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愛が輝く時   作者: 青空夢花
5/7

総会

そして日曜日、いよいよ総会当日が来た。舞はドキドキしながら朝を迎えた。

ほぼ毎日新小岩支部には顔を出しているので、もうメンバーとも仲良くなっていて緊張することは無くなっていたが、本部へ行くのは初めてだ。


今日初めて神渡教皇先生にお会いするのだ。どんな方なのだろう?

新小岩支部に集まってから皆と一緒に出掛けることになっている。

いつも通り綺麗に掃除して心を清め、神渡先生の写真に手を合わせてから出発。


横浜市とは言っても緑が多く自然豊かな所に愛園教の本部はあった。建物は立派で金箔が貼られていて黄金に輝いている。建物は本殿の他にも何棟かありかなりの広さがある。白い衣装を着た女性が多くの信者の受付や接待をしていた。



「凄い人ですね~」


舞は驚いて言った。



「全ての都道府県に信者さんがいるからねぇ。3万人以上は来るんじゃないかな?」


坂口が言った。



「ええっ、そんなに?」



「お年寄りで来られない人は中継で見るのよ」



「そうなんですか。パッと見た感じでは若い人が圧倒的に多い感じですね」



「そうね。年をとると徐々に純粋さが失われてしまうから、神の使いの仕事をする人は若い人が多いわね。でもお年寄りはお金持ちが多いから、たくさん献金してくれるのよ。あっ、いけない。これ聞いたことは内緒にしてね。先輩に怒られちゃうから」



「あ、はい」



三途の川も金次第ってことか。舞は頷いた。



「そろそろ本殿に行きましょうか」



「はい」



坂口に着いて行くと、本殿内にある大広間には大勢の信者で溢れかえっている。

一番後ろの席に着こうとすると、新小岩の他のメンバーは既に座っていた。

舞の隣には高校生の稲本香苗がいた。ゎっ、やっぱり稲本さんって綺麗だわ~。同性だけどホレボレ見とれちゃう。


いよいよ総会が始まるようだ。シンと静まり返り、司会者の男性が壇上に上がっていった。



「皆様、お忙しい中愛園教総会にお集まり下さいまして有難うございます。感謝申し上げます。

わたくし本日司会を務めさせて頂きます本郷正輝と申します。とうぞ宜しくお願い申し上げます」



客席から拍手が出る。



「神渡教皇先生もお出でになりましたので、そろそろ総会を始めたいと思います。一同黙禱をお願いします」



司会者の本郷がそう言うと、一斉に全員が目を閉じた。


「はい、目を開けて下さって結構です。…それでは神渡教皇先生にご登場して頂きましょう」


神渡教皇がゆっくりと壇上にあがり、ゆっくりとお辞儀した。



「今日の総会のために万障繰り合わせこの場にいらっしゃって下さいました信者の皆様。本当に有難うございます」


神渡教皇はそう言って頭を下げた。それから言葉を続けた。


「本来ならば全ての信者の皆様お一人お一人と顔を会わせ語り合いたいと思うのですが、信者の皆様は全国にお出でになるのでなかなかそうもいかず、いつもビデオでこちらから一方的にお話しすることしか出来ておらず心苦しく思っております。


出来ることなら全国いや全世界の人にお会いして、それぞれの皆さんの苦しみ、そして悲しみをお聞きして、その痛みを私のものとして魂に投影していきたいと思っています。彼らの手を握り、抱きしめ少しでも彼らの痛みを和らげていきたい。


しかしなかなかそれもままなりません。私が世界中の人に会うことは出来ません。…が、しかし、私の平和への熱い思いは未来永劫変わることはありません。たとえ世界中の人々と直接会わなくても私には神から与えられた使命があり、そして平和を守りぬく力も授かっております。


でもそれは私1人の力だけでは成し得ません。

神は言われるのです。平和への強い思いを持つ人々と力を合わせることが大事であると…。そして世界中が平和になり、この世が楽園となる為には、まだまだ多くの人の力が必要であると…。どうかここにいらっしゃる皆さんお一人お一人が、私のこのメッセージをあなたの周りにいらっしゃる皆さんにお伝え下さいさいますよう心よりお願いいたします。


私はたとえこの身が無くなろうとも、決してわたくしの強い思いは消えることはありません。世界中の人々の幸せに輝く笑顔を信じて、魂となっても祈り続けます……」



神渡教皇が涙ながらに語る言葉は、舞の心にも響いてきた。魂の叫びとも言える言葉に尊敬できる人だと思った。周りを見ると、両手を合わせ拝んでいるお年寄りもいたし、涙ぐんで聞いている若者もいた。舞もいつか信者になるのかもしれないと思った。


当然のことだが舞の隣にいる感受性の強い稲本香苗は、大粒の涙を流し聞き入っていた。


神渡教皇の話が終わると、全国の信者で県の代表の人が壇上に上がり話をした。


総会は月に1回年に12回行われるので、北海道から沖縄までの信者が4人ずつ話することになっている。それぞれが活動の様子を話し、平和への熱い思いをそして何より愛園教に対する深い信仰心を語った。


宗教と言うと高齢者が多いというイメージがしていたが、愛園教は平均年齢が若いと思った。この総会に参加している7割は40才未満という感じだ。



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