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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第三章 貴族裁判

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101 黒幕はあれでした

 さて、さて。

 件の好戦的な吸血種族の若者達が、棲みかである洋館から姿を消して新たな拠点に移動して活動していると長老さん達から聞いて、森の深奥へと向かった訳ですが。

 過程はすっ飛ばします。

 いやぁ、何しろ私には頼もしい大地と樹木の大精霊の守護者がいるので、迷う事なく到着ですわ。

 そして、遭遇した結果、早々と決着着けました。


「マスター、容赦無しだね」

「うん。でも、悪いのあっちだしね」

「……いたぶるの、良くない」

「単なる食事なら、マスターも怒らなかったな」

「まあ、吸血の本能を抑制する理性が、この程度の魔素に晒されただけで狂わされている様子は見苦しいだけです」

「もう大丈夫ですよ。貴方達にこれ以上の危害は加えさせませんから」


 お子様ズとレオンは人質になっていた幼子を保護、フィディルとファティマは狂気に染まった馬鹿者達から親を助け、私は馬鹿者達をしばいていた。

 そう、若者達は吸血種族の特性故の食事をする為ではなく、自身が支配者であろうと力を示す為だけに、宴を開いていたのだ。

 それも、自身がどれだけ力ある存在に攻撃して傷をつけれるのか。

 多分だけど、彼等なりの順位付けしていたんだろうね。

 ある種族の成体を中心に円を描いて取り囲み、

 幼子を木に吊るして鳴き声をあげて親を呼ぶ姿を見て嘲笑い、親が身動き一つしたら幼子を吊るしている木に魔法をぶつける。

 んで、吊るされた幼子の下には鋭利な刃物が、逆さまに埋められている。

 幼子がおちたら串刺しは免れないときた。

 だから、親はおとなしく我慢を強いられて、馬鹿者達の攻撃を甘受していた。

 情勢を見て把握するなり、馬鹿者達を殴りにいった私は悪くはない。

 レオンには、大地に埋まる刃物を丸っと切っ先まで大地に呑み込ませ、エスカには樹木の枝と蔓を伸ばして落ちそうな幼子を確保させる指示を出す。

 ユリスとセレナはコンビで、親側を攻撃する馬鹿者達の眼前に水と氷で作る壁を形成させて、物理的な距離を開けさせる。

 フィディルとファティマには、その幼子と親の警護と回復を。

 私は身体強化の魔法を纏い、享楽に耽り周囲の警戒を怠っていた身近にいた馬鹿を殴り飛ばし、蹴り飛ばしと強襲する。

 あのさぁ。

 レオンも言ったけど、これが生命を繋ぐ食事なら私も手出しはしなかった。

 私だって肉類となる動物や魔物の生命を奪って、日々の糧にしているからね。

 その点は、弱肉強食の世界なのは理解している。

 弱い種族は淘汰される仕組みが成り立つ世界にいる。

 だからと言って、遊びで人質とって、いたぶる行為は見過ごせないわ。

 過去の日本の時代には狩猟の宴が開催されていたり、中世ヨーロッパ辺りでは権威を示す場であったりとしたけどさ。

 集団行為による、弱者を遊びの一環でなぶるのは赦せん。


「な、なんだ貴様は?」

「偉大なる我等の餌風情の人間が、神聖な儀式を邪魔するとは何事か?」

「まあ、いい。貴様も至高なる我等の糧になるがいい」

「おお、そうだな。その魔力の輝きを我等に差し出せば、我等もまた更なる高みの存在となる」

「……喧しい。馬鹿は消えてなくなれ。【聖光よ、愚かなる魔の輩を滅ぼせ。ホーリーランス】」


 外見は人間種族の二十代前半から十代後半ぐらいな若い男の吸血種族が何か宣い、私に牙を向けたので反撃しておく。

 鑑定により、こちらの世界の吸血種族は日光に晒されても灰にはならないが、弱体化はする。

 聖水は純度によっては火傷状態になるか、蘇生不可能な傷跡を形成するぐらいで、あまり効果は期待できない。

 が、枢機卿クラスの祈り付きの聖水は、効果覿面で瞬時に灰となる。

 そして、灰からの復活は百年単位で封印効果付き。

 なんで、蘇生可能にしてあるかと問えば、彼等もまた世界が産み出した種族であり、庇護の対象だから。

 まあ、趣味による虐殺や、理性を飛ばした飢餓による吸血衝動を抑制不可能な馬鹿は、封印期間は無期になるそうだけど。

 ベルゼの森の番人に選ばれた吸血種族さんは、比較的穏やかな人間種族と共存していた一派で、元の拠点を奪われた経緯がありエルネスト枢機卿さんが保護した種族なんだとか。

 それが、森で産まれた若い世代が、容姿に目を付けて愛玩動物紛いな奴隷にと狙われて対抗している間に過激な思考に染まり、遺物となった外道魔導師の置き土産的な残留思念に影響されて己れが強者だと偉ぶった。

 これは、番人として森に引きこもった弊害でしかない。

 私が見た所、確かに知識がない一般人なら、十中八九誰もが声掛けされたら、彼等の外見に魅了されてほいほい無理難題言われても承諾しちゃいそうではある。

 また、保有する魔力も魔族に分類されるだけありかなり高く、上級魔法も難なく行使できるかだろう。

 しかし、耐性持ちとやりあったら、負けるのは彼等の方だ。

 私の魔力を気に入ったらしい馬鹿が新しい獲物へ鞍替えして魅了しようとしてきた。

 お馬鹿め。

 吸血種族と相対するのが分かっていて、対策してないはずがないだろうが。

 持ち前の魅了耐性は、人外さん謹製のこの身体ではカンストしているっての。

 ただし、うちの子達が不安そうにしたので、更に耐性アップのアミュレットを付けている。

 それから、更に更にファティマの耐性アップの補助魔法まで重ねがけしておるわ。

 反射的にゲームのノリで反撃したら、ホーリーランスを受けた吸血種族が灰すら残らず消滅した。

 いかん。

 手加減忘れた。

 それに、聖魔法耐性の弱体ぷりに驚いた。

 何が、至高な我等だ。

 弱点に対抗する対策、何もしてないじゃないか。


「なっ!? 貴様、上級の聖職者か」

「己れぇ。ランドルフの輩の手先め!」

「我等を奴隷にせんと、聖職者に泣きついたか」


 仲間を喪い憤る馬鹿者達。

 その数、十数人ほど。

 うちの子達を視界に入れてない無警戒で、私だけを対象にして襲いかかろうとした。

 が、


「マスターが対処するまでもない」

「「「「うわっ?」」」

「「「ぐっ、何だ?」」」


 剥き出しの大地の上にいたのが災いした。

 大地の大精霊のレオンに捕捉されて、足をがっちり大地に呑み込まされて見事に転んでいく。

 おまけとばかりに、天に向けた背中やお腹に巨大な氷の塊が重しとなって乗っかかる。

 始めに私が殴り蹴り飛ばした数名だけが、自由の身のまま唖然と怯んで逃げ出しかけた。


「何処行くの? 逃亡厳禁だよ」


 憐れ、エスカ配下の樹木の魔物トレントちゃんから蔓の投網が投げ出され、無様に捕縛される。


「なっ、何で切れない」

「冗談じゃない。至高な我等が逃亡なぞするか。戦略的撤退だ」

「そうだ。偉大なる我等の祖が相手なら、貴様なぞ直ちに肉塊になるぞ」


 幼子が吊るされた様に自分達が吊るされ、転ばされても己れの優位を疑わないのは馬鹿を通り越して、何と表現したらいいのだろう。

 長老さん達を見限ったのはあんた等で、あちらは陳謝してあんた等の慈悲を願ったのにね。

 虎の威を借る狐だったっけ。

 うろ覚えでごめん。

 今のあんた等見てると、むかつくわ。


「はい、注目する。これ、何か分かる人いる?」

「はぁ? それは、一族の至宝ではないか」

「何故、貴様が所持している」

「まさか、能力が減退したとは言うものの、我等の祖たる方々まで、手に掛けたか」

「外れ。あんた等と違って、長老さん達はちゃんと私の力量を見定めて謝罪しました。それから、種族が抱えている問題を訴えました。それは、あんた等若い世代がランドルフ伯とトラブって好戦的な思考に呑まれて、人間種族に敵対しているってね」


 長老さん達から譲渡された宝珠を取り出したら、血気盛んな馬鹿者達は途端に足掻くのを止めた。

 どうやら、宝珠自体の沈静の効果と汚染された魔素の浄化が発動したようである。

 馬鹿者達から、どす黒い靄が剥がれて森の最深部へと消えていく。

 あれが、外道魔導師の悪意ある残留思念ぽいな。

 みるまにおとなしくなっていく馬鹿者達の中で、投網に捕縛された一番最年少な外見をした少年吸血種族が舌打ちしたのを聞き逃すフィディルではなかった。


「マスター。どうも、扇動者がいる様です」

「ん、了解」


 ご丁寧に、私にだけ分かるマーカーをフィディルは視覚化してくれた。

 如何にも下っ端で、年長者に従わないとならない立場の体で、実は黒幕だなんて役は良くある事。

 エスカに、少年吸血種族だけ残して捕縛するように指示を出す。

 投網から落とされた馬鹿者達は、レオンがすかさず大地に手足を埋もれさせて無力化する。

 まあ、魔法を行使して逃れようとしていた他の馬鹿者達は、無駄な足掻きを止めて放心状態になっている。

 汚染されていた魔素が抜けた反動で一気に虚脱感が襲い、動けなくなっただけだから放置。

 私の掌の中にある深紅の宝珠が輝きをます。


「……あれ?」

「俺は、何をしていた?」


 逃げ出して投網から墜ちた馬鹿達も、正気に返り始めた。

 けれども、唯一少年吸血種族は顔を背けて、宝珠から目を逸らす。

 輝きから身を守ろうと、魔力を練って暗闇を作り上げた。


「くそっ、忌々しい宝珠が」

「ふぅむ。君、擬態しているから、吸血種族ではないね」

「えっ? そういえば、お前は誰だったか?」

「喧しい。屑の分際で、我の盾になり、あれを早く滅ぼせ」


 吸血種族に擬態していた少年が、疑問を問いかけた吸血種族を睨み、命令口調で喚いた。

 その瞳は吸血種族特有の紅から、金色に変化して縦長の瞳孔が顕になった。

 視線に射抜かれた吸血種族から感情が消え失せて、命令に従う素振りを見せるので、危険と判断したレオンが胴体も大地に呑み込ませる。


「で? 手駒はいなくなったみたいだけど。君は、どうするかな」

「ちっ! 神聖国家の手先め。我の主人を奪ったばかりか、崇高なる研究材料まで封印しおって、我に仇なすか。あの方が言われた通り、新たな番人まで用意したか。ふん、まあそれだけ我が主人が偉大なる証拠であるか」


 おやおや。

 外道魔導師に縁ある長命種族かな。

 偉大なる主人の尊さを長々と喋っているが、君は捕縛されているのが分かっているのかいな。

 どうでもいいご高説は、右から左へ聞き流しております。


「おい、人間。聞いているのか。その宝珠を我に寄越し、我の下僕となれ。あの方に気に入れられれば、我の如く偉大なる主人同様な力と不死が与えられるやもしれんぞ。お前の外見は、あの方が愛でるに相応しき容姿よ。栄耀栄華は思いのままぞ」

「そういうの間に合っているんで、いらない。不要だし、求めてないから」

「なっ?」

「後、どうも関わりたくない筋の身内らしいのが判明したから、君は私の敵だわ。じゃあ、ご退場願うわ。さようなら」

「おい、待て。何だ、何をしている?」

「んー? 君に相応しい場所にご案内かな」


 これ、絶対にあれな神関連だわ。

 なので、人外さんに送り付けます。

 フィディルに対価の魔力を渡して、転移魔法展開して人外さんの元へご案内。

 伝言付けて、あちらで対処して貰おう。

 投網で吊るされた下に転移魔法陣を配置して、トレントちゃんに投網事放り出して貰う。

 では、さようなら。

 問題を丸投げと言うなかれ。

 私には、あれと関わりたくはありません。

 転移していく敵に手を振って、おさらばです。

 二度と会いたくないので、帰ってくるなよ。

 次は、慈悲は与えないからね。

 人外さん。

 容赦なく、情報搾りとってくださいな。

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