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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第三章 貴族裁判

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102 新しい住人にでした

 扇動していた輩がいなくなっても、暫くは吸血種族の馬鹿者達は、鎮まらなかった。

 ので、聖属性魔法で、精神状態解除の魔法を掛けて眠らせ、とっとと拠点の洋館にフィディルが転移で付き添い、強制送還した。

 まあ、二、三人勢い余って塵に還してしまった者も伝言クリスタルに記憶させて持っていって貰った。

 私が、送り返さない理由は、馬鹿者達がなぶっていた親子のアフターフォローする為だ。

 被害者達は、鳥の魔族認定されているハーピーの親子だった。

 彼等の種族は険しい山脈の頂上付近の岩場が、棲みかと刷り込まれた記憶にあるのだけど。

 雛を孵す時期は、魔素の濃い土地で栄養素を補う習性があったりする。

 だから、ベルゼの森も、ハーピー種族の雛誕生の土地と認識されているみたいである。

 今、目の前には孵ったたばかりの幼体と母親らしき生体の親子が、見知らぬ私達を半ば警戒して動向を伺っている。

 母親の怪我はファティマに治療させたので威嚇はされてはないが、怪しい人物だとは思われていそうだ。

 あー。

 風のジルコニアか、嵐のエルシフォーネ辺りがいれば、多少は味方だと思ってくれただろうが、無い物ねだりはいかんせん。

 ここは、脅威ではないと理解してくれるよう、穏やかに接しますか。


「初めまして。このベルゼの森と近隣の土地の主になりましたミーアと言います。一応怪我は治療しましたが、何処か不調があれば遠慮なく申告してください」

「……ぴぃぴい」


 あっ、ハーピー言語、自動翻訳されないや。

 でも、私の言葉は理解出来たのか、警戒は解かれて母親が頭を律儀に下げてくれた。


「んー。俺も大地に根差す種族でないから、正確に聞き取れなかったけど。ありがとうと、お礼言ってる様子だな」


 大地の大精霊のレオンなら、大地の恵みを受けて暮らす動物の言葉のニュアンスは、理解出来る能力がある。

 ハーピー種族も、岩場に巣を作るのもあり、一応は大地の恵みを受けているとの誇大解釈の範囲に入るので、訛りのきつい言語のニュアンスで伝わったようだ。


「ぴぃぴい、ぴぃぴい」

「雛が孵る時期は、親が餌も食べずに仮の巣を守っていたので、満足に餌が食べれてない能力が半減した隙をつかれて、雛が人質になったんだって。それから、取り返そうとした伴侶が、あの変な気配が漂う少年に撃退されて、遺骸も残されずに消されて、自分ももう駄目かと言う時に、マスターに助けられたそうだ」


 うん、レオン君や。

 ハーピーさんの言葉より、説明が長い謎はどう突っ込めば良いのかね。

 それとも、お約束とか言うヤツですかいな?

 レオンの通訳によると、ここ数年はベルゼの森で雛が孵る数は減少の一途を辿っていたが、他の適した魔素スポットが人間種族に開拓されていたり、能力が高くハーピー種族を捕食する種族が待ち構えていたりとした弊害で、比較的まだマシなベルゼの森を頼らざるをえない時勢だった。

 そうして、雛が孵る確率は低いも、無事に孵る可能性を捨てきれず、遥々やって来たんだとか。

 また、森の番人の森林狼とは良好な仲を築いていたので、見回りの縄張りの内側に許可を得て

 仮の巣を築いた。

 けれども、どういう訳か、森林狼は巡回の頻度も減っていき、しまいには縄張り内から出ていけと警告されてしまった。

 すぐに、長個体が安全な地帯に引っ越しを提案してくれて、そこに移動してからは長個体が見回りに来てくれるようになったのだけど。

 朝と夜が三日過ぎた辺りから、長個体を見掛けなくなった処へ、吸血種族に襲撃されたと聞いた。

 これ、アルビノ君を訪問した方が良さげな案件かな。

 灰色君を私に預けた経緯も、群れの統率が乱れた為だろうし。

 こちらも、老害辺りが暗躍していたりするのかも。


「もし、ハーピーさんが了承してくれるのなら、雛が一人前に翔べるようになるまで、私の農園に避難しませんか? うちの農園には、下位の精霊から中位に大精霊が沢山常駐してますし、余剰魔力は豊富にあります。また、防犯面でも優秀なシステム、結界とかありますよ」

「ぴぃ! ぴぃぴい」

「いいのですか。では、甘えさせていただきたいです。伴侶がいない現状、一人で雛を守りきれる自信がないので、ありがたいです、だって」


 三番目の番人が穏やかな種族だとは聞いたが、他の種族を排斥しないとは絶対ではないからね。

 それに、怪我は癒えても、心理的疲労やまた襲撃されるのではとストレス抱えての育児は、雛が可哀想だ。

 まあ、難点は動物学者の女史と、テイムしようとする旦那さんにあるが。

 常識人なヒューズ君に、見張りを頼んでおくか。

 となると、貢ぎ物は何が相応しいかな。

 今日は、もう帰る事にした。

 レオンは先回りして、ハーピー親子が寝泊まりできる小屋を作成すると、一足早く農園へ自分で転移していった。

 ああ、ハーピーさんと意思の疎通がままならなくりそうだと内心思ったけど。

 ハーピーさんはこちらの言葉を理解する能力があり、頷いたり首を左右に振ったりとジェスチャーを交えて、何とか会話に繋がった。

 怪我の疲労があるので母親はフィディルが抱え、雛はお子様ズが交代しながら抱えて移動していく。

 吸血種族さん?

 あちらはあちらで、落とし前は自分達で済ましてください。

 余談になるが、後日長老さんとぼこぼこに美形な顔を腫らした馬鹿者達がお詫びに来ました。

 勿論、ハーピー親子には栄養満点な果物や、魔力を含んだ魔物の肉類を進呈されていた。

 女史夫妻が、吸血種族を観察させてくれと煩かったのも、既定路線である。

 閑話休題。


 んで、農園に帰宅する頃には、レオン作成の小屋と言うには立派な家が、我が家の近くに建っていた。

 内部には、鳥の巣を模した寝床もちゃんとあった。


「細工師。また、拾ってきたの?」

「うわぁ、鳥さん? の魔物初めて見た」

「えーと、ハーピーだったかな」

「そうだね。ロイドはよく勉強していたね。ハーピーで間違いないよ」

「ですが、ハーピー種族は標高が高い山脈をテリトリーとしていたと覚えていますが?」


 女史夫妻に見つからず安堵した束の間、アルバレア家関係の皆さんに見つかった。

 アンナマリーナさん。

 いつ、私が拾いモノをしてきましたか。

 精霊のおちびちゃん達は、休息に来ているだけで、私が呼んだり拾ってきた訳ではないぞ。

 灰色君も、兄のアルビノ君から預かっているだけである。

 決して、拾ってきた訳ではない。

 初めて見るハーピーに、触りたそうにして目を輝かせるエメリーちゃんである。

 すぐに、ナナリーが顕現してやんわりと制止した。


「エメリー。ハーピー種族に好奇心を隠さず、無闇に触れては駄目ですよ。まずは、ご挨拶して、信頼を得てからではないと、ハーピー種族も見知らぬ人から手を出されては怖がり、払い除けようとして意図しない怪我をさせてしまうと、困らせてしまいますからね」

「あっ、そうだね。エメも、知らない人に触られるのイヤだもんね」

「エメリーちゃん、理解力が優れているね。これも、アンナマリーナさんとのお勉強の成果かな。それにね、ハーピーさんは怪我をしたばかりだから、今日はもう休ませてあげようね」

「うん、じゃなかった。はい、分かりました。お怪我が良くなって、ミーアお姉ちゃんや、ナナリーが良いですよって言うまで、待ってるね」


 エメリーちゃんは、着々と学んだ成果を披露してくれる。

 子供の好奇心は、時には重大な事故に直結したりするから、釘刺しは怠るのは駄目。

 幾ら、魔法があり、即死しない限りは治療できたり、欠損部位も復元できたりする世界とは言うも、怪我をしたら痛い、流れる血は安易に元には戻らない。

 用心に越したことはない。

 父親のナイルさんも、素直に忠告を守るエメリーちゃんの頭を撫でて、表情を綻ばせている。

 逆に、ロイド君は魔物に対する教育も始まり、対処方法を誤れば、危害を加えられる魔物の怖さを勉強中の身。

 エメリーちゃんほど純真無垢に、ハーピー種族を受け入れていいか逡巡しているのが分かった。

 ただし、私が連れてきた魔物は、討伐対象の範囲にならないとは認識している模様。

 好奇心旺盛なエメリーちゃんの歯止め役として、今後は期待したいな。


「ご飯とかは、新しく来た人達に任せていいのかな?」

「あー。どうかな、旦那さんに任せたら、灰色君みたいに蹴飛ばされそうだね」

「じゃあ、ヒューズ兄さんに、安心して任せてみる? それか、おれがしてもいいよ。その時は、安易に近付かない、驚かせたりしない、威嚇しないとかするよ」

「ぴぃ!」


 ロイド君の興味は、専らお世話が誰がするかにあった。

 魔物の観察力を磨く良い教材にと思ったかな。

 指折り、ハーピーに敵と思われない行動を羅列していくロイド君に、ハーピーの母親が一声啼いた。


「小さい子供は、雛が遊び相手に構って欲しくて、力加減のできないじゃれあいになりそうだから、あまり近くに寄らない方がよいって」

「ああ、雛もいたんだ。そっか、子育て中の動物や魔物には、近くに寄らない方が安全だった」

「そうね。ロイド君、良く覚えていましたね。特に、魔物に分類される種族は、子供に人の匂いが移るのを嫌がる種族がいて、見掛けるなり攻撃を仕掛けてくるから危険なの。まあ、細工師が連れてきたハーピー種族は、温厚な種族と言われているけども、雛がいる時期は近寄らない方が良いのよ」


 レオンの通訳とアンナマリーナさんの指摘に、ロイド君もハーピー種族に近寄らない方針になった。

 今は、落ち着いている雛だけど、吸血種族に人質にされて吊るされ、悪意をぶつけられたしね。

 遊んでいた時に、その悪意の記憶に引きづられて反射的に攻撃してしまいかねないのも危惧しておかないとだね。

 なら、ハーピー親子に関わる人材は、頑丈で魔物の扱いに長けたヒューズ君に任せてみようか。

 旦那さんだと、すぐにテイム発動して反感買いそうなのが目に浮かぶわ。

 良し、暫くは旦那さんにハーピー親子はひた隠そう。

 んで、小屋に近寄らない結界を展開しておこうっと。

 ハーピー親子を見た皆に、口外禁止を言い渡してみた。

 それでも、鼻が利きそうだから、いつかはバレるだろうが。

 念入りに結界は展開して、時間は稼ごう。

 灰色君にも伝えて、近くに来たら邪魔して貰うのも手だね。

 何なら、豪快に蹴飛ばしてもオッケーだ。

 ハーピー親子の平穏な療養の為だ。

 頑張っておくれ。



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