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「大竹君も一応武器化しといてくれ。まだ終わりじゃないからな」
背後から片山の軽々しいような声が聞こえたから、櫻は後ろへ身を翻すと、今ならちゃんとみんなが見える。ただ、右手に拳銃を握る片山は、その隣のオーバーコートにチノパンという格好で、初めて見る男の人と、右側にいるが、他の藤谷たちは片山を避けるように左側にいる。
藤谷は、合体した状態の巨大なシールド付ライフルを右手に持っていて、真梨と高菜と同じタートルネックにキュロットショートパンツ、ロングブーツだが、ニーハイソックスはダークグレーだった。真梨は長刀を右肩に立てかけるようにして右手に握っている。東堂は、まるで煉瓦以上に重厚そうな縦長の金属が、両腕に被るように覆っている装甲を装備していて、高菜は両手に大型ナイフを握っている。
そして、何より藤谷たちの表情が暗い。無言だ。強烈なショックを受けた後のような空気だ。
と、初めて見る男の人が歩み寄ってくる。そして近くで止まりながら口を開けた。
「初めましてだね。天野っていうよ。……それよりも、ずっと頑張ってくれて、ありがとうな」
そう、申し訳なさそうに言った天野が、何かを握る右手を伸ばしてくる。
だから櫻は右手を出して受け皿にすると、受け取った。岩肌のような腕時計を受け取った。
それを見て櫻は、胸を撫でおろした。
天野から言われた時に感じた感覚も、今でも感じている。胸の奥底でじわ、と広がるように滲んだ感覚。その余韻が残っている。
「……でも、ごめんって、どうしてですか?」
「いや、……俺も、アンチリファードに潜んでたんだ。大一と玲奈は俺の教え子だったからな。あの片山と腐れ縁のおかげで、ここの管理人になれて。……ここはバカだからすぐになれたよ」
「……じゃあ、……天野さんも、二人を助けるために、なんですね」
「……そうなんだけどねぇ。何だかなぁ……。片山が一人でここまでできちゃったからねぇ」
ハッと櫻は振り返って、だだっ広いだけの空間を見た。
片山さんだけが……やった? ……真梨がしたんじゃない?




