教祖 神渡教皇とは……
ビデオを見終わると坂口は言った。
「次にお見せするるビデオはわが『愛園教』の教祖であり、世界中で最も神に近い存在である神渡教皇先生オの有難い講和です。ここにいる全員、魂を1つにして命を1つにして聞いて下さい」
「はい」
「はい」
「はい」………
全員が大きな声で言い背筋を伸ばし深々とお辞儀すると、テレビの画面を見つめた。舞も慌てて皆の真似をしてお辞儀してテレビの画面を見た。
「こんにちは。私が神渡教皇と言って、この愛園教の教祖です。
このビデオを見ているということは、新たな仲間が増えて、と言うことでしょうか
この世はまさに荒れ果てています。戦争は絶え間なく続き、世界中には何億人と言う人々が飢えに苦しんでいます。
私は若い頃からそのことで悩み苦しんできました。そして悩み抜いた私は人類平和を求めて様々な宗教へと足を運び問うてまいりました。しかし何処にも私の満足する答えはありませんでした。
そんな私の前に神様が現れたのです。それは今から40年昔、私が27歳の時のことでした。朝起きると、神様が枕元に立っておられました。全身から眩いばかりの光で輝き、すぐにその方が神様であると確信出来ました。
私は布団からはね起き敬礼していました。その時神様はこう言われました。
「あなたが地球の平和を強く望んでいることを私は知っています。しかし世の中でそれを実現可能に出来る人間は、世界広しといえどもあなたしかいません。なぜならあなたは私と魂で繋がっているこの世に二人と居ない唯一の存在だからです。あなた一人しかいないのです。私はあなたにそれを託すためにここへ来ました。
その為の戦いは大変に辛いものです。人々はあなたを心無い言葉で罵倒するでしょう。苦しい戦いになりますが、必ずやあなたの生きているうちに世界中が喜びに満ち溢れた幸せな星となる筈です」
神様はそう言うと、スッと消えてしまいました。
私は神に地球の平和を託された勇逸無二の存在なのです。
地球を平和な星にするためにはまだまだ多くの人材が必要です。
今日来られたあなたはきっと神が導いた人なのだと思います。会いに溢れた人なのだと思います。
どうかあなたの力を貸して下さい。お願いします」
神渡と言う教祖の話が終わると、
「神渡地先生のお話いかだでしたか?」
と坂口が聞いた。
「立派な先生だと思いました」
舞はそう言った。
「毎月第1日曜日は総会があって直接神渡先生にお会いすることが出来るので、ぜひ参加して下さい」
「あ…はい」
彼氏がいるわけでもなく暇なので、舞は別に行っても良いかなと思った。それにしてもさっきまで
ふざけているようにさえ見えた若者達が皆神妙な顔をしている。