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006.進化と再び


ダーグが槍を持って、光一との距離を詰めてくる。


光一は避けようとはしない、なぜなら彼は黒い鎧を纏っているから。

自分のイメージ上ではこれくらいの攻撃でダメージを受けるような鎧では、マスクドヒーローでは、ない。


「おうらぁぁぁ!!!!!!」


案の定、甲高い金属音とともに鎧は槍を弾いた。

しかし誤算だったことがあった。

弾けるのは直接的なダメージのみであって、

ダーグがつけてきた助走の分の衝撃は逃しきれずに、後方によろけてしまうのである。

反撃出来ずに、そのまま槍で突かれ続け、光一は後方に吹っ飛ばされる。


光一はすぐに起き上がる。



慢心してた…。

俺は強くなったわけじゃない。

いや、強くなったことには間違いない。

しかし、厳密には違う。身に余る力を手にしたことと、強さは比例しない。

力の使い方や、剣術を学び、それを練習して、人は初めて強くなる。

心のどこかで、ここをアニメかなんかの世界、そんな気分でいたような気がする。

力を得られたら強くなれると!……現実を見ろ!

ここで死ねば、俺の人生はそれで終わりなんだ!自覚しろ!俺!


光一は身を引き締めた。


「どぉしたぁぁぁ???光一ぃ!!!!!

 さっきまでの偉そうな口ぶりはどうしたぁ?????」


ダーグがふっとばされた光一を煽る。


「うるせぇぇぇ!!!!!」


光一も感情的になり、ダーグに突っ込んで行く。


しかし、槍の方がリーチがあるので、光一のパンチよりも先に攻撃が届く。

ダーグの槍は的確に正中線を捉えてくる。

ダーグも言うて元貴族の生まれ、剣術、もとい槍術の訓練していたとしても、

何も不思議ではない。


光一はまた後方に押し出される。


ダメだ!このままじゃ!

どうしたら勝てる?あいつに。

俺があいつに優っているものは何だ?勝負できるところは何だ?

……………………………………………………………………。


しかし戦闘中。興奮していて思うように頭が回らない。


クッソ、思い浮かばん!


その時、


<私がいるでしょ?

 あいつがどんな精霊と契約してんのか知らないけど、

 私より高位の精霊なんて、ここら辺にそうそういないわよ?>


とカルティナが語りかけた。


そうだった。

それがあった。

光一は心のモヤモヤしている部分が晴れたようだった。


カルティナのえげつない力だ!

俺が、あいつに勝っているもの!

そうだ、そこで勝負するんだ!

ならば………………


「タイプチェンジだ!カルティナ!」


<たいぷちぇんじぃ?

 …………あぁ、速くなったり、パワー上がったりするやつね。>


「そう!それ!

 後、ここの白のライン青に変えるの忘れんなよ!!!」


光一は仮面の下で少しニヤつく。

ダーグも光一を滅多打ちにし、少しニヤつきながら、


「わかっただろぉ?光一!

 戦闘において、ズブの素人のお前が俺に勝てるわけがないんだよぉ!!!

 命乞いでもしてみるかぁ?

 まぁ、したところで、あの地図はもう…、戻ってこない…。

 お前はぁ!何を持ってしても、この罪を償うことはできない!!!

 だからお前は殺す!!!!!」


そう言った。


少しカチンと来たが、光一には勝機が見えていた。


「お前はわかってない。」


目をギラつかせながら光一が言った。


「ハァッ!何がだ!?」


「俺の相棒の力を…!

 タイプチェンジ!!!!!」


すると光一の纏っていた鎧から光が放たれ、

その粒子が光一の周りを舞う。

鎧は少しスリムに変形し、白いラインの模様は青く、変色していく。


周りにいるものは皆眩しくて、目を細めている。



やがて光は消え、さっきとは明らかに違う様子の鎧を纏った光一が現れる。


「ハッ!何かと思えば、色が変わっただけではないか!

 驚かせやがって、奥の手が鎧の色を変えるだけか!!!

 拍子抜けもいいところだ!!!

 ハーハッハッハー!ハーハッハッハッハー!」


ここぞとばかりに相手をバカにするダーグ。

光一がそれに動揺する様子はない。

すると、光一は体勢をかがめ、


「さぁ〜て、変わったのは色だけかなぁ…?」


と言う、控えてろと言っていた部下2人に先攻しろと命令を出すダーグ。

突っ込んでいく、茶髪と##。

しかし、色の変わった鎧を纏うその男は一瞬にして2人の、ダーグの、視界から消え、

背後から、首筋に蹴りとお腹にパンチを当てる。

部下2人は一瞬で気絶。


ダーグもその様子に目を丸くしている。


「さぁ、今度はお前がどうするか考える番だ!」


光一はダーグを指差し、まるで検事か、弁護士のようにそう言い放った。


その指をさされたダーグは?と言うと、


なんだ?こいつ急に速くなったぞ!全く見えん!

クッソ!なんでこんなやっ…、つ…、にぃ…。


ダーグは光一の超速移動からの首チョップに意識が飛ばされ、地面に倒れる。


「まぁ、考える時間なんてあげないんだけどね!」


ニコリと笑った光一が、倒れているダーグを見下しながら、小声でそう言った。




光一の勝利である。




右耳の黒いイヤホンを押し、武装を解除する光一。


<なんとか勝ったわね!光一!>


カルティナも嬉しそうにそう言う。

すると、


わぁー!!!!!!!!


どうやら周りの住民もこの戦いを、固唾を飲んで見てたようで、

拍手喝采が巻き起こっている。


恥ずかしそうに手を上げて、声に応える光一。



すると、屋敷の中から、

これもまた、窓からこの戦いの全てを見ていたであろう

一家及び、使用人、コックに至るまで、全員が出て来た。

多くの人が、


「坊ちゃん!」とか「ダーグ様!」と言って、

倒れているダーグとその部下の介抱に回る中、

1人、上品な服を着たおじさんがこちらに近づいてくる。


「君ぃ……」


なんだぁ?こいつもやる気かぁ?と、

腰を落とし、右耳に再び手をかける光一。

すると…


「どうも、有難う!!!!!

 いや〜、君は強いんだねぇ!!!!!

 私も、ダーグに最近手がつけられなくなっててね!

 あいつは一度痛い目を見ないとわかんなかったんだよ!!!

 だから本当に感謝してるんだ!!!!!

 ありがとぉぉぉ!!!!!」




どうやらこのおっさんはダーグのお父さんみたいだ。

この人もここ半年でダーグが、もともと性格が悪かったものの、

何かに犯されたように凶悪になっていくことに、

力が無くて父親として、叱って、正してあげられなかったそうだ。


光一は、父親が、息子のダーグとは対照的に、

腰が低くて、とても良い人だったことに驚いた。


「いえ、逆にすみません。

 お屋敷の壁とか、壊しちゃって…。」


「あぁ、いいんだよ!いいんだよ!

 お金ならそこそこあるから、あんな壁はいつでも直せるよ!」

 

いや、優しすぎないか?

この人本当にダーグのお父さんなのか?


<そうね、優しすぎるわねぇ…

 優しすぎて逆に怪しくなってくるわぁ>


そうだよねぇ!なんて考えていると、

ジワジワと、ジワジワと、脇腹に痛みが走ってきた。


「イタっ…、イタっ!イタタタタ!!!!!」


どうやらあばら骨が一本、二本折れていたらしい。

今まで、アドレナリン、ドバドバ状態で、気づかなかった。


少しずつ、うずくまっていく光一。


<大丈夫!?光一!!!>

「おい!大丈夫かね?君!」


2人とも心配してくれている。

まぁ、戦いは終わったし、ゆっくり…治すよ…。

そう思っていた光一だったが、



「坊ちゃん!寝てなきゃダメです!」

「お待ちください坊ちゃん!まだ傷の手当てが!」


その声とともに、ボロボロのダーグがうずくまっている光一の方に向かって歩いて来た。


「このぉ…、クソ野郎がぁぁぁ!!!!!!」


そう言うと右手を突き出し、何かをクリエイトしようとしている。


「やめろ!ダーグ!」


自分の父親の制止も聞いていない。


マズイ…、突然すぎる!

しかも防御のクリエイトなんて知らない…!

クッソ、終わった…。


光一は腕で顔を防御しながら、目をつぶった。


「食らえ!想像(クリエイト)!ファイヤッ……」





ん?なんだ?

”ファイヤッ”?そんなクリエイトがあるのか?だとしたら炎系か?

でも、の割には熱くないし、ダメージもないぞ?


光一が目をつぶって何が起こっているのか考えていると、


「光一くん!大丈夫かい?」


聞き覚えのある声が聞こえた。

恐る恐る目を開けると…、


そこには怪我をして、ここには来られないはずのゴーシュの姿があった。


勝負はここから!三日坊主にならないように頑張ります!

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