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檻の中
「僕は彼等に檻に閉じ込められているんだ。早く大人になって自由になりたい。」
図書館で出会った彼-高杉悠の口癖だった。
彼は根暗で本しか興味がなかった私の初めての友達だった。彼と出会い、人に興味を持つようになり私の人生が変わった。だから、彼には感謝していた。
だから 名前しか知らない彼の相談に乗り、悩みを聞いていた。何処かで思い上がっていたのかもしれない。彼の中でも、私が特別なのだと独りよがりしてしまっていた。幼い、中学生だった私には彼が全てだったのだ。
あの日も彼は何人もの人に見張られていた。彼等の存在は巧妙に隠されていて彼が発言しなければ分からない存在だった。
当時の私には見張り-檻の意味が分かっていなかった。何の為の檻なのか分かっていれば、行動は違っていたかもしれない。今となっては遅い話だが。




