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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第三章 貴族裁判

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095 精霊ちゃん達やらかしてました

 希少種族の猫妖精(ケットシー)を堪能する女史夫妻を半ば引きずりながら、ヒューズ君から放牧地への案内を頼まれた。

 離された女史夫妻の嘆く声が虚しく響くも、ヒューズ君はガン無視である。

 多分、ここでエメリーちゃんの不興を買ったら、私にも見放されると判断したのだろう。

 定住地をもたないと女王国の市民権が剥奪されて、流民となるしかなくなる。

 となると、隔離施設に強制的に移動させられて、財産も差し押さえられるらしい。

 夫妻にとって、伴侶より大切な財産を無くす訳にはいかないのは道理であるから、ヒューズ君の態度も理解できる。

 ヒューズ君、かなり苦労してるわ。


「あ~、猫ちゃんが~」

「貴重な学術資料が~」

「はいはい、終わりです。旦那様はご自身のテイムしたペットを構いなさってください。奥様は後でレポートを纏めればいいです」

「「うちの子が厳しい」」

「はい、貴方達に付き合った結果です。過去のご自身を恨んでください」


 嘆く夫妻を何のその。

 ヒューズ君は取り合わず、さらっと流していく。

 再度言わせて貰うが、うちの農園から追いだされたら、市民権を剥奪されてしまう。

 それと、財産没収だからね。

 互いの伴侶よりも大切な財産を無くす訳にはいかんだろうとの、ヒューズ君の判断であろう。

 夫妻には、有難い判断だと思われる。

 ここで私に見放される訳にはいかんだろう。

 ヒューズ君、出来る養子だ。

 細身の身体で大人二人を引きずる体力に、家畜の世話だけで培った技能ではないのに苦労が忍ばれる。

 んで、レオンの案内で放牧地に移動する。

 暫く歩いて件の放牧地に辿り着く。

 家畜小屋と放牧地帯には農作物の区域と区別する意味で、魔物の家畜が体当たりしてもびくともしない強度の柵をこしらえてある。

 そして、牧草地帯も準備してあった。

 エスカとレオンの成せる技による豊富な牧草地帯には、休息に来ている大地のちび精霊ちゃん達も頑張ったおかげで、農園外の荒れ地と比較しても豊富な牧草が生い茂っていたりする。

 まあ、農作物の区域にも言えるのだけどさ。

 エスカが配合してくれた種や苗木の成長率も凄まじいものがあったが、店売りの種や苗木の成長も大地のちび精霊ちゃん達の恩恵を受けているのが判明していた。

 植えた翌日には萌芽していたり、苗木は倍に成長していたりと、アンナマリーナさん曰くやっぱり摩訶不思議農園だと言われた。

 したり顔で言わんでも身に染みて理解したわ。

 いや、あのね。

 おちびちゃん達や。

 君達、酷使されていた日々の休息に来ているんだよね。

 なに、しれっとお仕事してるかな。

 休息なんだから、のんびりとしてればいいのに。

 頑張らなくても、追い出さないからさぁ。

 乾いた笑いしか出てこない。

 僅かな週で、収穫出来てしまう羽目になった農園に、喜ぶおちびちゃん達を見たら文句は言えなくなったけどね。

 時空の子達も、気付いてないと思っているでしょうが。

 君達も、時間操作しているの気付いているからね。

 だから、成長率が早いの分かってるんだからね。

 フィディルに止めるように伝えても、基本時空の子達は放任主義で自由気ままな性質だから、言うこと聞きやしない。

 それでも、大精霊の説得に渋々といった表情で諦めさせたら、無言の上目遣いで訴える手段に発展した。

 何か、大地の子達だけ許すのはどうしてと、言いたいらしい。

 いや、どの子達にも許可してないからね。

 大地のおちびちゃん達は勝手にしているんだからね。

 説明したら、じゃあ勝手にやると言い出すわ。

 樹木のおちびちゃん達も、水のおちびちゃん達も我も我もと参加してくるしで、私の意思そっちのけになった。

 氷の子達はセレナの意を汲んで静観してくれているのが、地味に優しい。

 聖の子達は、農作物に祝福を授けてくださりやがりました。

 そのせいで、下手に商売用に出荷できないんだよ。

 精々が、シェライラの処かアンナマリーナさんの実家にお裾分けするぐらいしか消費できないというね。


「精霊農園に名称変更した方が良さそうですね」


 ついに常識人なナイルさんにまで、おちがつけられましたとさ。

 くすん。

 私の農園なのに、私の意思が通らない農園になりつつある現状です。

 話が逸れた。


「おわっ。思っていた以上に立派な家畜小屋に広い放牧地ですね。これなら、皆喜びます。さあ、旦那様。皆を、出してあげてください」

「うむ。少しどころか、大いに驚いた。では、【 次元仮小屋(ディメンションホーム)解放】」


 テイマー固有魔法かな。

 旦那さんが、両手を広げて叫ぶと、開いた狭間の空間が歪む。

 その歪みは徐々に大きくなり、旦那さんの眼前を覆い尽くし、歪みからゆったりと日本で言うなら子象並みの大きさの牛の魔物が進み出てきた。

 グレートモーモーだっけ。

 魔物だけあり、大きいなぁ。

 その数、成体だけで二十を越す。

 ほんでもって、日本の乳牛並みの大きさが幼体だろう。

 とてとてと、親牛に続く。

 新しい場所に出てきたグレートモーモー達は、匂いを嗅いだり、牧草を食み始めたりと、次第に馴染んでいく。


「こっちが、鶏小屋」

「はい、旦那様」

「ほーい」


 牛小屋に隣接する鶏小屋もどうかと思ったけど、同じ魔物類ならいいかと納得した。

 軽いノリで、旦那さんがまたテイムした魔物を呼び出す。

 ワイルドコッコは、どちらかと言うと烏骨鶏に近いかな。

 鶏冠が金色だけども。

 大きさ的には普通だ。

 ただし、魔物だから魔力は持っている。

 群れのボスらしき個体が索敵能力で、安全か探っている。

 その間の群れは一塊で纏まり、幼い個体を守っている。


「牛と鶏に告げる」

「レオン?」

「お前達のマスターは、この男性だろうが。この農園と牧場の主人は俺のマスターだ。いいか、俺のマスターとマスターが居住を許した住人に怪我等させたら、問答無用で大地は許さん。安住の地が永遠に無くなると記憶しろ」

「樹木も誓願するよ。マスターに歯向かったり、農作物荒らしたら食べるもの無くなるからね」

「水もだよ。いいね、約束だよ。マスター達に敵対したら、お水あげないからね」

「……寒くするよ。おとなしくしてね」


 レオンとお子様ズが、次々に威圧感出して魔物達に釘を刺す。

 何事も、初めが肝心である。

 魔物達が私達を舐める行いをして許したら、私達より上位の立場にあると勘違いして無法な行いをしてしまう。

 丹精込めた農作物に被害が出たら、即食材決定ですなぁ。

 なので、うちの子達をいさめはしないでおく。

 それぞれの魔物のボス個体は、了解したのか寝転び、無防備な腹を見せる事で服従した。

 大精霊の本気な威圧だしね。

 また、大地と樹木と水に見放されたら、速攻で群れは全滅必須だ。

 従うしかない。


「よし。なら、ランベリゼ農園へようこそ。荒しがない限りは、滞在を許す」


 レオンの尊大な言葉に、ボス個体が起き上がり、群れの仲間に伝達して各自が居住を許可された為に寛ぎ始めていく。

 あれ?

 これは、農園主の私にではなく、レオンに服従したんじゃないか?

 若干、疑問が沸いた。

 まあ、農作物や住人に被害が出ないなら、いっか。


「あれ? テイムマスターのおれの役目が奪われた?」

「あー、いいんじゃないですか? 所詮、我々は居候ですし、居住許可の代わりにこの子達から採れる牛乳や卵を納品したり、商業ギルドに卸した何割かの金銭を対価にしないとならないですから」

「ああ、そうだったね。その辺を、忘れていたな。そうだなぁ、暫くは、居着いたばかりで提供できる質の高い牛乳なんかは出ないだろうし。ライザスの商業ギルドにも、まだ話を付けてないからね。半年分は、貯蓄から出そう」

「あ、それは既にシェライラから頂いてます。半年分ではなく、数年単位で頂いてますので、お構い無く。まず製品化できる質のモノは、バウルハウト侯爵家とクラーゼン侯爵家に納入してください。その手段は、お持ちだと聞いてます」


 錬金術で栄えた女王国である。

 一方通行の納入システムが組み込まれたアイテムボックスが、開発されている。

 私もそのアイテムボックスによって、シェライラの領主館に農作物を納品している。

 いやぁ、便利なアイテムボックスだよ。

 時空の精霊が開発に関与しているので、腐らず、虫も湧かない機能が付いている。

 ただ、何故か女王国内でしか機能しないので、他国へは納品できない欠点がある。

 そんな便利なアイテムボックスであるから、高額な商品でもあり、一般家庭には普及してない難点もだ。

 よって、貴族の屋敷か、商業ギルドに加入している商会でも大店舗にしかない。

 あ、アルバレア家は普通に最近購入したそうです。

 あちらの料理長さんが、祝福が付いた食材の質の高さに驚愕して報告してくれたのが、聖の子達のやらかしを教えてくれたのだ。

 我が家のブラウニー達は、私が把握していると疑いを持たず、言わないだけで知っていた。

 ので、私が知らなかったのに報告しなかった事態を、大変恐縮して凹んでしまった。

 うん。

 わざとではないし、どちらも事態を把握していないのが悪いのであって、ブラウニー達を責める気はさらさらありませんわ。

 私も、きちんと鑑定せずにいたしね。

 アンナマリーナさんには、摩訶不思議農園を例に出されて突っ込まれたけどさ。

 精霊視のないアンナマリーナさんや騎士ワイズさんにも、精霊の恩恵がふんだんに溢れている土地であると認識されているのに。

 土地主が、認識してないへたれっぷりを露呈してしまった。

 これでは、精霊ちゃん達を叱るに叱れない。

 甘んじて、精霊ちゃん達の恩恵を受け入れましたよ。

 とほほ。

 まあ、でも栄養不足だったロイド君とエメリーちゃんやナイルさん達、ララとリリ含むマーベル一家が肉付き良くなってきたのを見るに、精霊ちゃん達良くやったと誉めるべきなんだよなぁ。

 同年代の子達と比べて、痩せ細り、小柄な兄妹と等しく痩せていたナイルさんに、毛並みが良くなかったララとリリも艶々してきているので、お礼に魔力入りのお菓子を精霊ちゃん達に大盤振る舞いしたさ。

 そうして、更に精霊ちゃん達が張り切る循環となっている我が農園である。

 新しい家畜の魔物ちゃん達も、精霊の恩恵で質の高い牛乳やらを生産してくれるのが目に浮かぶ。

 もう、この際だ。

 精霊の祝福付きの商品として、世に出しても構わない気がしてきたぞ。

 精霊商会として、商業ギルドに加入してくるかな。

 そういや、農園の登録してないや。

 冒険者ギルドの帰りに登録するの忘れてた。

 怒られる前に、行くとしますか。



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