事後処理
「初めまして。牧香織さん。私は高杉悠様の父親の顧問弁護士をさせて頂いている高橋と言います。よろしくお願いします」
入院生活も落ち着いて来た頃に現れた紳士的な男性は、一枚の名刺を私に手渡して来た。
私はまだ痛みの残る身体を支えながら名刺を受け取り、気になっていた質問をした。
「高杉悠さんは大丈夫ですか?あの後から連絡がなくて。怪我はしていませんか?」
「大丈夫ですよ。彼は怪我はされていません。唯、目の前で貴女が刺されたショックで倒れられました。暫く入院されましたが先日退院されました。」
「そうですか。良かった。私が彼を連れ出したばかりにあんな目にあって心配してたんです。彼にはいつ会えますか?」
「全くです。貴女が連れ出さなければこんな事にはならなかったかもしれませんね。金輪際、貴女は彼とは会う事はないでしょう。彼はあの時のショックで貴女の事を一切忘れられていました。では、今後の話をしましょうか。」
その後の弁護士の話は上の空で聞いていた。私にとっての唯一の存在が無くなり、思ったよりショックだったのかもしれない。
弁護士の用意した書類にサインをして、私と彼との関係は絶たれた。未成年である私にはどうする事も出来なかった。
私はそれから成人するまでまでの生活を保障され、自由に勉学に勤しむ事になった。体の傷は大きな物は薄く痕が残っているが問題ないものだった。
そして、私が大学生の時には唯一の肉親である母も無くなり、天涯孤独となっていた。




