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愛が輝く時   作者: 青空夢花
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総会2

県の代表の話が終わると、先程の司会者本郷がまた壇上に上がって来た。


「さて皆さん、これから木村智和さんと岡部奈々さんの公開結婚式が行われます。神渡教皇先生のお見守りの中、多くの皆さんに祝福して頂きたいと思います。まずは神渡教皇先生のお祝辞のお言葉を頂戴致したいと存じます。神渡教皇先生どうぞ壇上にお上がり下さい」



神渡教皇がゆっくりと壇上に上がっていく。そして信者が見守る中マイクの前に立った。


「木村智和君そして岡部奈々さん、今日はご結婚おめでとうございます。この日を迎えられたことを私も心から嬉しく思っています。  


木村智和君に私が初めて会ったのは木村君が18才の時でした。そして岡部奈々さんに初めて会ったのは奈々さんが17才時でした。2人共瞳をキラキラ輝かせながら私の話を聞いていたのを今も懐かしく思い出します。


お2人は私の作り上げた愛園教を深く理解し、普及の為に全身全霊で頑張って下さいました。10年と言う長い年月を本当に本当に頑張って努力し続けて下さいました。共に闘う仲間としてお互いを尊敬し合い愛を育んできたのだと思います。


何と素晴らしいことでしょう! 私も感無量です。皆さん、どうか若い2人に祝福の暖かい拍手をお願いします」



その場にいた全員から割れるような拍手と共に「おめでとう」と言う祝福の声がかかる。


割れるような歓声を受けながら、白いタキシード姿の木村智和と白いウエディングドレス姿の岡部奈々が舞台への階段を上って行く。そして2人はマイクの前まで来ると同時に深々とお辞儀をした。



「今日は僕達の為にこのような場をお与え下さり有難うございます。感謝の気持ちでいっぱいです。


僕がこの愛園教に出会ったのは18才の高校3年生の時でした。受験中の僕の心は深い空しさに支配されていました。大学に行って自分は何をしたいのか。その後の人生に夢も希望も持てませんでした。


そんな状態でしたので勉強にも身が入らず新宿の街をブラブラと夢遊病者のように歩いておりました。その時、


「あなたは今幸せですか?」


と言う声が背後からしました。


「えっ」


僕に掛けられた言葉? いやそんな筈はないこの街に知人もいないし、別な人に声をかけたんだろうと思い直しました。しかしまた声がしました。


「あなたは幸せですか?」


…と。僕は振り返りました。


すると、そこには笑顔の女性がいました。現在は本部で仕事をされている七瀬桃花さんでした。


優しい笑顔で話し掛けて来たので、言われるままにアンケートに答え、誘われるままに愛園教の新宿支部に行きました。


そこで僕は瞳を輝かせ活動する若者達に出会いました。彼らは生き生きと楽しそうに活動していました。そんな人達と居ると僕も楽しく生きている実感が湧きました。


僕の探していた居場所はここだと思いました。それから数日後、神渡教皇先生にもお会いすることが出来ました。先生のお話を伺い感動して僕は泣いていました。


心の中から哀しみ、苦しみ、恨み、妬み…そういう良くない感情がスッと消えていったように感じました。


それから10年の歳月が流れましが今もやりがいを持って愛園教の仕事をさせて頂いております。日々楽しんでおり、ただの一度も後悔などしたことはありません。


岡部奈々さんとはその少し後に出会いました。奈々さんの屈託のない笑顔には誰もが引き付けられました。そして僕も正直言うとその頃から奈々さんのことが好きでした。


同じ高校3年ということもあり話も合いました。励まし合いながら大学にも合格し無事卒業もしました。卒業後は本部での出版の仕事をさせて頂いております。岡部奈々さんも同じ出版部で働いています。


僕達は同じ場所で共に仕事に励みそして愛を育んでまいりました。まだまだ未熟者の僕達ではありますが、優しくお見守り頂けたら幸いに存じます。神渡先生に限りない感謝を込めて…挨拶に代えさせて頂きます」


木村智和がそう言うと、今度は岡部奈々がマイクを持ち観客におじぎをすると話し出した。


「私から述べることはございませんが、ただただ神渡先生に深い感謝の気持ちでいっぱいでございます。神渡先生有難うございます。これからもこれまで以上に信仰を深め愛園教の発展の為に精進したいと考えております」


岡部奈々が話し終えると、2人が同時に深々とお辞儀した。観客からは割れるような拍手が起こった。
















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