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男の向いていた左前の先にある小さめのテーブルで、櫻もみんなと食事をいただく。
しかし向かいには不機嫌そうな高菜の頭の上で、極楽そうにしているシルキィのとろけた顔。その左隣では、恐らく寝不足でイライラしている真梨がいる。反対側にはタレ目でだんご鼻、さらには顔の輪郭がゴリラのような短髪の男が、目元に影を作って落ち込みっぱなしでいる。
……むしろ親睦会と真逆な状況だから、なんだか恐縮してしまうが、気になることがある。
しかしどうすればいいか分からない。分からない。だから思わず手を上げてしまった。
しばらく間が空いて、右隣の藤谷と、男から苦笑いされたが、何とか訊くことができた。
食材のことを訊いた。その時まで、みんなで自宅から集めてきたものなのかと思っていたが、実は再現化された本心で再現化したものだった。手がかりは記憶で、その記憶はあらゆるものと繋がっている。食材そのものにも記憶がある。大量のイグズィスティンクスを消費することにはなるが、記憶を抽出することで食材を再現化させた、ということだった。
が、無数の親から受け継がれた無限のエネルギーではあっても、肉体の全細胞内で循環する量が限られているそうだ。供給にも相応の時間が必要らしい。
その説明を聞きながらだったので、櫻は食事が終わるのをすぐに感じた。
そして、男の合図で、作戦会議が始められた。そのついでに男から、東堂茂樹という名前を教えてもらった。その時にちゃんと聞けた東堂の声は、ザラザラしているように聞こえた。
そしてあの、病室から、雑木林での出来事のことを、藤谷がみんなに話し始めた。さらにはその中で藤谷にフォローされてしまった。櫻なりの頑張りが空回りしたことにしてくれたのが、刺さるように辛かった。そんな中、話は、櫻が捕まった後からについてへと移っていた。
その話の中で、あの大一という名が藤谷の弟だと知って、櫻は一瞬呆然とした。衝撃だった。
さらに、実は高菜も、真梨も、東堂もアンチリファードからの脱走者だということ。だから、裏切り者として永遠に隔離するために、アンチリファードから狙われていることも、聞いた。
その時に片山が、待ち合わせていたようにやってきた。
それが合図のように会議が終わると、みんなが準備を始めた。尋ねると、練磨のためらしい。




