キジトラ☆55☆〜☆80☆
☆55☆
死んだら始まり。
☆56☆
製作 銀世界旅団製作委員会(1人w)
☆57☆
銀世界旅団
第一部【キジトラ】
☆58☆僕は中学2年生、体格は小柄で男の娘にもなれそうな自称カワメン。パフュームが大好き。父の転勤に合わせ三年前から東京都渋谷区に住んでいる。クリスマスの夜にある行為をしすぎて心臓発作になり死んだ。いや、正確にはある女の子のメッセージを受け取り、僕は自ら死ぬ事を決意した。
☆59☆発作に苦しみ、生と死の間でもがく僕にビジョンが現れた。うさぎを抱いたひとりの外国の少女だった。彼女が現れると不思議にさっきまでの苦しみが楽になった。『グーテンアーベントっ!』彼女は僕の頭の中に直接話しかけてきた。上品そうな感じだ。金髪の長い髪をツインテールにしている。
☆60☆顔はとても綺麗だ。僕が本気で男の娘になっても勝てないだろう。まぁ、一度も男の娘になった事は無いが。『初めて会ってこんな事言って失礼かも知れませんが、今すぐ死んでくれますか?』『えっ!僕っすか?』『そう!』『そうってひと言で終われても…』なんともお互い頭の悪い会話だろうか。
☆61☆『あなたはもうすぐ死にます。その死を受け止めるのでは無く逆らって生きる為に死ぬのです!』彼女は真っ白なうさぎを撫でながら話した。うさぎはやたら黒目がぱっちりしてて、鼻をヒクヒクさせている。『どうゆう意味ですか?あなたは、さっきの割れた時計に映った人だと思うのですが…』
☆62☆『お願いですっ!とりあえず死んで下さいっ!』彼女はペコリと頭を下げた。『話し聞けよーっ!』僕は言った。腕の中のうさぎは彼女のおでこに鼻を付けヒクヒクさせている。そっちは急いでいるかも知れないが、こっちだって心臓がいつ止まるか分からない。死ぬ前に聞きたい事は沢山ある。
☆63☆『君は一体誰なんだ?そしてなぜ僕に不思議な幻想を見せるの?』僕の身体は既に硬直して動かない。せめてパンツを履いてから死にたかった…。彼女は僕の目と、下半身をチラチラと交互に見てる。うさぎの視線は僕の下半身をガン見で随時フォーカスしていた。『私の先祖、そして私はあなたを選び
☆64☆ました。これは運命なのです。地政学者である私の先祖はカールと言います。カールは日本に居た事があり、大変仲が良かったあなたの先祖の影響を受け、ヴリル教会とゆう秘密結社を作りました。そして彼はヒトラーとゆう人物をも作りました。』彼女の話しは延々と続いた…。僕は理解不能な話しを
☆65☆ずっとベッドの上、下半身丸出しの格好で聞いていた。何て大きな話なんだろう…。歴史に興味のない僕でもさすがにヒトラーの名前くらいは知っている。でも、日本の政府さえ知らない様な世界レベルの重大な秘密を下半身丸出しの少年が聞いているシーンは、さすがにどうかとは思ってしまった。
☆66☆彼女の話は思ったより長く続いた。急いでる割にはよく喋る人だ。(あ!とまっ…た!)この時、声さえ出せなかった!とうとう僕の心臓が止まってしまった!彼女の力なのか?痛みが無いのがせめてもの救いだった。全身が完全に石の様に硬直した僕は、まばたきすら出来ず目を見開いたままだった。
☆67☆彼女は驚いた顔をした。僕の心臓が止まったのに気づいた様だ。『運命を受け入れて下さい!私達の危機とあなたの死期が重なった瞬間に、やっと繋がる事が出来たのです。あなたが生きる為の、そして私達や世界を助ける為の死を選んで下さい!』そう言うと彼女は額を近づけ僕の額にくっ付けた。
☆68☆彼女は立体映像みたいなものだから、実際に触れあってるのではないが、彼女の体温を確かに感じた。『時間がありません。こうして額を合わせれば、私が話せなかった部分を一瞬であなたに伝える事ができます!』(最初からそうしなよーっ!)僕は心の中で叫んだ。『あぁっ!ダメっ!オモチっ!』
☆69☆オモチと呼ばれた白いうさぎが彼女の腕から飛び出して、ベッドに乗ってきた。(わははっ!)うさぎは鼻をヒクヒクさせて僕の下半身、大事な部分の匂いを嗅いでいる。彼女は横目でうさぎを見ながら、ずっと僕と額を合わせ、メッセージを送り続けた。もの凄い膨大な情報が高速で伝わってくる。
☆70☆送られてくる情報の中には、彼女達がその強大な相手と戦う理由はもちろん、彼女の生い立ち、彼女を助ける事を決意した体格の良いオッサンの過去なども生々しく伝わってきた…。心臓が止まってからは一切、身動きのきかない化石の様な僕だけど、何故だろうか?瞳から涙が溢れ出して止まらない。
☆71☆『カプリっ。』きやがった!とうとうオモチが僕の分身にかじりついた!(僕の初フ◯ラはうさぎか!)しかしオモチも実際には此処にいないから、あまり気にする事はない!このアクシデントはノーカウントだ。彼女は情報の転送に意識を向けながらも左手を伸ばしてオモチを捕まえようとしている。
☆72☆オモチは僕の分身をくわえたまま、彼女の手を逃れるようにピョンピョン飛び跳ねていた。『ヴッ、キュキュッ!』鳴き声がまるで彼女をからかっているかのように聞こえる。『もうっオモチ!いい加減にしなさい!』(なんだろう?こんなに涙が溢れる原因は一体…)僕は心の中で考えていた。
☆73☆そう言えばこんなに近くで女性と顔を合わせるなんて初めての経験だ。僕の眼球が動いてたなら、恋人のように彼女と見つめ合ってたかも知れない。出来るなら、せめてパンツくらいは履いていたかった…。『終わったわ。今までの全てをあなたに伝えました。だから、後の判断はあなたに任せます』
☆74☆彼女はそう言うと、ゆっくりと額を離した。オモチはそのタイミングに合わせるかのように、彼女の腕の中にピョンと飛び込んだ。『この世から永遠に消える方の死を選ばないように願っています。どうか、生きる為の死を…。私はこれで力を使い果たしました。あなたが来る事…を。信じて…』
☆75☆彼女は疲れきったようだった。僕に助けを求める為に、全力を尽くしたのだろう。
『ま…っていま…す』彼女のビジョンがゆらゆらとかすれてゆくのが視界の隅でも見てとれた。僕の肉体もそろそろ終わりそうだ。『ヴッ…キュキュ…キュ』変態うさぎの声を最後にとうとう彼女の姿は消えた…。
☆76☆僕の部屋はいつもの状態に戻った。父が苦労して買った一軒家、ジャンケンに負けて妹より0.5畳狭い僕の部屋…。ここで僕は今から死ぬ。僕の死を知ったら学校の皆はどんな反応するだろう?学校では目立ない、勉強も運動も出来ない、友達も殆ど居ない、そんな奴が1人消えただけの話だろうか。
☆77☆唯一、友達と言っても妹の前の彼氏だから、妹目当てで僕に近づいただけだろう。その証拠に友達は妹と別れてから僕を避け違う男子グループと弁当を食べる様になった…。
1人で弁当を食べる僕を見て先生が、誰か一緒のグループに入れてやってくれって言ってたけど、この言葉は本当に傷ついた。
☆78☆先生、僕は別に1人でも良かった。友達が居なくても構わないし勉強や運動が苦手でもいい。学校で人気者になれば幸せなのか?僕は授業が終わればコンビニでポテトチップスのコンソメとコーラを買い部屋にこもって大好きなパフュームを見るんだ。これでいいんだ。これだけでも幸せを感じるんだ。
☆79☆そんな僕の前に突然現れた、助けを求めるドイツ人の彼女…。本当の幸せを彼女に教えてもらった気がする。僕は気づいてしまった。弱虫で何も出来ない僕だけど、本当は自分の為では無く、誰かの為に生きたかったんだ。色々ありすぎで一言では言えない。ただ、涙の理由はこの事だけでは無かった。
☆80☆彼女の名前はヒンメルと言う。
とても大きな闇と戦う、強くて、賢くて、美しい少女…。
けれど、本当はすごい臆病で弱虫なんだ。僕よりずっと…。
彼女に会うために。
僕は生まれ変わる方の死を選んだ‥‥ ‥ ‥ ‥ ‥




