


 その後、辺りに充満する砂煙が周りの者達が最後の魔力で風魔法を使い取り除かれると体の半分がなくなった龍種がたたずんでいた。


 その体の半分を失った龍種はわずかに震えていた。それを戦った者達が凝視する中、龍種は口を大きく開け話始める。


「くっくっくっ! がははははは! そなた達の勝ちだ!」


 そう言って笑う間に龍種の体は急速に回復していく。その様子を見ていた周りの者達の顔に焦燥感が浮かぶが龍種は続ける。


「我はこのままいれば回復するだろうがその後にお前達と再び戦う力はない! お前達はドワーフの国を亡ぼすのをあきらめろと言っていたがもう我には亡ぼす力がない! そんな我をお前達はどうする? 我の体はお前達にとったら金や素材の塊だぞ?」


 龍種の自分達をためすかのような言葉にヒカリ、クウ、兜は考える。しばらく3人が考え込む中ヒカリが真っ先に顔を上げる。


「先ほど貴方は誰かに命令されていた様な事を話していました。しかも、その命令したものが気にくわないと…… ならば1度私達のリーダーにあってもらえませんか?」


 そんな提案をヒカリがすると龍種は目を細めニヤリと笑い聞き返す。


「お主たちのリーダーは強いのか?」


「「強いです!」」


 龍種の質問にヒカリ、クウ、兜の3人は声をそろえ答える。


 さらにヒカリが続ける。


「私隊のリーダーは私、クウ、兜に加え他の仲間が一斉にかかっても勝てません」


 その言葉を聞き龍種は嬉しそうに話し出す。


「ほう! それほど強いのか! それはぜひともあってみたいのう! わかった、この戦い我の負けだ! お主達のリーダーに大人しく会おうとしよう! もちろん負けた身だ大人しくお主達に付き従う」


 そう龍種は答えるのであった。


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