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005.黒い鎧と長い槍


ダーグが能力(ガイド)を警戒していた頃、光一とカルティナは…


おい!急いでここまで来たけど、ぶっつけ本番で大丈夫なのか?

俺、あいつみたいな(クリエイト)使えるのか?


と今更不安になっていた。


<ええ!もちろん使えるわ!でも、簡単なのはいいんだけど…

 難しいものになると、2人の作りたいものへの意識の共有が必要になるわ!>


意識の共有?ん〜、その難しいものっていうののラインは?


<そうねぇ、例えば、ただの靴じゃなくて、ジャンプすると5m飛ぶ靴を作りたかったら、

 そのイメージを…>

ちょっと待て!ちょっと待て!

そんなもの作れるのか!?

クリエイトって魔法的なものと、剣とか、盾とかの物質を作るだけじゃないのか!?

そんな…アニメみたいな…ものも?


カルティナには森で何度も、アニメや漫画、ラノベの話をしているので、

魔法という概念も知っている。


<え?何今更、作れるわよ?

 ただしそのレベルのが作れるのはBランク以上の精霊だけだけどね!>



初めて知ったぁ…。


なるほど、ラノベでいう、”付与魔法”みたいなのが付いたアイテムが作れる、と…

そういう事なんだな!

おしっ!これはかなり使えるぞ!

俺が今まで読んで来たアニメ、漫画、ラノベの知識がフル活用できるからな!


光一もまた、ダーグほど狂った感じはないが、

思わぬ情報に興奮し始めていた。


あっ、ごめんカルティナ!さっきの話、続けて!


地味に自分がBランク以上の精霊であることを自慢していたカルティナであったが、

それを、光一に気づかれなかったので、

さっきよりも圧倒的にめんどくさそうに&ちょっと怒り気味で、続きを話し始めた。


<はい、だからぁ、あらかじめ共有しておかなきゃならないのよ!

 作りたいもののイメージを!

 片方にそのイメージがあっても、もう片方にそれが無ければ、ただの靴になっちゃうってわ、け!>


なるほどぉ、じゃあ、()()は共有できてるから使えるな?


<まぁ、()()ならずっとあの森で話されたから使えるけど…。>


じゃあ、この勝負勝てるわ!


カルティナとの頭の中での会話を終えると、光一は耳に黒いイヤホンのようなものをクリエイトした。


「あぁ、解放してやる。」


ダーグそう言いながら、早く地図をよこせとばかりにロングソードを人質に向けたまま、

不気味な薄笑いを浮かべ、右手をこちらに差し出してくる。


行くぞ、カルティナ…!


光一はそう伝えると、地図をダーグに向かって、放物線を描くように投げた。

ダーグはお宝(地図)が飛んで来たので、人質に向けていたロングソードから手を放し、

地図の落下地点に走ってくる。


光一もロングソードから手を放したのを確認し、

ダーグの方に向かって走って行く。


ダーグの部下はそれを警戒、腰を落とし、戦闘態勢をとる。


調理火(コンロ)!!!」


その時、光一の左手から放たれる炎に、地図が焼く尽くされる。

あぁ!!!というような顔を見せるダーグ。

燃やされてもまだ、灰になっている地図を見ている。


「チェンジ!!!」


光一は右耳の黒いイヤホンを押し、静かにそう言う。

するとどうだろう?

体が一瞬で黒い鎧のようなものに包まれ、

一瞬で威圧的ななオーラを体から放ち始める。


お宝(地図)に目が眩んでいた間抜けなダーグも、そのオーラに、さすがに我に帰り、

地図から光一に目を移す。

2人の部下もダーグを守ろうとし、急いで光一の方へ走ってくる。


しかし、時すでに遅し。

黒い鎧を纏った光一の圧倒的なスピードに対応できず、飛び蹴りを食らう。

屋敷の壁まで飛ばされ、めり込む。

続けて、部下の2人もパンチ、回し蹴りを食らい、外壁にまで飛ばされ、叩きつけられる。



光一は回し蹴りの勢いで屋敷側にに背を向け立っていた。


「俺のマスクドヒーローデビュー戦…、

 決まったぜ…。」


光一は小声で呟くと、顎に手を当て、目を細めた。

そう、光一がクリエイトしたのは、”マスクドヒーローK・A・I”の変身アイテムである。

なぜこれをクリエイトしたかと言うと、

手っ取り早く力が使え、カルティナとお互いに意識が共有されているもの…

それは森に、猫を被ってたカルティナが毎日来てたときに話していた、

”マスクドヒーローK・A・I”である。


<猫を被っていたって何よ!ひどいじゃない!>


ハイ、スミマセン。


もう怒られるのもだいぶ慣れて来た。


それよりも人生初の本気(マジ)キックが完璧に決まったことに、

光一はとてつもなく充実感を覚えていた…。




<何、感傷に浸ってんのよ!またあいつらが起きて来たらどうすんの!

 早く!人質!人質!>


「あぁ、そうだった!

 まず逃がさないと!サンキュ!」


そう言うと光一は避難させに人質の元へ走って行った。

光一に初めて感謝され、少し嬉しかったカルティナであったが、

今はそれどころではないので、その気持ちはグッと堪える。


光一は人質にされてた人達のところまで行くと、

頭を下げ、必死に謝った。


「みなさん!これは僕が原因で起こった事です!すみません!

 償いは後でいくらでもします!まず逃げましょう!ここから避難しましょう!」


光一なりに誠意いっぱい、謝罪の気持ちを伝えたが、

人質にされていた人達は光一に対しても酷く怯えている。


光一はなぜ怯えられているのか不思議に思った。


<あんたがそんな物騒なもんいつまでも着てるからでしょうが!>


「あぁ…。」


カルティナの言葉に納得した光一はもう一度イヤホンを叩く。

すると、身にまとっていた黒い鎧が消え、中から汗をかいた男が出て来た。


「逃げましょう!」


そう、もう一度言うと、一斉に逃げ出す人々。



「ありがとうね、光一くん。

 助かったよ!やっぱり君は立派なクリエイターだったんだね!」


人質の中にいたあのおじさんが話しかけてくれた。


「いえ、そんなことありません。巻き込んでしまってすみません…。」


そう言い、うつむく俺の肩を叩きおじさんは笑顔で、


「じゃあ、これでおあいこっていうことで!」


と言った。


この世界に来た初日からあんな目にあって、自分は恵まれていないと思ったが、

そんなことなかったのかもしれない。

おじさん、ゴーシュさん、カルティナ…、

これでも俺は恵まれてないと言えるか? いや、言えない!

俺は、悪い出会いもあるが、出会いにも恵まれている!


そう思い、おじさんに精一杯の笑顔を見せた。



よく出来ているもので、人質を全員逃した後で、

ダーグとその部下たちが起き上がって来た。

ダーグは背中を思いっきり壁に強打したはずだが、

打ち所が良かったのか思ったよりかはピンピンしている。部下たちも同様。


光一は少し驚いていた、確かに手応えはあった。

だからカルティナにまたあいつらが起き上がって来たらどうすんの!と言われたが、

おじさんと言葉を交わす余裕があった。

それ故の「決まったぜ…。」だった。

しかし、また起き上がって来たのなら、さっきと同じように、倒すのみ!

光一はそう考えていた。


「光一ぃ…、お前ぇ、よくもあの地図(クラスダイヤモンド)を!!!

 ………………いつクリエイターになったぁ…?

 どこでそんな力を手に入れたぁ!!!!!」


ダメージを受けた体をかばうように立つダーグが、叫んでいる。


「ダーグ様ぁ…、あまり無理は…!」


部下の茶髪が興奮しているダーグをなだめようとしている。

ダーグも部下の奴らも、少し上品な服を着ていたが、もう土まみれで、

白地だったものが茶色地か!ってくらいに変色している。

さらに血を吐きながら、平民である光一にボコボコにされている。

もう側から見て彼が貴族だと思う者は1人も居ないだろう(まぁ、そもそも”元”ではあるんだが!)。

そして、光一はさっき、人生で初めてした、喧嘩の勢いそのままに、


「いいぜ、答えてやるよ。

 俺はこの半年、ただボォーとしてたわけじゃねぇ!

 体も鍛えてたし、何より俺はいい出会いがあった!

 そいつに力ももらった!今の俺はお前よりつぇえ!!!

 お前、この街の人たちにひどい対応してたらしいなぁ…。

 その腐った性根、俺が叩き直してやるよぉ!!!」


と言い放った。


何回目だろうか?ダーグはまた叫ぶ。


「やってみろやぁぁ!!!!!

 クリエイトォォ!!!!!ロングランスゥ!!!

 …………………刺し殺してやるよぉぉぉ!!!!!!!」


そして作り出した槍を構える。


光一も右耳のイヤホンに手をかける。


「チェンジィ!!!!!」


黒い鎧に包まれる。


第2ラウンドが始まる。


あぁ、あらすじで俺は何か損しているのだろうか?

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