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3度目の君

仕事が終わり、スマホを見る。


すると、"河合さん"からのメッセージの一部が出ていた。


ラインには、①と付いていた。


ラインを開く。


すると、"終わった?"とメッセージが入っていた。


俺は、直ぐに、返信した。


"今、終わった"と。


直ぐに、既読がついた。


それを見て、


「早っ!」


思わず、口に出る。


そして…


リンリンリン、リンリンリン


スマホが鳴る。


「はい」


「菊池?」


「うん」


「どこにいる?」


「今、建物から出たところ」


「そっか…じゃあ、そっちにいくわ」


「え?」


「ちょっと、待ってて」


そう言われたがままに、待っていた。


そこに、


「お疲れ」


「お疲れ様です」


少し焦った感じで言った。


高松さんである。


「また、帰らないの?」


「あ…今、人を待ってて…」


「そっか…」


少し間が空いてから、


「じゃあ、お疲れ」


そう言い、タクシーを止め、行ってしまった。


僕は、河合を待った。



彼女を待っていると、


………


………


突然だった。


「わあっ!」


「あーびっくりした」


彼女は、うふふふと笑った。


「びっくりした?」


「したよ」


「ねえ、どこで飲む?」


「うーん…」


「どこがいいか…」


少し間が空いてから、


「いつものところでいいか」


「うん」


そう言い、タクシーを捕まえ、乗り込んだ。


暫く、沈黙だった。


しかし、突然、彼女は、口を開く。


「ねえ」


「うん?」


「付き合っている人とか、いるの?」


「え?」


「…」


「…」


再び、沈黙になる。


暫くして、俺は、口を開いた。


「…いや…」


「え?」


「いないよ…」


「そっか…」


「何で?」


「…いや…別に…」


「…」


気まずい感じの空気が流れる。


「いや、もし、彼女さんがいたら、申し訳ないなと思って…」


「…」


「…」


すると、


「到着しました」


タクシーの運転手は、そう言い、自動車を止める。


「…」


「…」


俺は、鞄から財布を出すと、


「はい」


彼女の手が伸びており、彼女の手から札を受け取った。


「え?」


「いいよ、私が誘ったんだし」


そう言い、彼女は、自動車から降りる。


「いや…」


俺も降り、


「はい」


彼女に伸ばす。


「いいってば」


「でも…」


すると、彼女の足は、止まり、振り返る。そして、俺を見た。


「今日は、いいよ」


受け取ろうとはしない彼女。


俺は、渡すことを諦めた。


店まで少し歩き、店の中に入っていく。


「いらっしゃい」


盛り上がりを見せる店の中。


「空いてる席へ」


店員さんは、そう言い、俺たちは、空いた席へと座った。


いつも通りに、ビールを頼み、適当にメニューを見て選び、注文した。


すると、直ぐにビールは運ばれて来た。


彼女は、ごくごくと喉に通していく。


はーぁ


おいしそうに飲む彼女。


少しして、


「お待ちどう」


そう言い、店員さんは、頼んだ物をいくつか、運んで来た。


頼んだつまみの枝豆を彼女は口に運んだ。


再び、ビールを喉に通す。


はーぁ


少し酔ったのか、突然、彼女は、口を開く。


「はーぁ」


「…」


「あのさ、あの…」


色々と突然話し始めた。


俺は、いつも通り、ただ聞いていた。


「それでさ…」


「…」


ビールを口に運んだ。


はーぁ


「でね…」


「…」


「部長が…」


「…」


「どう思う?はぁって感じじゃない?」


「…」


そして、ビールを口に運び、つまみを摘んで、


寝始めた。


「…」


「ねえ」


「…」


「おい、おい!」


「…」


「はーぁ」


ため息を吐く。


その帰り、タクシーを呼び、止まったタクシーに彼女を乗せ、俺も乗った。


同じマンションであるため、送ることはできるが…


「ねえ!ねえ!」


「鍵…」


俺に渡し、彼女を家まで運び、鍵を開け、ベットまで運んだ。


「菊池…」


「…」


彼女は、そのまま、夢の中へと入っていった。


その後、いつも通り、家へと真っ直ぐ帰った。


家に入り、暗闇の中、電気を付けた。


はーぁ


ため息を吐く。


「…」


彼女の微笑んだ顔が浮かぶ。


「会いたい…」


そう呟く。


そして、寝ようとしたが、彼女の笑顔が僕の中で消えない。


「…」


思わず、足を玄関に向ける。


そして、走った。


彼女の笑顔が見たくて。会いたくて。


とにかく、走り、向かった。


はあはあ


息を荒くしながらも走り続けた。



そして、到着したのは…


彼女の働いている"癒しのネコカフェ"である。


店のドアを開けると、


「いらっしゃいませにゃーん」


ネコの肉球が付いた手。


「何名様にゃーん」


「…」


俺は、人差し指をイチというように立てた。


それから、小声で、


「一人です…」


「かしこまりましたにゃーん」


薄ピンクのドレスを着ており、膝よりも上で短い。


髪は、長く、胸あたりの長さである。


ネコミミがくっ付いている。頰には、ネコのヒゲ。


「お席へ、ご案内しますにゃーん」


「…はい…」


俺は、ひそかに言われたままに、彼女の後を付いていく。


結構、人が多い。


奥の長椅子のソファーのところに…


俺は、バレないように顔を隠したが、


「菊池?」


あーーー


彼に振り返り、


「お疲れ様です…」


苦笑いをしながら。


「よっ!」


酒で酔っているのか、テンションが高い。


仕事場とは、違う上司に少し冷たい視線を送る。


すると、


「ここ、来れば?」


そう言うのだ。


「…いいんですか?…」


「いいよ、来い」


俺は、その席に着く。


「ごゆっくり、どうぞ」


そう言い、行ってしまった。


俺にメニューを伸ばす。


それを受け取り、メニューを見る。


暫くして、高松さんは、口を開く。


俺は、目をメニューに向けていた。


「気にったか?」


「…」


「この店」


「…」


「結構、いいだろ?」


自慢げに彼は言う。


「そうですね…」


やがて、俺は、彼女を探す。


すると、


「お待たせいたしましたにゃーん」


「…」


「ご注文は、お決まりですかにゃーん?」


俺は、メニューを指差す。


彼女は、その俺が指差したところを目で辿り、見る。


「56番かなにゃーん?」


首を縦に小さく振った。


「かしこまりましたにゃん」


敬礼のようにやり、その場から去って行った。


どきどき


どきどき


心臓が高鳴る。


そんな中、


「誰にした?」


「…」


「お任せ?」


「…あ…」


口を開こうとした時である。


「選択していただき、ありがとうございますにゃん」


俺は、その声に、振り返る。


「…」


「よろしくにゃん」


「…」


かわいい。可愛い過ぎる。


「…うん…」


微笑む彼女。


俺は、そんな彼女を見て、固まってしまった。


「…」


「どうしたにゃん?」


「…」


俺は、首を横に振った。


「?」


一度、首を傾げた。


「亮くんだよね?」


「うん」


微笑む彼女。


「来てくれてありがとう!」


「…」


再び、微笑む彼女。


そして、


「ねえ、亮くん!」


「うん?」


「なんか、食べる?」


「…うん…」


彼女は、メニューを取り出し、


「何を食べたい?」


「うーん…」


「華ちゃんは?」


初めて、彼女の名前を呼んでしまった。


額から汗が滲んでいる俺。


「華ちゃん」


「え?」


「…」


あっ!


「…」


「…」


気まずい空気へと変わる。


「ごめん…間違った…」


続けて、俺は、


「食べ物だよね!」


焦る俺に彼女は、俺の手に触れる。


「いいよ、私を食べても」


「…」


「いや、あの…」


真剣な顔つきだった。


「あ…えーと…」


動揺する。


しかし、困り果てた俺を見て、


「冗談だよ」


笑いながら言う彼女。


本気にしてしまった俺は、ぽつっとしていた。


その姿を見て、さらに、彼女は、笑っていた。


そんな彼女に僕は、思わず…


不意に、口付けをしてしまった。


目を見開き、呆然とする彼女。


口と口が離れると、 俺の顔も彼女の顔も赤くなっていた。


「ごめん…」


そう言うと、


「…」


俺の口に彼女の口が触れた。


これは、酒で酔っているせいだ。


きっと、いい夢を見たんだ。


そうだ、そうに決まってる…


そう俺は、思っていた。


幸せ過ぎる空間を俺は、楽しんでいた。


「君のことが…」


「え?」


はっとする。


「…あ…」


「うん?」


「いや…何でもないよ…」


「…そっか…」


彼女は、グレープフルーツと混ざったカクテルを手にし、


「頂きます」


俺にそう言い、口に運んだ。


俺は、その後に、ビールをごくごくと口に運んだ。


それからは、二人で、話し…

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