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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第三章 貴族裁判

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089 新しいギルドマスターに会いました

 公爵さんは、充分に曾孫成分を補給して、にこやかに帰っていかれた。

 まあ、爵位返還やらの後始末を終えたら、近場に引っ越してきそうではある。

 エメリーちゃんに農作業の大変さを話されて聞いて帰っていったので、領地で畑作業の練習しかねないかもね。

 爵位返還の手続きも、そう簡単には行かないようだから、すぐには再会とはならないだろうな。

 しかも、厄介な老女問題もあるしね。

 離婚は出来ない制度のせいで、公爵さんの妻である元女王が新しい寄生先に寄り付かないように手配しないとならないしで、アルバレア家にも警告しとかないとならない。

 まあ、その辺りはアンナマリーナさんが、対処するだろうけどさ。

 変に私が介入して大騒動にならないようには、しておくかな。

 ほんでもって、翌日。

 漸く、ライザスの冒険者ギルドにお邪魔する事ができた。

 いや、先送りしていた話もあるからと、お姉様からのお呼びだしに催促されたからだけど。

 案の定、ギルドに入るなり、受け付け嬢をしていたお姉様に捕まり、二階の客間に案内された。


「あのぅ。遅くなって、済みません」

「冒険者ギルド側から言わせていただくと、もう少し早く来ていただきたかったのが本音です。が、ご事情は領主様からも伺っておりますから、文句はございません。本来なら、此方側がバーシー伯の元にお伺いしないとならないのが筋ではありますが、私達冒険者ギルドの職員がバーシー伯に二心を持ち、御不興を買ったのは事実ですので、精霊様方からのお許しがないとお屋敷に近づけない為、ご足労願いました事こそ謝罪致します」


 あー。

 色々やらかしているからなぁ。

 ギルド職員も上から目線な職員もいれば、丁寧に応対してくれる職員もいて、前者の類いはうちの農園に近づけないんだよね。

 これ、私が意図してやらせているのではなく、精霊のおちびちゃん達が率先して、悪意ある輩を排除しているんだわ。

 なので、自然とお姉様の足に使われるのが、顔馴染みのレードさんだったりする。

 今日も、大層疲れた様子で農園に辿り着いた訳なので、あまり遅いと怒らないであげて欲しい。

 多分、おちびちゃん達に遊ばれたであろうやつれた姿に、此方が詫びを入れないとならないだろうから。


「では、前置きははしょりまして、本題に入らせて頂きます。先ず、ライザス支部のギルド長は王都のグランドマスターから引退勧告を受け、既に交代致しました。此方が、新しいギルド長になります」

「初めまして。王都の冒険者ギルドのサブマスターを勤めておりました、アレン=ミュールと申します。御覧の通り、エルフ族との混血のハーフエルフです」


 おお。

 初めて会えた異種族が、ファンタジーの定番たるエルフさんだった。

 ハーフであろうが、エルフはエルフだ。

 ちょこっと、感動した。

 金髪翠眼の、細身の男性である。

 内心では拝んでいたりする。

 あっ、やべ。

ララとリリのケットシーや、レードさん達獣人種の皆さんを、すっかり排除してた。

  あの子達も異種族だった。

  始て会った異種族じゃなかった。

  てへ、ぺろ。

  ぐっ、キャラにないことしてしまった。

  内心、Orzです。


「いやぁ、聞いていた以上に精霊に好かれておられますねぇ。貴女がギルドに入るなり、精霊が集っていかれるのを目の当たりにして、私が配属されて本当に良かったです。グランドマスターが貴女に会ったら、絶対に更なる不興を買うのは目に見えています。ああ、本当に良かった」

「噂に聞きましたけど、収集家だそうでしたね。やっぱり、うちの子達狙いでしょうか」


 六柱の大精霊が守護者をしているだけでも付加価値があるのに、守護者には珍しい男性体までいるのである。

 しかも、青年体、少年体、幼年体と揃っている。

 コレクターなら、喉から手が出てきてもおかしくはない。

 本日も、うちの子達は勢揃いして、新ギルドマスターを観察しに来ている。

 私に対して害に成りそうな人材かどうか、穴があくほどガン見しているお子様ズに、やや警戒を露にしているレオン。

 フィディルとファティマも、私の背後で値踏みしているだろう。

 うちの子達の、ギルド関連の印象はあまり良くない。

 変な柵を持ち込んで敵対視しようものなら、過激な報復がいくぞ。

 しかし、アレンさんは危惧しているような敵視はしてはこない。

 それどころか、友好的に対応してきている。


「いやぁ、まあ。あの人のコレクター魂には、手を焼くのは事実ですが。人様の所有する大切な守護者を、好き勝手に奪う事はしでかしてはいません。ただし、聖母教会が守護者を売買してモノ扱いにしている阿呆な方々には、相応な対処をしているだけです。あの人の悪評は、そうして奪われた方々が撒いている噂にしか、過ぎません。私が言いたかったのは、守護者にではなく、貴女自身があの人の理想の恋人に成りえそうで、厄介な事になるのを恐れているからです」

「追記させていただきますと、グランドマスターが過去に暴露した理想の恋人像に、バーシー伯は全てが一致してしまっているのですわ」


 はい?

 恋人像ですと?

 私の両脇と膝にいるお子様ズが、頬を膨らませた。


「「反対、反対。マスターは、あげない」」

「……あげない」


 一応、剥れて声を張り上げるお子様ズを窘めておく。

 むうと、抱きつかれた。


「教えておきますと。あの人の理想の恋人像は、先ず同族である事。次いで、精霊に愛されている事。これは、自分よりも精霊重視が、良いそうです」

「……はぁ」

「それから、確たる信念があり、曲げない精神的強さと、他者からの圧力に対して跳ね退ける実力がある事。外見には拘りがないそうで、その人の本質である内面が輝いて見える方が理想だと宣っております」

「更に追記させていただきますと、天翅族は居住地から外界に出るのは嫌う性質です。グランドマスターみたいに、野蛮な輩を纏める奇特な性格の持ち主はほとんどおりません。また、天翅族のハーフであるバーシー伯の存在は、希少も希少な存在ですわ」


 人外さん情報で、私の設定種族は、此方の世界でも私だけである。

 天翅族は閉ざされた世界で完結しているような扱いで、外界に興味を持つ性質ではないとのこと。

 だから、ハーフはスーパーレアな存在なんだって。

 その裏設定がある為、私は人外さんの地上での名であるエルネスト枢機卿より、手厚い保護対象にされている。

 特に使命はないが、あれな神が復活したら、あの現在は使用不可な魔法をぶちかまして、制裁しろ的な役割りがある。

 矛盾しているようだけど、私的には巻き添え召喚した国と、ダレンを弄んだ輩に報復できるなら、演じるには不満はない。

 まあ、人外さんも影では協力してくれるのだろうとは思う。

 それと、他の天翅族は、気質がおおらかと言うか、のんびりした気質でもって、他者と争うのを無意識に拒絶している。

 容姿が人間種族より優れているエルフ族同様に、過去には人間種族に愛玩動物に近い扱いをされていて、かなり人間種族が到達出来ない地域に引きこもる種族である。

 その為、外界で活動している天翅族を発見したら、幸運に恵まれるとの噂が一人歩きしていたりする。

 天翅族と言っても、宗教画にある天使のように常に背中に羽を背負ってはいない。

 翅は、過剰魔力がその様に顕現する、補助的な役割りを担う固有の魔力波形なだけで、空を翔ぶには役に立たないシロモノである。

 だから、私も翅を展開しなければ、単なる容姿に優れた人間種族と偽装しても疑われない。

 まあ、鑑定眼に優れている人物に鑑定されたら、認識されてしまうけど。

 私の隠蔽スキルが高いので、身分証を開示しなければバレたりはしないだろう。

 多分、私の冒険者ギルドカードを作製した時点で、受け付けてくれたお姉様には種族は知られている。

 特に、私は種族に関しては秘匿はしない主義だから、公表されても構わないと思っている。

 希少種族狙いの輩に対抗する手段も持ちえているので、奴隷商? 何それ、美味しいのと挑発出来てしまう。

 搦め手で、ロイド君やエメリーちゃんを人質にとされても、アルバレア家と言う武門の一族が潰しにかかるだろう。

 まあ、そんな事態になる前に、うちの子達や精霊のおちびちゃん達が、報告して事前に捕縛してしまうな。

 そうなると、敵も形無しだ。

 アレンさんやお姉様の指摘は、グランドマスターがやらかすかもと推測出来る。

 私に害があると判断されたら、先ずうちの子達が側に近付かせないだろう。

 おちびちゃん達も追従して、加勢して妨害してくれる。

 公爵さんみたいな突撃訪問は、阻止されることは確実。

 ただし、グランドマスターも分別、良識ある人物らしいから、あまり危険性はないとみた。


「私が此方に配属する時点で、念の為釘は刺しておいてますし。代わりのサブマスターには仕事を途切れさせないように手配するのを諫言してきましたので、むやみやたらとライザス地方にはこれはしないでしょう」

「ライザス支部のやらかしも報告してありますので、バーシー伯へ悪印象を与える行為はくれぐれもしないように、私も念押ししてあります」

「ですので、どうか冒険者ギルドをお見捨てにならないようにお願い致します」


 アレンさんとお姉様に、頭を下げられた。

 特段、前ギルドマスターや、見下してきた職員については、既に遺恨は残してはいない。

 ので、謝罪は受け入れた。

 ほっと、安堵されるアレンさんとお姉様に、私は自分が難物件扱いになっているのを認識させられた。


「では、本題の本題に入らせて頂きます」

「あっ、はい。どうぞ」

「王都のグランドマスターより、宰相閣下から通達されました。バーシー伯の領地になりましたベルゼの森関連の依頼に関しまして、納めさせていただく税率は三割と設定させていただきましたが、異存はございませんでしょうか」

「はい? 税率?」


 そう言えば、ベルゼの森とランカの土地を拝命されたんだった。

 お姉様の話では、ベルゼの森は女王国内においても魔素が溜まり易い土地で、生息する魔物や動物、樹木にも含まれる魔力が他の地域に比べて多く残存して価値が高い商品となっていた。

 また、魔物が内包する魔石も純度が高く、高値で売買されていて、ライザス支部はかなり潤っている地区だとか。

 前領主の代では、王領であるにも関わらず、ベルゼの森関連の税率は五割も納めなくてはならなかった不遇の時期があった。

 しかも、依頼する側、受ける側、ベルゼの森の素材を売買する際にも必ず五割も納めないとならない、金の成る木とされていた。

 流石に、王領地をライザス領主が不正に横領していたのを突き止めて、グランドマスターに報告して宰相閣下に直訴して、不正が発覚して前領主は摘発されて地位を剥奪された。

 以降は、新領主のシェライラが見直して、適度な税率に戻し、ライザスの税金と合わせて王領地の税金を納めていたのだとか。

 この度、正式にベルゼの森とランカの土地を領地に拝命された宮廷伯が誕生した。

 うん。

 税金に詳しい人材を雇わなくてはならなくなりましたよ。

 悲しい事に、人材に相応しい方が皆無である。

 シェライラに相談しよう。

 んで、拝命したご祝儀として、詳しい人材を雇うまで、ベルゼの森への依頼金の税率はギルドの手数料を除いた銀貨一枚にして、成功報酬からも銀貨一枚にして、ベルゼの森の素材の売買の二割を受けとる形で押しきった。

 思ってもみない税金に、小金が貯まっていそうな気配がひしひしと伝わってきた。

 あらやだ、頭を悩ませる問題がまたもやでてきて、お腹が一杯です。

 誰か、適切な助言者を、プリーズです。


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