表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/221

33ばあ

    4


 気がつくと天井にヒビが入っている。それに見覚えはあった。そしてふと、初めての練磨(れんま)の後に貸してくれた()き部屋だと(おう)は、テーブルの上の布団で気づいたがまだ、自分に腹が立つ。

百合奈(ゆりな)ぁ~……どこぉ〰〰? 百合奈ぁ〰〰……」

 突然、何だか眠たがりながら、弱々しく鬱陶(うっとう)しそうな感じの真梨(まり)の声が聞こえたから、廊下に出て右を向いたが出口への道しか見えないので左を向くと、遠くで真梨がよろめいている。

 とろんと目をつむって、コテン、と今にも眠りこけそうな頼りなさで、ゆっくり歩いてくる。

 ……真梨とは信じられなくて、混乱しそうになったがとにかく、恐る恐る、櫻は、近寄った。

 恐る、恐る、場違いなゾンビのような背の高い真梨の近くに達して、とにかく肩を揺すった。

「真梨、真梨、起きなきゃ」と揺すりながら、何だか酔っぱらいを(なだ)めているみたいに思った。

 揺すって、揺する。また揺すって、その直後にやっと、真梨の目が半目になった。

「あぁ~……櫻がいたぁ……櫻がぁ~ァアッ――!?」急に真梨が大口を開けて目を()いた。

 さらにはバタバタと四五歩(しごほ)くらい身を退()いていった。その間もびっくりが止まらないから、櫻も目を見開いていた。だから真梨と見開き合っている。そして何も聞こえてこない。

 何よりも真梨が、生命(いのち)の危機感で女が失われたような顔のまま、固まっている。

 櫻はそれが(こわ)い。恐過ぎる。なんか言え。心が狭苦(せまくる)しい。

 と、(あきら)めたようにがっかりと脱力した真梨が、さらには目元に影を作って(せわ)しなく迫りくる。と櫻は右手を()まれたように(つか)まれた。そのまま真梨が進むから櫻は自然と体を後ろへ向けて、車に引きずられているかのように引かれていった。

 そういえば真梨に近づいた時に通ったな、と思いながら、すぐに達した食堂への曲がり角を右折して、櫻は連行される。首で冷汗が伝う。いくつも伝う。ネトネトしてきそうな勢いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ