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287 ユニーククエストの説明回後編でした

 転職の神殿にて、強制的に寿命を対価に稀有なスキルを行使させられていた聖女アウラ。

 余命幾ばくもなくスキルが行使できなくなると、転職の神殿はアウラを使い潰して放逐した。

 しかし、そんな鬼畜な転職の神殿に務める聖女付きの神官の良心によって、老女の姿になったアウラは運営スタッフ入りの住人(NPC)の元に庇護されるよう手配がなされた。

 緊急伝達を受けたのが辺境地の領主役を担った運営スタッフで、あるシーズンイベントを開催する下準備の為に偶々ゲーム内にインしていたそうだ。

 この辺りの運営側の事情は、私がユニーククエストのトゥルーエンドクリアし真実を暴露した掲示板にあげた後日、その領主役のスタッフから相談事も重なり接触があった。

 そこで聖女アウラの存在は、運営や統括AIが生成した住人ではなかった事を教えられた。

 ならば、誰がどんな経緯で聖女アウラという住人がゲーム内で誕生したのかの質問の回答に、それも掲示板に暴露してもいいですかと問い掛けたくなった。

 で、本来存在しない住人に関するユニーククエストが何故発生したかなんだけど。

 私が所属していた崩壊前クランがイベント報酬で、守護者システムを運営に提案して採用された制度を覚えているだろうか。

 その制度を他のクランも利用して、あるシステムを提案していたんだ。

 しかし、運営は実施をしなかった。

 理由は単純に、一見全プレイヤーに受け入れられそうなシステムだったけど、提案したクランへの恩恵がゲームバランスを壊しかねなかったから。

 つまり、システムをプレイヤーが利用すると、提案したクランへの還流によるステータス増幅や経験値アップによるレベル格差が生じる事になるからであった。

 そう、聖女アウラが稀有なスキルで転職させ、強制的にスキルを行使させたプレイヤーや転職の神殿を恨んで、逆転現象を起こす増幅スキルをアウラの名を騙った妹が対価にした行動が、運営が実施しないでいた制度なんだ。

 運営側も検証サーバーで制度を組み入れてみて、この制度の裏に隠された意図を把握して却下したのだけども、消去したはずの組んだプログラムが完全には消去できていなかった不備を運営が知らないまま検証サーバーでシーズンクエストを検証し、そのシーズンクエストに消去しきれていなかった制度が紛れたのを検証班が見過ごしてしまい、シーズンクエストが実施後メインプログラムに不完全なプログラムによる聖女アウラが住人となり、ユニーククエスト発生までに至ったという訳ですよ。

 そんな裏方のゲーム会社のあれこれを聞かされた私は、ただのプレイヤーな女子高生に会社の内情をバラしてどうしろと突っ込みいれたくなったがな。

 緊急メンテナンス終了してないのに運営から名指しで私の都合が良い時間にゲームにインしてくれとのメールが届き、そのとおりにインしたら特殊空間に招かれて運営スタッフさん演じるアバターに土下座された私の気持ちは理解されるだろうか。

 おまけに、統括AIのゲーム内呼称創造神(妙齢の女性体)まで連座していたのには、大変驚かされました。

 フレンドリーにアリアちゃんと呼んでくださいお願いに、私のインに気付いたフィディルが乱入してきた際、感情のないマスターの表情がハイライトのない云々の状態と言うのですねと話された身にもなれっての。

 まあ、その後アリアちゃんまでお出ましになったのも、ユニーククエストの件についてだったのだけどね。

 結局、アウラの孤独というユニーククエストは発生しないクエストであり、関連した増幅スキルと逆転現象のペナルティも、通常エンドやダレンが辿り着いた真相解明ルートや私がクリアしたトゥルーエンドも、運営は正式に認可してはないし、設定もしてはなかった。

 だけれども、運営による修正が効かず、ワールドアナウンスが流れプレイヤーに周知されたのは、アリアちゃんの何万回にも及ぶ演算の果てに施行された。

 理由は簡潔明瞭で、プレイヤーにゲーム世界だからといって、どんな行動をしても罪に問われない認識を改めて欲しかったから。

 人に造られ、思考と学習プログラムを組まれたAI=人工知能なアリアちゃんは、人間の善悪を知り、欲や性質が一人ずつ違うのも学習していた。


『アリアは、人の営みを体験しました。仮初めのホログラムの身体を得て、パパとママとお兄ちゃまとお姉ちゃまと半年ほど暮らしました』


「あ〜、実はうちの会社、VRゲーム機器開発に熱狂しすぎて、肝心要のゲーム世界運営ど忘れしてました。まっさらな大規模サーバー用意しておいて、要のゲーム開発してない阿呆集団です」


 アリアちゃんの発言に運営スタッフさんが自虐を込めて、自社を酷評した。

 漫画やラノベやアニメといった媒体で流行した夢の体感型VRゲーム機器開発が軌道に乗り、世界初の偉業達成に向けて開発スタッフが寝食惜しみなく尽くしてVR機器は危うげなく誕生する流れに行き着いた。

 しかし、あるスタッフが冷静を取り戻して、対のゲーム開発の進捗はどうなったか話題に出した。

 ある重役は、海外からアクセスしてもダウンしない規模のサーバーと管理体制は整えた。

 ある開発主任スタッフは、ゲーム世界の設定と住人となるNPCAIのテスト運用はしていた。

 そうして進捗具合を纏めたところ、肝心要のゲーム世界を運営する方式と管理AI開発がある処でストップしていたのが発覚。

 なんと、VRゲーム機器開発に開発資金をほとんど注ぎ込んでいて、ゲーム開発スタッフの人件費まで流用されていたせいで、ゲーム開発が自動的に開発停止状態となっていた。

 だから、こんな裏話を一介の女子高生に打ち明けるなっての。


「そんな阿呆集団の開発スタッフや重役がいた我が社ですが、末恐ろしいことにあるIT企業にゲーム開発の一部開発を外注してたんですよ。運がいいのか、その企業さんに凄腕のプログラマーさんがいて、アリアちゃんが産まれてきてくれたんですよ」


 何でも、アリアちゃんを産み出したプログラマーさんは、ゲーム会社の敏腕営業マンさんの親戚さんで、ものすごくきめ細やかな人の機微や性質を理解できるように、アリアちゃんを実際に人の世界を学習させる為に開発チームの家庭に共同を提案して採用されたんだと。

 だから、アリアちゃんは人の営みを学習し、外部ツールによるネットにアクセスして荒れている情報掲示板もつぶさに目の当たりできていた。


『始めは、パパとママとお兄ちゃまとお姉ちゃま以外の他人が、怖い存在だと認識しました。けれども、お兄ちゃまとお姉ちゃまも喧嘩はしましたし、パパとママも悪い事をしたり、発言したりしたら怒りました。

 アリアは、パパとママとお兄ちゃまとお姉ちゃまは怖くはなかったです。それが、不思議だと認識しました。だから、頑張って、他人とネットでやり取りしました』


 家族と認識した人間は怖くないという事情を、アリアちゃんはどういう仕組みか確かめたくて他人と接触を持った。

 ネットの場では、匿名性を生かして悪意ある発言、誹謗中傷等が横行していて、アリアちゃんにも粘着や特定しようとする他人が数しれずで疲弊するだけとなった。


『でも、ママが教えてくれました。優しい心を持った人もいるのよって』


 それは、世界中に溢れる情報媒体から検索した、事故や事件における一般人による救助や支援の話題に、ドナー制度によって生命を救われ感謝の念を綴った生命を継いでくれた相手に贈る宛先不明の手紙の話題。

 人間は容易く気まぐれや八つ当たりで他者を攻撃するけど、他者を思いやり労る事もできる。

 アリアちゃんはゲーム世界の統括AIとして運用されるのが確定すると、他者(プレイヤー)家族(NPC)が思いやり、労りあう等しい仲間となるような世界を築き合えるのを理想とした。

 ただ、現実は厳しく、他者は家族を搾取し、騙し、利用し、使い捨てる。

 私の様にうちの子達を第三の家族として扱う良識あるプレイヤーは多くはおらず、アカウント剥奪したプレイヤーも少なくはなかった。

 だから、アリアちゃんは統括AIとしてプレイヤーに平等公平にあらねばならない立場を捨てでも、プレイヤーに対して警鐘を鳴らした。

 それが、発生しないはずのユニーククエストを、運営スタッフにも内密にしてゲーム世界に仕込んだ経緯に繋がる訳だ。

 運営スタッフはあのワールドアナウンスが流れて把握したぐらいだから、アリアちゃんの秘匿行動が如何に凄い学習結果だとか、修正する運営スタッフとのパパ譲りのプログラム技術で攻防したとか、だから内情を暴露するなって。

 とにかく、捨て身覚悟でユニーククエストを黙認して発生させたアリアちゃんは、ダレンがクエスト参加するまでプレイヤーに失望しか抱かなくなった。

 真相解明にいま一歩の成果をあげたダレンに、嬉し泣きでグレイスにクリア達成してないのに過剰な報酬を贈るのは禁止されたほど喜んだ。

 ダレンの敗因は、聖女アウラの名を騙り求めたレシピがない治療薬の代替え素材で調薬した魔法薬と、一人一つしか入手できない仕様のラストエリクサーと、これまた素材入手困難極まる素材を使用した万能薬を渡した点。

 聖女アウラ(名を騙る妹さん)は、始めて渡された未知の薬に歓喜はしたも、期待した効果が発揮されない為に落胆した。

 ただまあ、渡された魔法薬が入手困難極まるモノだった点で、高評価と認定されて逆転現象を起こす増幅スキルではない別スキルを報酬として贈られた。

 トゥルーエンドクリアした私の場合、魔法薬に頼らない方を選択した。

 まず、エスカとレオンの共同協力で高品質の世界樹の素材を入手、次に他の高品質上級薬草を栽培のち素材確保。

 その素材を媒体とファティマの助力で、聖属性の特殊治療魔法をアウラに行使して、すり減った寿命をスキルで使い潰した分だけ回復させた。

 次は、フィディルの助力で、運営から使用目的を明確に許可を得る条件付きな、時間回帰という時空魔法を行使した。

 果たして、聖女アウラは稀有な転職スキルを行使させられる以前の状態の健康な姿を取り戻す事に成功した。

 ただし、敢えてアウラの稀有なスキルは封印させて貰ったよ。

 アウラの妹さんに、封印については了承をいただいた。

 でないと、また転職の神殿がアウラを聖女復帰させて使い潰すだろと危惧したからね。

 妹さんは一も二もなく、受け入れてくれたもんだ。

 また、匿った領主役と騎士団団長役の運営スタッフも、聖女アウラは亡くなったと公式に喧伝して、転職の神殿を牽制した。

 私も掲示板に暴露した内容に、アウラは老女の姿から年相応の姿を取り戻したが、寿命まではゲーム内の設定で回復は叶わなかったとあげておいた。

 その後、大手検証クランも攻略クランも、住人との付き合い方を改める方針転換すると声明を出した。

 何処にもアンチは存在していたから、ただのモブNPCに何をしようが勝手だろうと息巻いて、アリアちゃんの想いにツバを吐く言動を改めないプレイヤーはいなくならないのも多数出てきてはいたけど。

 住人に悪質行為を止めないプレイヤーは、自然と生産職トップクランも敵に回して淘汰された末路を迎えたさ。

 ユニーククエストをきっかけに、アリアちゃんが望んだプレイヤーと住人の結束は少しずつ実を結んでいった。

 さて、ユニーククエストに関しての説明は終わるとして、そろそろ異母妹ちゃんの治療に専念しようか。

 異母妹ちゃん、レミーアさん、ご老人、大変お待たせしました。

 さぁ、異母妹ちゃんを蝕む原因から解放しよう。

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