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103話 ミドリムシは人の国を守る




◇◆◇◆◇◆◇◆




人の国サークル王国


 王都の城門前には騎士と冒険者達が集まっていた。


 その集まる者達の前には騎士団の団長と王都の東のギルドマスターのジークの姿があった。


「しかし、俺は東のギルドマスターなんだが今回の指揮にかかわっていいのか?」


「緑さんと知り合いの者が指揮する立場にいる方が彼が力を発揮しやすいでしょう」


「といっても俺は本当に知り合い程度だがな…… その意味じゃピエールが団長と指揮をとった方がいい気がするが」


 そう言ってジークの視線の先でピエールがため息をつきながら話始める。


「たしかに緑と縁はありますが今は雇い主と雇われている者ですよ…… それに正直、指揮を任されてもあいつの能力はいままだ未知数です。やったらできたと言って戦闘能力がどんどん上がっていくんですから戦略に組み込んでも内側から瓦解することの方が多いと思いますよ」


「「やったらできたか……」」


 ピエールの言葉に団長とジークがあきれてつぶやく。


「それにね今はあいつのダンジョンで働いているからわかりますがあいつが世界征服を言い始めたら人、エルフ、ドワーフ、獣人どこの国もあいつの国を止める事はできないですよ」


「「それは雇い主だから言っていないよな……」」


「もちろんです。私はダンジョンの中ではたらいていますが緑達がダンジョンの外でしたことなどはあまり情報としてはいってきません。こちらが聞いた事には包み隠さずはなしてくれますが何か起こしたことなどは聞かなければ話してくれません。そういえばと話されたことで聞いたことはありますが……」


 ピエールの話を聞き団長が質問する。


「そう言えば獣人の冒険者からの噂話なのだが、魔緑が龍種に変異したと聞いたが本当か?」


 そんな団量の言葉にピエールは驚き言葉をこぼす。


「え? 龍種に変異ですか?」


「ああ、それなら俺も聞いたぞ。出所は獣人の国のSランクチームのメンバーが話していたのを聞いたと冒険者が話していたな……」


 そんな2人の話しをきいたピエールは考え込むがすぐに頭を振り話始める。


「まぁ、緑の兄弟の魔緑ならあり得ない話ではないでしょう……」


 3人は少しの間だまり考え込むがやはり実物を見るのが1番だと思い話を続ける。


「まぁ、話していても仕方がない。初めの攻撃は緑と魔緑がすると言っていたからもし龍種になれるのであればそこで変異するだろう」


 そうジークは言うがすかさず団長が言葉をこぼす。


「だが仮に龍種になってブレスでも吐こうものなら地形がかわらないか?」


「まぁ! 魔物と一緒にその後ろにあった村や町を一緒に消し飛ばす事はないでしょう! ここで我々が想像や推測で話していてもその斜め上を進んで行きますし」


 悩んでいても仕方ないとジークが明るい声で話すがピエールがぼそりと呟く。


「以前シャークが言っていた言葉を思い出しました…… いかれた冒険者と……」


 再び3人は黙り込むが思いついた言葉を発すると意見が一致した。


「「敵じゃく味方ならならいいか」」




 3人が話している間、緑と魔緑も話し合いをしていた。


「う~ん、気になるな~」


「何がだ?」


「今回、人、エルフ、ドワーフと少しだけ早かったけど獣人のそれぞれの国で同時にスタンピードが起こった事がね……」


「ああ、たしかにスタンピードの原因はわからないが示し合わせた様に同時というのは気になるな。だが俺達なら黒幕が居たとしてもそう負けないだろう」


「……そうだね! 僕もまーちゃんみたいに龍種になれたらいいんだけどな~」


「龍種がいたら戦って魔石をもらって取り込むか?」


「う~ん、自分から戦う様な事はしたくないかな…… 襲われたら別だけどね」


「と、おいでなすったようだな……」


「だね、まだ遠いけど砂煙が見えるね」


 2人はそこから会話はせずただ魔物の群れが近づくのを見ていた。


「おい! お前達が初め攻撃するんだろ!? いつまで見ているつもりだ!」


 同じように城壁の上から遠距離で攻撃する冒険者や騎士たちが緑達の様子を見ていたが動かない2人をみて声を荒げる。


 冒険者の剣幕をよそに魔緑が冷静に返事をする。


「まぁ、そんな焦らなくて大丈夫だもう少し引き付けた方が良い」


「そこまで言うからには任せるが下手なものだったら城壁から落としてやるからな!」


 そう言って冒険者は緑達に倣って魔物たちの動きを見る事に集中する。


「そろそろ始めようかまーちゃん」


「ああ、そろそろだな」


 魔緑がそう言うと変異を始める。以前はミドリムシを経由してクリアグリーンの龍に変異したが今回は直接龍種に変異する。その姿を見た周りの冒険者や騎士達が騒ぎ始める。


「おいおい! どうなってんだ! なんで龍種がいるだよ!」


「あいつは本当に味方なのか!?」


 そんな騒ぎを他所に魔緑はブレスを吐く準備を始める。


 交代するために部隊を分割していたため直接緑達を見る事の出来ない後方で待機していた者達で魔力を感じれる者達はその圧縮されていく魔力量に顔を青くしていた。


 そんな冒険者達の様子を見た他の者達が煽ろうと顔を青くした冒険者達に話しかける。


「おいおい随分顔色が悪いじゃねぇか!? まさかビビってるのか?」


「……ああ、正直話すとビビってるよ。今、1番前で魔法の準備に入ったやつは誰か知らないが圧縮している魔力が桁違いだ…… それこそ龍種じゃないかと疑うほどの魔力量だ。正直、こんな魔力を圧縮して撃った魔法の着弾点が近くであれば城壁が壊れるんじゃないかと思う」


 近くで煽ろうとした冒険者はいつもなら反論が返ってくる相手からの返事に驚く。


「そんなにか!? ……まてよ、今回噂のIランク冒険者が出張ってきていると聞いたがそいつか? 味方なら心強いが聞いた話によるとイカレタ冒険者って噂だ。何がおこるかわからねぇな」


 先の獣人国でのスタンピードの時と違い今、家族は緑と魔緑の2人だけであった。そのため先日の様にブレスを撃った後を子供達に任せる事が出来ないために必然的にその後の戦闘のために魔力を残さなければならない。


「とりあえず様子見でこれくらいでいいか……」


 魔緑のその言葉の後ブレスが放たれる。その放たれたブレスは進行方向に居た魔物達を消し飛ばして進んで行き地面に着弾すると巨大な爆発を起こす。


 城壁の上からその様子を見ていた者、見る事は出来ないが索敵能力で敵や魔力を感じれる者達は、思わずこぼした。


「魔物の群れが1/3ほど消し飛んだ……」


「何を馬鹿な事を言っ……」


 1部のもの達の呟きに周りで聞いた者達が小馬鹿にしていたがその言葉は突然遮られた。


 その遮られた原因はブレスで起こった爆風とそれに飛ばされて飛んできた石や木、魔物の1部などであった。


 魔緑のブレスが着弾した場所は大きなクレータになっていた。そのクレータを駆け下りそのまま向かってくる魔物、クレータを避けて回り込んでくる魔物、1/3が消し飛んだと言えまだまだ魔物の数は多いがそれを見る事が出来た城壁の上に居た者達は思わず叫び声を上げる。


「「うおおおおお!!!!」」




 場所は変わり城門の内側の最前列にシャーク達【海の守護者(ガーディアン)】がいた。


「くくくく、またあのイカレタ王様が何かやったんだろうよ」


 シャークがそう言うと他のチームメンバーもくすくすと笑う。そんな様子を見た周りの冒険者達が尋ねる。


「あんたら【海の守護者(ガーディアン)】だろう?さっきの衝撃は誰かの攻撃なのか?」


 そんな言葉に笑っていたシャークのチームはぴたりと笑うのをやめその冒険者の方を向くと再び笑い始めた。


「がはははは! ああ、そうだお前達もここに配備された冒険者だ噂は聞いたことがあるだろうIランク冒険者の噂を!」


 そう返事を聞いた冒険者は眉をひそめる。


「ああ、噂話は聞いた。だがどれも信用できる内容ではなかったが…… まさか本当の話なのか?」


「俺は噂は知らんが本人と顔見知りでな! 噂以上の斜め上を行く奴とだけいっておくぜ! ぷっ! がははははは!」


 緑達とは違い長年の実績があり名前を聞くことが多かったシャークの言葉に驚きを隠せずにいるのであった。




 城壁の上では緑が他の冒険者や騎士達をまとめる者に話しかけていた。


「あの~ 僕達の攻撃はすんだので皆さんもどうぞ攻撃を開始してください」


 その言葉を聞いた指揮官の男は意識を取り戻し城壁の上で待機していた者達に攻撃を開始する様に支持を出す。


「こ、攻撃を開始する! 皆の者攻撃せよ!」


 その言葉で茫然としていた者達も我に返り攻撃を開始するのであった。




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