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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第二章 貴族の在り方

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070 ヤバイ品を作りました

 さて、諸々の下準備を終えて、数日後。

 はたと、気付いてしまった。

 ナイルさんは騎士ワイズさんを仲介して、騎士さん達と親睦を深めて貰う為にフォレスト領に滞在して貰わなくてはならない。

 私も序でにロンバルディアからの招かれざるお客さんに対して、細工罠を仕掛ける為に家を留守にする。

 すると、必然的にロイド君とエメリーちゃん兄妹はどうするかが問題となった。

 ブラウニーのアンジーとクリスがいるので、衣食住には困らないが、保護者がいない事態になるのだ。

 では、兄妹もフォレスト領に一緒に行けばいい、とはならない。

 ロイド君とエメリーちゃんには、ケットシーのララとリリがもれなく付いてくる。

 おりしも、フォレスト領の領主騒動は分家のファレル家の醜聞による爵位剥奪によって、一応は下火になったけど。

 ナイルさんの出自と農民であった事実を受け入れない分家や寄り子達が、希少種族のケットシーに目を付けて悪巧みを企み、ロイド君とエメリーちゃんを傷付けないとは限らず、身の安全が保証されない場所に置いておく訳にはいかない。

 そうなると、兄妹とケットシー達は必然的にお留守番しか選択肢がなくなる。

 しかし、先にも述べたけど、保護者が不在となるし、ブラウニー達は家付き妖精だから家と農園周辺においては無敵となるも、万が一にも農園から出てしまったら私の指示を仰がなくてはならなくなる。

 その間に、兄妹に不測の事態が起きたら、ナイルさんには平謝りどころではない。

 うん。

 手詰まり感半端なし。

 ロイド君は、お留守番でも問題がないとは言いそうだ。

 エメリーちゃんも、寂しいだろうが我慢しちゃうしなぁ。

 ララとリリは、自分達がとかで悩みそうだ。


「マスター、悩み事?」

「エスカ、間違えた?」

「……お留守番の事?」


 細工の作業部屋でうんうん唸っていたら、お子様ズに心配された。

 んで、セレナが的確に言い当てる。


「そう。ロイド君とエメリーちゃん兄妹だけになるから、大人がいない中で事件とか起きたらどうしようかなってね」

「……それ、大丈夫」

「フィル兄が、ジルちゃんにお話ししてたよ」

「諍いが起きる直前までレオ兄がいて、ティア姉も守護結界を重ね掛けしてくれるって」

「……ジルちゃんが、ジルちゃんのマスターが信頼する騎士を派遣してくれる手筈ついた」

「ユリスもエスカやセレナと交代で、農園にいるよ」

「エスカも、ロイ君とエメちゃんは家族だから、守るよ」


 セレナ、ユリス、エスカの報告により、あっさりと解決してしまった。

 しかし、うちの子達の成長に驚かされた。

 私以外の人間に対して、配慮する気配りが出来るだなんて、本当に驚いた。

 大精霊と契約する他のクランメンバーとは、一人を除いて気安く会話するも、マスター至上主義な大精霊は基本的にクランメンバーに何が起きてもマスターに害が及ばなければ放置してしまう。

 まあ、メンバー其々が大精霊と契約しているので、些細な案件で終了してしまうのだけどさ。

 しかし、下位の精霊が己のマスターの窮状を訴えて私達に助力を願っても、私達に知らせる事なく放置がざらだった。

 後で知り、理由を聞いたら、大精霊だからと頼りにされても、その精霊は又何か起きたら頼りにしてしまう。

 そうなると、精霊の格は上がらず、大精霊を動かせる特別な精霊だと慢心してしまう。

 それは、大精霊の本意ではない。

 下位の精霊もマスターを得たり、世界運営に貢献したり、切磋琢磨して昇級していくのが望ましい。

 それが、精霊のあるべき姿ではないか。

 成る程なぁ、と当時は感心した。

 半面、マスター至上主義は、他のプレイヤーと差別しているのではないかとも思った。

 精霊と契約して守護者を得るプレイヤーの数は、全プレイヤーの数パーセントでしかなかった。

 女性限定でもあったのが災いして、折角得た守護者を妬まれ、狙われ、奪われ、存在を消失させられたプレイヤーもいた。

 守護者を得たプレイヤー同志で同盟を組めば、対策をとれたかもしれない。

 その頃の大精霊を守護者にした私達は、クラン崩壊の真っ只中で他者を救済する余裕がなかったのも一因がある。

 聖人気取りのユーリ先輩は、アカウント停止処分中。

 各人が、引きこもりをしたのも悪かった。

 うちの子達は、他者からの悪意から私を遠ざける意味もあり、下位の精霊の助力を最低限の範囲で救済していたのを、後に気付いてはいた。

 ただし、救済するのは精霊だけで、プレイヤーには一切手を貸さなかったりする。

 その記憶がある私にしたら、ロイド君とエメリーちゃんを家族と認識したお子様ズの言葉には、感慨が深くなるのも仕方がない。

 まさか、フィディルやファティマも率先して、手配していただなんて、お祝いするべきだろうか。


「色々と気配りしてくれて、ありがとう」


 お子様ズを順番に撫でておく。

 笑み崩れるその表情に、誉めてほしくてした行為ではないのが分かる。

 純粋に、家族の一員だから当たり前。

 そんな声が聞こえた気がした。

 そうして、ジルコニア経由でシェライラが信頼して、ロイド君とエメリーちゃんとも顔見知りな騎士さんが部下数名と共に農園に派遣されてきた。

 気さくな騎士さんばかりで、ロイド君とエメリーちゃんも人見知りはしなかった。


「アルバレア侯爵家縁のお子様方と聞いておりましたが、シェライラ様やバーシー嬢を庇おうとされた勇気あるお子でしたか」

「父君も策略により爵位を剥奪され、次の叙爵式にて爵位を正式に継承されるとの事。まさしく、重畳」

「皆様方の留守中に、お子様方には安心してお過ごしなされるように致します」


 皆さん、好い人でした。

 ただ、寝泊まりする場所で若干揉めましたとさ。

 ブラウニー達が張り切って、騎士さん達の部屋を増築したのだけど、食事の提供は受けるが持参したテントで寝起きするとか言い出すのだ。

 いや、留守番役なんだから、家内でも大人がいてくれた方が此方も安心できるのだけど。

 騎士さん側は、家主が不在の家に寝泊まりする

 訳にはいかないの一点張り。

 どう説得しても平行線なので、裏技をだしたよ。

 ユーリ先輩から押し付けられたインベントリから建築珠を取り出し、もう一軒家を建てました。

 此方は木目調のログハウスタイプ。

 家妖精(ブラウニー)付きではない、只の家。

 隣接する母屋と屋根付きの渡り廊下を設置すれば、すぐに駆けつけれると判断した。

 ここまでやれば、流石に騎士さんも妥協した。

 素直に、ログハウスに持参した荷物を置いてくれた。


「子供達をお願いします」

「はっ。マーベル卿が恙無く、フォレスト領の防衛に専念出来るよう任されました」

「父ちゃん、いってらっしゃい。また、怪我をしないようにしてくれよ」

「ははっ。まあ、又怪我をしたらミーアさんに治して貰うよ」

「お姉ちゃん。そうなったら、お父ちゃんを助けてね」

「うん。私も任されました。まあ、作戦が上手くいったら、ナイルさんの出番はなくなりそうだけどね」


 ロイド君には、ナイルさんがフォレスト領で何をしないといけないかは話してある。

 お父さんが昔は従騎士見習いをしていて、隣の国と資源を求めて争いをした経験を聞いて覚えていた。

 従騎士見習いだったナイルさんが、国境争いにて本陣で活躍した訳ではないが、後衛で物資の身張り番位しか役には立ててはいないそうだ。

 だから、今回が遅咲きの初陣となる。

 まあ、アルバレア侯爵家的には漸く後継者争いに終止符を打てたナイルさんを、むざむざとロンバルディアとの争いで喪うのはいただけない。

 実力ある人材を周りで固めて、不測の事態にも対応出来る様にはしているだろう。

 念の為に、私からも武装の邪魔にならない腕輪を作製して、思い付く限りの付与をした渾身の作品を身につけて貰っている。

 留守番側のロイド君とエメリーちゃんやララとリリにも、私達が帰宅するまでは決して外さないように念を押して、同じ腕輪を渡しておいた。

 その腕輪をみたアンナマリーナさん曰く、あれを身に付けていたらどんな邪悪な魔法や、悪意ある攻撃から簡単に身を守れるとお墨付きを得た。

 んで、その腕輪は世に出すなと警告された。

 二度と作製するなとも、言われた。

 失礼な。

 腕輪の価値位は、作製者なのだから分かっているっての。

 興味本意で鑑定したら、偉い物を作製したと判明している。

 シェライラにも確認したら、一つの装飾品に付与出来る魔法は三種類まで。

 しかしながら、余り世間には出回らない逸品で、耐性を底上げする機能しかない。

 私が作製した渾身の作品は、完全無効と反射機能を付与した物。

 為政者やら、脛に傷を持つ輩やら、転売目的で一攫千金を狙う輩には、とんでもない宝となる。

 あはは。

 ちょいと、やり過ぎた。

 少しだけ反省はするが、後悔はなし。

 フォレスト領から帰宅したら、幾分か機能を抑えたヤツと交換しよう。

 まさか、私が原因でロイド君とエメリーちゃん達を危険に晒すとは思わなかった。

 まあ、根が素直な兄妹が腕輪の機能を逆手に取り、他人に自慢する子達ではないのが幸いである。

 ララとリリは付与された魔力を感知して、かなり震えてはいた。

 あれは、腕輪の機能を正確に見抜いているな。

 今だけと思って、我慢しておくれ。


「ミーアさんがそう言うなら、お父さんは大丈夫だね。安心してお留守番しておいで」

「それにね。転移魔法を駆使すれば、簡単に帰って来ることが出来るしね」

「なら、夜にはお家に帰ってこれないの?」


 太鼓判を押す私に、疑問をぶつけるエメリーちゃん。

 それは考えなかった訳でもなく、ぶっちゃけるとロンバルディア国の軍勢が国境沿いに布陣している時に、大将が自陣にいないと指揮に関わると却下されたんだよねぇ。

 レードさんからも、何時本格に攻めいるかは調べようがないとの連絡があったばかり。

 今回のロンバルディア国の軍勢を指揮する司令官は獣王に次ぐ地位の持ち主で、白夜の星が参戦する争いに消極的な獣王を批判して、勝ち戦にする事で獣王の座に就く腹積もりらしい。

 あはは。

 さあ、招いていないのにやって来るロンバルディア国の軍勢さんよ。

 国境の守り手であれ聖剣を所持した英雄の末裔と、白夜の星がお相手してあげましょう。

 うふふ。

 楽しみだなぁ。

 ナイルさんの初陣を華々しく飾り、勝利を招こうではないか。

 それから、二度と女王国に攻めいることが出来なくなる様にしてあげよう。

 決戦の日が待ち遠しくなってきた。

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