バットエンド
アッシュグレイの長髪をワックスで撫でつけた若い男が、大柄な態度で繁華街の路地裏を歩いていた。
「……我ながら、分かりやすい人生だ」
タバコをふかしながら、男は苦笑を浮かべる。
中学生の頃から喧嘩に明け暮れ、高校は傷害事件を起こし僅か三ヵ月で退学。
アルバイトを転々とした後、最終的には高校時代の先輩が立ち上げた半グレ集団のメンバーに落ち着き、今日に至るまで、悪行の限りを尽くしてきた。
暴行、脅迫、殺人未遂。勝った恨みは数知れず。いきなり後ろから刺されたとしても文句は言えない。
「俺は、碌な死に方をしないだろうな」
冗談交じりの発言だったのだろうが、結果的にこの発言はフラグとなってしまった。
「死ねえ!」
「がっ!」
突如として背後から何者かに背中を一撃され、男は痛みに悶絶し前のめりに転倒する。
訳も分からぬまま、膝をついて立ち上がろうとすると、
「終わりだ!」
「待っ――」
最期の瞬間に男が目にしたのは、敵対するグループに所属する男が、頭目掛けて力任せに金属バットを振り下ろしてくる姿だった――
Bat end
『バッド』ではなく『バット』なエンドの物語でした。まあ、結果的にはバッドエンドですが。
狙ったわけではないのですが、文字数がちょうど444文字でした(笑)
ある意味本作らしい文字数? かもしれませんね。