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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第二章 貴族の在り方

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 アナスタシアちゃんとアンナマリーナさんは、まだ蟠りがあるものの和解に至った。

 通信の魔導具で実家に報告をしにいき、母親のオレリアさんも魔導具越しにアナスタシアちゃんに謝罪した。

 シェライラが間に入り、アナスタシアちゃんの身柄はウィンチェスタ家が保護して、フォレスト領外に匿うことになった。

 んで、私の家も候補にあがったけど、我が家には既にマーベル一家がいる。

 貴族令嬢が宿泊するには、ナイルさんというアルバレア家後継者がいるので、邪推する輩がいないとも限らないし、アナスタシアちゃんの母親に利用されやすい環境なのは確かなので、シェライラのバウルハウト家に託されることになった。

 錬金術の先生は男爵位なので、子爵位のファレル家(アナスタシアちゃんの実家)に逆らいづらい面がある。

 侯爵位のバウルハウト家なら文句はそうそう言えないし、錬金術の鍛練に必要な課題をこなす為の勉強会だと偽ることにした。

 その間に、ファレル家を断罪する証拠を探しだし、容赦なく潰すそうである。

 貴族院法によれば、親の罪も子供に適用されるらしいが、アナスタシアちゃんを虐待していた事実もあり、未成年者保護が先に適用されて、罪には問われないそうだ。

 といっても、実際はシェライラがいるライザス領主館に保護されるだけなので、身近な場所にいるのは変わらない。

 独り立ちする際の受け入れ先になればと、シェライラの秘書的な扱いにするそうな。

 バウルハウト家も手を回して、錬金術の先生もライザスに引っ越してくるてはずになった。

 それで、ファレル家への嫌がらせをどうするか、微妙に悩んでいた。

 だって、うちの子達やる気に満ちているからなぁ。

 下手に、自由にさせたら被害が甚大にならないかが気になる。

 作物を枯らせたりすると困るのは無実な農家だしね。

 ファレル家の舘だけ水脈を弄り、豊富に扱えない嫌がらせだと、苦労するのは使用人の人達だしね。

 魔石や精霊石で代用されるから、維持費狙いでいってみるか。

 やり過ぎないようにアンナマリーナさんに釘刺されているので、地味な嫌がらせをすることにして罠にかけることに。

 先ず始めに、きんきら宝石が輝く腕輪を作製してみた。

 蔦薔薇の細工を施した金細工の腕輪には、緻密に装備している者が飲食する水やワインといった飲み物の味を酸っぱく感じさせる魔法陣を組み込んだ。

 それを、アンナマリーナさんの母親にファレル家所縁の装飾品だと見せびらかして貰う。

 ただし、装備している間は水分は飲食不可だと厳命しておく。

 ファレル家から旦那さんが婿入りする際の結納品だとでも吹聴しておいて貰う。

 おまけに、毒無効の効果が施された逸品であるともつけておけば、自己顕示欲が強く、オレリアさんを出し抜きたいのなら引っ掛かるだろう。

 案の定、その装飾品はファレル家の家宝なので、返却するように言ってきた。

 態々、鑑定証と由来を捏造してまでとくれば、笑いが止まらない。

 オレリアさんには渋々返却してもらい、お芝居の報酬に猛毒無効の効果が施された指輪を進呈した。

 実質、ファレル家を牛耳る母親は捏造した家宝を自身の物にした。

 そこで、第二の罠が発動する。

 二度目に装備した者の固有魔力を読み取り、常時装備するように所有者固定を組み込んでみた。

 つまり、外せなくなった訳だ。

 時空属性の精霊に監視して貰ったら、憎いオレリアさんからきらびやかな宝石の腕輪をもぎ取ったと喜んだ束の間、装備したら外せなくなり、しかも飲み物は酷い味がする。

 嵌められたと怒りに震える母親は、だけども抗議が出来ない状態にいる。

 だって、ありもしない家宝の鑑定証を作製してみたり、由来をでっち上げて言いなりのファレル家当主に証言までさせた。

 しかも、非はオレリアさんにあるみたいな発言までして、周りの同情を買ったりしていたのだ。

 そうまでして手にした腕輪が贋物だっただなんて、私なら世間体を気にして表沙汰にはしない。

 だのに、お馬鹿な母親は正面からオレリアさんを罵倒して、自分を騙したと騒動を起こした。

 貴族院も巻き込んで、真贋の調停者も出張る羽目になった。

 オレリアさんにファレル家所縁の装飾品だと言って渡したのは旦那さんなので、オレリアさんは嘘をついていない。

 毒無効も真実なので、嘘ではない。

 逆に、捏造した鑑定証を作製したのは母親の方だと判明したから後の祭り。

 由来の証言も真っ赤な嘘。

 オレリアさんから、嘘をついて装飾品を騙しとったのは母親の方だと逆に断罪されることに。

 貴族院からも貴族に相応しくない行いであると通達がいき、爵位剥奪か降格かで裁かれるまでに発展させた。

 で、爵位を剥奪されたくないファレル家は母親を離縁して、実家に返す算段をつけた処へ、オレリアさんの反撃がいく。

 実の娘を虐待していたり、使用人への体罰に給金未払い、税金の横領に、今回のように他家の所有物をファレル家の所有物だと騙した罪が明るみに出て、お家断絶待ったなしな状況になった。

 流石に、大事に発展したからアルバレア家も監督責任を問われた。

 でも、アルバレア家が弱体化したら国境の問題も出てくる。

 幾何かの賠償金を課せられるだけにとどまった。

 んで、ファレル家は爵位剥奪で、一家離散することになる。

 といっても、父親は他の分家預かりになり、アルバレア家の為に働かされる日々が待っている。

 問題なのは母親である。

 離縁されて実家に返されるも、汚点でしかない娘を飼殺しにする気はないみたいで、規律の厳しい修道院送りになったそうだ。

 息子は連座して、騎士位も剥奪されて平民に落とされた。

 オレリアさんが反旗を翻さないように、生涯を監視しておくそうだ。

 娘のアナスタシアちゃんは虐待されていた犠牲者だけど、ツンデレ言動が引っ掛かかり、処分が揉めた。

 身を守る為とはいえ、かなり強気な発言をしていたから、母親みたいになるのではないかと疑われたのだ。

 父親も庇う素振りはなく、結局オレリアさんが身許保証人になり、錬金術の先生の養女になることが決まった。

 本人は清々したと強がりを見せていたが、家族が離散したのだから影響はそれなりにあった。

 ジルコニア経由で、ダイアナと二人だけになると人知れず泣いているそうだ。

 まあ、こればかりはどうしてあげることも出来ない。

 時間が過ぎるのを待つしかない。

 けれども、周りの悪意に負けずに、心機一転頑張っているそうだ。

 養母の夫人とダイアナとで、新しい生活を始めていた。

 こうして、ファレル家問題は片付いた。


「まあ、今回の被害は大したことなくて良かった」

「あのさぁ、いくら私でもそうそう物騒なことやらかさないって」

「裏から情報操作して、貴族間にファレル家の悪評を広げたりしたことが? 精霊に貴族の醜聞を集めさせているのを知っているんだけどね」

「アルバレア家に有害な醜聞は前以て知らせてあげたりしたじゃんか。オレリアさんからは、礼状の手紙やらがきたけど?」

「母上は、分家やら寄り子の貴族家の弱味を握って万万歳だろうけど。権力が集中し過ぎて、敵を産み出すのは次代のナイルさんが大変なことになるだけでしょうが」


 アンナマリーナさんに窘められているのは、ファレル家を潰すのに消極的な日和見主義な分家の弱味を握ってみたり、アナスタシアちゃんに罪が及ばないように情報操作してみたのをである。

 なにせ、親の罪も子供に適用される法だから、アナスタシアちゃんが巻き込まれるのは避けたかった。

 この法も、ユーリ先輩の悪法だ。

 今まで、誰も法を改正したりはなかったらしく、悪法だと思わなかったのだろうか。

 疑問が湧く。

 そりゃあね、清廉潔白な貴族もいたよ。

 だけどさ、親の権力をあてにして平民なりに振りかざして威圧して、何らかの損害を与えるバカボンもいるのは事実だから。

 社交界に明るくないアンナマリーナさんには、フォレスト領しか分からないだろうけども。

 貴族令嬢の中にも、他者を貶めることに情熱を傾ける娘さんもいたから。

 あの毒母みたいに、身分が劣る子から物を取り上げるのが日常茶飯事だったりするから貴族もピンきりだね。

 当代女王が平民出身だからと侮り、反抗心を抱いている貴族もいたよ。

 この情報は、宰相閣下に渡しておいた。

 綱紀粛正が捗ると喜んでいた。

 最近、貴族間において貴族院法に従わない貴族もいたりするそうである。

 ならば、とっとと他国にでも出奔したらどう?

 貴族籍を抜いて流民にでもなってしまえ。

 富だけ享受して、義務を怠る。

 そんな、貴族なんていらないでしょ。

 ただ、まだ女王国ではましな部類なんだそうだ。

 悪法だとした貴族院法が他国と比べて厳しく、身分制度を区別しつつも、貴族を縛る楔になっていた。

 有り難くも名誉子爵位を賜る私に、オレリアさんから貴族院法の分厚い書籍が届けられている。

 勿論、ナイルさんにもである。

 アンナマリーナさんからも、貴族の在り方を学ばされていたりする。

 厳格な身分制度がある女王国だけど、平民を守る制度も貴族院法には組み込まれていた。

 搾取するなかれ、掠奪するなかれ。

 こうした平民を守る法もあるから、悪法だと言われても改正しないのだろう。

 その反動で、貴族間では搾取したり掠奪したりするのが横行しているのか。

 まあ、だからと言って見てみぬ振りはしてはないみたいだけどね。

 人命を損なう可能性がある策略は全て、宰相閣下に話してある。

 姿なき賢者の報告として承り、対処すると言っていた。

 頑張ってくださいませ。


「細工師、自分が益々替えが効かない、他人が喉から手が出る逸材だって、理解している?」


 苦笑気味に、アンナマリーナさんが溢す。

 まあ、今回理解させられたよ。

 姿なき賢者を、自由に操れちゃうってね。

 人外さんがくれたかもしれない称号のおかげと、守護者達の活躍によって、期待していた以上の情報が集まって困ったのは記憶に新しい。

 でも、まさか契約していない属性の精霊も、ご褒美欲しさにやって来るだなんて、私も信じられなかったよ。

 特に、風の精霊達。

 自由気ままな子達が率先して、大挙して来るとはねぇ。

 自分がやばげな勢力を築いているのを、痛感した。

 隠匿しないとならない案件が増えた。

 私の一言で、全属性の精霊が動きそうだなんて、誰にも言えないし。

 農園にも着々と、大地や樹木の精霊が集って来ていて、種植えした作物がもう芽吹いているしさ。

 いや、大地の子達は冒険者ギルドに束縛されて疲弊していたのを、回復しに来ていると思いたい。

 アンナマリーナさんに、摩可不思議農園と別名がつけられような勢いだけどね。

 もう、遅い気もするかなぁ。

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