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10話 ミドリムシはレアを拾う




 1泊する予定の部屋で夕食の準備を始める、昼食も携帯食で済ませたため夕食は豪勢にしたいと考えていた緑だが、アラン達のチームは昼に続き簡単な携帯食ですまそうと準備をはじめる。それを見た緑は慌てて止める。


「待ってっください!夕食も携帯食ですますのですか?」


「緑、ダンジョンに潜る時は携帯食で済ますのが普通だぞ」


 ガーン!


 緑は食に関しては施設育ちのためにそこまで拘りは無かったが携帯食が続くのは耐えれそうになく、すぐに自分が大量に食事をアイテムボックスに入れてきたことを伝え、それを取り出し皆で食べる事を提案した。


「ダンジョンの中でこんなあったかい飯がくえるのは緑様様だな」


「ほんま、ほんま緑のおかげやね」


「緑さん温かいご飯をありがとうっす」


 そんな話をしながらダンジョン中でゆったりした時間を送る緑達だが急にその空気が壊された。部屋の入り口から4人ほどのチームが走りながら入ってきた。


「あんたら、誰か回復魔法が使えたり、回復アイテムをもってないか仲間が重症なんだ!」


 それを聞いて回復職のクリスが申し出る。


「では私が!すぐに回復魔法をかけます!」


 担がれていた仲間を床に寝かすとクリスが駆け寄る。クリスがみた冒険者は肘からしたが完全に欠けていた。


「腕はもうあきらめている!命だけ!命だけでいいんだ頼む!」


 チームのリーダーと思われる今にも泣きそうな顔でクリスに叫ぶ。


「クリスさん待ってください。クリスさんが魔法で治すのは待ってもらえますか?」


 クリスの後ろから様子をうかがっていた緑が声をかける。


「僕は回復の実を生み出せますが一度も試したことが無いので効果がわかりません・・・・もしかしたら欠損もなおせるかもしれない・・・・・・」


「欠損もなおせるのか! 頼む! 金なら時間はかかるかもしれないが必ず払う! だからこいつの腕を治してやってくれ! この通りだ!」


 そう言われて緑は袋から出したようにアイテムボックスから回復の実を取り出し、寝かされた冒険者を上半身だけ起こし実を食べさせる。冒険者が実を飲み込んだ瞬間、冒険者の欠けていた肘から先に光が集まる。


「「おお」」


 光が消え去った後には欠けていたのが嘘のように肘から先があった。それを見た仲間の冒険者は涙を流しながら緑に感謝する。


「ありがとう・・・・ ありがとう・・・・ こいつは子供のころからの付き合いなんだ本当にありがとう! 金も払う! 俺達にできることがあれば何でも言ってくれ!」


 冒険者の言葉を聞くとすぐに緑は口を開く。


「では早速お願いがあります」


「ああ、なんだ? なんでも言ってくれ!」


「では、今回の事に関してはお金は一切いりません。ただ1つお願いがあります。それは、今この場で起こった事は一切他の方には話さないでください」


「そんな事でいいのか? 絶対に今回の事は誰にも話さない! 例え拷問をうけても!」


「よろしくお願いします。あと、これも皆さん食べてください」


 緑はそう言って体力が回復する実を人数分渡す。


「なんだこの実は?」


「それは体力を回復してくれる実です。よかったら食べてください」


「こんな物まで・・・・ありがたく頂く。ありがとう」


 彼らは実を食べた後の体力の回復具合に驚いていたが、そのまますぐにダンジョンを出る事にし緑達全員に感謝をのべ部屋を出ていくのであった。


 その様子を見届けたアランが緑に尋ねる。


「緑、いくつある?」


「何がですか?」


「とぼけるな、さっき部位欠損まで直した実だ」


「今手持ちは100個ほどです・・・・」


「「100個・・・・」」


「なぁ、緑はもう働かなくていいんちゃう?」


「ほんま、それな」


 セリアとドナが最もなことを話す。


「いや、働かなくて良くても働きますよ!」


「欠損まで治せるなんてどこからも引っ張りだこっす!」


「そうよね~ 国から治癒を要請されるかもしれないわね~」


「緑悪いがギルドマスターに報告しておく」


「わかりました・・・・」


 その後、夜の火の番の交代時間などを決めてそれぞれ眠るのであった。


 翌朝出発の準備を整えると、昨日の全員での立ち位置でダンジョンを進むのであった。


 1時間も進まないうちに大きな扉が現れる。


「もしかしてボスですか?」


「そうだ、ダンジョンにより階層は変わるがここは10階ごとにボスの部屋があるんだ。緑、ヒカリ、クウ中を覗いてみろ」


 中をのぞく3人に後ろからアランが声をかける。


「たしかここは20匹くらいのゴブリンかコボルトの集団だったかな?」


「アランさんなんかゴーレムっぽいのが20匹くらいいます」


「「え?」」


「レアボスっす!」


「レアボスやね~」


「緑は運がいいのでしょうか?」


「レアボスは強さが少し上がる代わりに落とすアイテムがレアなんだ」


「そうなんですね♪」


「緑様たおしましょう」


「一度3人だけでボスを体験してみろ。危なそうなら助けに入るが・・・・それもきっと必要ないだろう」


「「はい(♪)」」


 3人は初期の立ち位置クウ、緑、ヒカリの順番でボス部屋に入る。


「まずは私が行きます♪」


 そう言うとクウが勢いよく駆け出す。先頭がクウなのは緑のチームの中では一番小柄ながら元アリの魔物なだけあり純粋な筋力が一番高いためであった。クウは素手ででゴーレムを破壊していく。


 また、緑とヒカリも順当に数を減らしていくのであった。


 緑は髪でゴーレムを縛りあげ関節を壊し動けなくしていく。そのゴーレムをキラービーとヒカリが貫きコアを破壊していく。


 10分もしないうちに動くゴーレムが居なくなった。


 緑達がゴーレムを全て倒すと、壊れたゴーレムの残骸が輝き始め、それが収まるとアイテムが落ちていた。


 それを緑が鑑定してく。そのほとんどが金属の塊であったがその中にダンジョンコアを見つけるのであった。


「アランさんダンジョンコアというのがあるんですが・・・・・・」


「ダンジョンコア?」


【ダンジョンコア】 自分のダンジョンを作ることができるその形や広さ入口も持ち主の任意で決めることができる。持ち主の魔力量がおおいと作れる広さや中の構造などの自由度がひろがる。


「持ち主の魔力が大きいほど大きなものが作れるようです」


「なるほどな、それは緑達が使い方を考えると良い」


「僕たちがもらっていいんですか?」


「ああ構わないまぁ・・・・ ダンジョンを作るのに魔力が必要ならダンジョンから帰った後でやると良い。他の金属類は使うか?」


「いえ、今のところ必要なさそうです」


「僕のチームは武器が体だったり髪だったりするので・・・・・」


「まぁ、確かに緑達はそのままでも十分な攻撃力があるからな、今回のドロップでもそこそこある程度宿に泊まり続けるだけの金にはなるだろう。緑の場合は実や服を作ってればそれだけで一生安泰だろうしな」


「あははは、取り合えずアイテムも拾い終わりましたし、次に進むでいいんでしょうか?」


「いや、ボスを倒すと次の階に進めるがその前に地上に一気に戻れる魔法陣があるんだ。それに乗って帰ろう」


 アランが帰還する事を全員に伝えそのまま魔法陣にのりダンジョンを出るのであった。


 ダンジョンからでたが朝いちばんでボスと戦いすぐに戻ってきたため昼になる少し前のために全員で食事を済ませ自分達の街に帰るのであった。


 街に戻り拾ったアイテムをギルドで買い取りしてもらいお金に換え、それをアラン達とで分けた緑達はしばらく宿の代金にかんしては心配がないほどのお金をてにするのであった。


「緑達はええな~、武器とか使わんからお金もかからへんし~」


「そうっすね、緑さん達は普通の冒険者と違って装備や回復薬などにもお金がかかりませんっす」


「ほとんど自前でまかなえるからな~ うらやましい限りだよ」


 そんな事を話した後、緑達はアラン達と一緒に宿に戻るのであった。


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