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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第三章 貴族裁判

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085 厨二設定は否定しました

 論功行賞と祝勝会が終わると、私だけその日は王城に宿泊して、ナイルさんとアンナマリーナさんは農園に帰宅させた。

 王都にあるアルバレア家の王都屋敷に宿泊しなくていいのか一応は聞いた。

 ナイルさんは、子供達が心配だからというのは分かる。

 アンナマリーナさんは、暫く振りの家族との交流はいいのか?

 答えは、その父親から適齢期の娘を持つ他家の貴族から、ナイルさんへの婚姻打診を回避する為にも、仲良く帰宅しなさいと忠告されたらしい。

 まあ、ナイルさんの亡くなった奥さんが公爵家の相続人だったから、自動的にナイルさんにも相続する権利が発生しているらしく、欲に目が眩んだ輩が既成事実を捏造する恐れがあるので、王都にいない方がいいとのこと。

 何て言っても、我が農園には大精霊の守護と眷属ちゃん達の加護もあるから、女王国内で一番安全地帯ではあるからね。

 オレリアさんも、頷いていた。

 んで、二人には帰宅して貰い、私は王城に宿泊。

 今回は、不埒な言動をしない女官さんが、しっかり面倒を見てくれました。

 ただし、翌朝女王ちゃんとシェライラにあげたはずのドレスが守護者経由で返ってきたのは想定外だった。

 特に、宰相閣下の守護者のアリスにとっては、マスターだったエララの作品。

 手元に残しておいた方が、喜んだんじゃないかなぁと考えていた。

 しかし、どうも女王ちゃん側に不埒な行動をしようとした女官がいて、ドレスの秘密を探ろうと切れ端を手にいれようとハサミを使用したそうだ。

 その女官は、祝勝会にいた貴族から幾ばくかの金銭を握らされて、裾の辺りなら分からないだろうと思ったらしい。

 けれども、ドレスには特殊な製法で織られた金属製の糸が素材である。

 ただの、ハサミでは切るなんて出来やしない。

 躍起になっている現場を女官長に見られて、すぐに取り押さえられた。

 女王の衣装を任される責任ある立場の女官が、金銭で裏切る行為をなした。

 女官長の怒りは凄まじく、急遽女官長と侍女長や侍従長を集めて綱紀粛正の規定を遵守する事を、それぞれの部下に徹底させるのを徹夜で話し合ったそう。

 そうして、問題の衣装は王城では扱いが難しいと判断されて、持ち主に返却を女王ちゃんと宰相閣下に提言した。

 いや、守護者が管理すればいいんじゃないの?

 大精霊なのだから、アイテムボックスクラスの収納方法があるんだからさ。

 こっちとしては、献上した訳なんですけど。

 私も困惑してしまった。

 しかし、当の守護者達が、収納できても適正に保管が出来ないと言い張り、ドレスは返却されてしまった。

 じゃあ、装飾品はと聞いたら。

 そちらは、空間魔法が掛けられた箱に入れておけば大丈夫だからだって。

 ドレスをしまっておけるサイズの箱がないのでとの文句だったが、どうも問題の衣装を王城に隠しておいたとしても、またもや不埒な行動をしない者を出さない為に嘆願されたようである。

 まだ、真珠なら多少は無理をすれば手に入る品なので、そちらは問題提起されなかった模様。

 仕方なく受けとるしかなかった。

 朝から食傷気味になり、その後の会食はどうやって過ごしたかあまり記憶にない。

 ユークレス家から、お詫びの果樹の苗木やらを貰った記憶だけ残っている。

 確か、近隣諸国の縁で手に入れたはいいが、気候があわないのか根付かないのだとか。

 それを聞いたら、偶々私の元に来ていたエスカが張り切って、育成方法を訂正して教えていた。

 肥料にある素材が必要で、それがないと育たないと言う。

 ユークレス家は、私のお詫びの証に何が言いか馴染みである大伯母の宰相閣下のアリスに尋ねて聞き込みした結果、珍しい苗木か作物の種が選ばれて手配し、不備がないか試して領地で栽培してみたものの根付かないので、進呈していいか迷ったそうだ。

 しかし、私の守護者には植物に精通しているエスカがいるので、迷うことなく差し出せとアリスに強要されたみたいである。

 決して、不良品を進呈した訳ではない。

 私的には、たいした労力や金銭を購った訳ではないから、大変有難い贈り物である。

 ほくほく笑顔で受けとる事ができた。

 それにしても、苗木を売った側の底意地が悪いのが判明した件について、仲介した業者と売り主に苦情を申し立てるユークレス家に、その業者と売り主の名を聞いておく。

 悪意には悪意で返そうではないか。

 大地のレオンと樹木のエスカ。

 二柱の大精霊のお仕置きにより、暫く不作の年が続くと思え。

 餓死者が出ないギリギリのラインを見極めた節制の日々を送るがいい。

 勿論、庶民が巻き添えにならない程度の嫌がらせではあるがな。

 特権階級の貴族が、農作物を搾取しないように気を配るけどな。

 また、ユークレス家が主体となって、監視して適切な支援はすると言う。

 騙されたのが悪いと言う理屈は通らんぞ。

 せいぜい、騙したユークレス家に盛大な貸しを作るといい。

 こうして、夕方やっと我が家に帰宅できた。

 苗木は、果樹ブロックの畑にエスカと共に、植樹してレオンが肥料を撒いた土と同じ影響がある土に変換してくれた。

 おまけに、農園に休息にきている大地の精霊のおちびちゃん達も、僅かながら力を貸してくれた。

 おかげさまで、枯れる事なく成長してくれた。

 まあ、過剰な加護のせいで成長が早いがな。

 僅か三日で、私の背丈を越して成長したのには、驚きだった。


「だから、細工師の農園は摩訶不思議農園で登録したら?」


 辛辣なアンナマリーナさんである。

 ランカの領地は私の領地になったけど、住人が我が農園だけであるから隣のライザスの街で、商業ギルドに農園登録しないとならない。

 それで、農園の名称をどうするかで揉めた。

 単純に、バーシー農園では捻りがないので面白くはない。

 だとすると、ゲーム内で登録した名称にと思ったのだけど。


「精霊の恵みだと、通用しないから。却下されるだけ」


 正式な名称だと認定されずに却下されるんだって。

 なら、摩訶不思議農園も却下されるんじゃないか。

 喧々諤々、アンナマリーナさんとやりあった。

 ついでに、冒険者ギルドからも会合に出てくれと、丁寧な態度のギルド職員がシェライラ麾下の騎士さん連れて手紙を寄越してきた。

 何でも、ベルゼの森は王領であったから、税金は王城へ納めていたのが、私が拝領した為税率なぞに関して話がしたいそうだ。

 なるべく、早く顔を出して欲しいと、サブマスターのお姉様の署名できた。

 後任のギルドマスターはまだ、決定してないみたいである。

 そうして、ライザスの街にいくなら、ついでに農園の登録をと言う関係で名称をどうするかで、躓いているのだ。

 もう、バーシー農園でいいかと思い始めてきた。


「それなら、ランベリゼはどうでしょうか。元々、この地方は当初はそう呼ばれていました。意味は楽園となるのですが、開拓が失敗して見放された土地ランカと、無法地帯の森ベルゼと名が分かたれたと父から聞いています」

「「採用」」


 まさか、破綻したクランの名をつけるにはいけないし。

 日本式な名称もいかがなものかと唸っていると、みかねてナイルさんが提案してくれた。

 アルカディアとかユートピアとかエデンとかセフィロトとか、厨二全開な名称は嫌だしね。

 提案してくれたお子様ズやレオンには悪いけど、地元にちなんだ名称なら違和感がない。

 即決しました。

 やっとこさ、決着して必要な書類を書き上げて、出掛けようと準備していたら。


「マスター、お客さんが来ているぞ。ジルコニアのマスターの所の騎士が案内して、こんな紋章がついた豪華な馬車が何台か連れだってきている」


 レオンが、懇切丁寧に描いた紋章を見せて、招いていない客の来訪を教えてくれた。

 祝勝会にて披露したドレスと装飾品狙いの貴族御用達の商人が、前触れ無しにやって来ているからか、レオンはやや警戒している。

 招かざる客は、農園に一歩も踏み入れないよう守護結界には設定してある。

 一見開閉し易そうに見える門扉であるが、承認してある人物しか開閉できない仕組みにしてあるので、利権狙いの商人は入場できはしない。

 閉ざされた門扉の向こう側で、住人を呼ぶだけしかできない商人は完全に無視した。

 与しやすそうな子供を説き伏せて入場されないように、ロイド君とエメリーちゃんには門扉に近づかないように注意しておいた。

 それでも、諦めない執念を見せていた商人もいたけど、シェライラ宛に実態を報告したら、すぐに騎士を派遣してライザスに連行して貰った。

 いや、私が拝領した領地にテントを張って居座ろうとしたから、領主の許可がない無法者として禁固刑に当たるらしい。

 私有地にて許可ない居住は、一時的であれ領主の許可がいる。

 私が許した住人は、マーベル一家とアンナマリーナさんと護衛の騎士ワイズさんのみ。

 だから、わざわざシェライラが案内の騎士をつけて農園に客を招くなら、アルバレア家絡みかな。

 描かれた紋章をアンナマリーナさんに、見せてみた。

 アルバレア家とアンナマリーナさんの実家のウィンチェスタ家の紋章は、教えて貰っているから、該当しない紋章が不思議だった。


「これ、アルバレア家絡みではないわ」

「なら、どの貴族さん? シェライラも、何故か報告してくれてないんですけど」

「ナイル卿と、ロイド君とエメリーちゃんを呼んできて。この紋章は、エンブリオ公爵家だから」


 おや。

 想定外の家がやって来た。

 あれかな。

 マーベル一家を農園従事者にしているのがバレて、自らお叱りに来たとかかな。

 それにしては、馬車が何台か連なってと言うのが気になるが。

 お昼過ぎの休憩時間であるから、マーベル一家はすっかり一家の部屋となった使用人部屋で新たな住人となった精霊のナナリーと昔話に花が咲いている最中だろう。

 精霊が顕現するには、契約者の魔力に依存する。

 幼いエメリーちゃんが、長時間ナナリーを顕現させるのはかなり無茶な行為ではある。

 が、我が家にはナナリーの属性の大精霊もいるし、眷属の大地の精霊も沢山存在している。

 同胞の力を借りて、農園内なら、エメリーちゃんに負担がなく顕現できる恩恵がある。

 なので、今のマーベル一家は子爵家の昔話を聞きたがっていた。

 主に、エメリーちゃんが。

 女の子は綺麗なお話が好きみたいで、論功行賞で垣間見た王城の世界に夢中になっていた。

 後、外交を担っていた曾祖父の諸外国の話にも興味を持っていた。

 でも、自分が既にマーベリック子爵令嬢で、貴族の一員になっているのは自覚してはいない。

 ロイド君は自覚していて、いつまで農園にいてもいいか悩んでいる節があった。

 剣術の稽古や貴族のマナー講座も嫌がらずこなしているが、剣よりも鍬で田畑を耕したり、農作物に触れていたい様子でいる。

 我慢は厳禁だけど、こればかりは私も助けてあげられない。

 アルバレア家に居住を代えても、農園に来られる様にしてあげるくらいしか手がない。

 まあ、まだ時間はあるので、ロイド君の意思に叶った道をみつけてあげよう。

 ならば、公爵家とも喧嘩はやむ無し。

 来るなら来い、である。




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