G3
ふとシルキィが藤谷へ向きながら藤谷へ飛んでいった。そのシルキィを、男の子と女の子も目で追っていたのだが、藤谷へ目が向いた時、二人の楽しそうな笑顔が固まった。そんな中、左隣が少し騒がしく感じられた 途端、シルキィに背中を押される藤谷が視界に入ってきた。
「わっ、分かったシルキィっ」
藤谷がそう戸惑いながら言った途端、シルキィはやめるが早いか女の子の方へ飛んでいった。
「……姉ちゃん……ごめん……」と男の子が、申し訳なさそうに目を伏せた。
「今は、それは後にしよ? だから大一、……玲奈も、こっちにきてよ」
藤谷がそう言った時、目を藤谷に戻した男の子も、女の子の頭の上に乗っかったシルキィへ、困った笑顔で目を上げる玲奈も、藤谷の方を見た。そして、少し躊躇っているようだ。
が、玲奈が一瞬肩を震わせたと同時に、大一が藤谷を見ると、二人とも藤谷へ駆け出して、抱きついた。大一は背中に回した手で、藤谷の服を握り締める。鼻を啜る音も聞こえてきた。
その二人の隣に下り立ったシルキィが、嬉しそうに、そして剽軽な感じで、飛び跳ね始めた。
藤谷も二人を抱き締める。そして、二人の髪に、顔を埋めるように俯いた。
櫻は心中で、ほっとした――というのにまるで別の感覚だ。違和感。何だか素直ではない。
「二人とも喜べよ。もうアンチリファードは壊滅したんだぜ」
そんな片山の清々しい声が、櫻にはまるで、大きな仕事をやり抜いたかのようにも聞こえた。
――いや、本当に大きな仕事をやり抜いたんだ。片山さんが全部やったようなものなんだッ。
だったら高菜が、無駄じゃない、と言ってくれたのは、実は慰めだったのか?
本当は無駄だったんじゃないか? 無駄ではなくても、無駄みたいなもんじゃないか!?
きっとそうだっ。無駄だったッ!! 無駄だったんだッ!! ちくしょうッ――!!
胸の奥底が悲鳴を上げている。目をきつく閉めた。酷く疼くほど悲しくて堪らない。




