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そんな中、藤谷へ顔を向ける高菜が、頭のシルキィを両手で挟み持って胸の前に下ろすと、ぎゅうっと抱きしめる。そして困惑したように眉尻を下げるが、シルキィがじたばたし始めた。
と、高菜と目を合わせる藤谷が、高菜に顔を近づけながら優しく微笑むと、口を開けた。
「シーザーサラダッ!!」
なんと丁度、あの食堂の方から放たれる女のだみ声が被ってきた。
藤谷はその間に口を動かして何かを言っていたが、すぐにやめて、げんなりする。
「…………はぁ…………。とにかく……、櫻によろしくって。ね?」
すると、高菜の目線が櫻へ向いてきた。――が、下がっている眉が、嫌そうに眉根を寄せる。
「……変な気持ちに……こいつのせいなのに……。でも許してやるっ。許してやるから百合姉」
「神様!!」
今まで以上に寂しさと哀愁に満ちただみ声が、食堂の方からまさに腹の底から叫ばれた。
やっぱりさっきからちょくちょく被せてくる女の声だ。
そして凍りついたような間がしばらく続くと、藤谷がイライラしながらため息を吐いた。
「まぁとにかく……こっちきて。夕食食べてってもいいから」
「……え、……いい、の?」
「いいから言ってんのっ。作戦会議のついで! 親睦会もついでの内だからねっ」
その、目線を右の食堂へ向けたままの藤谷の言葉が、思った以上にキツく、大音量だった。
藤谷が出した声だとは思えなくて、櫻は呆然としたが、少しした時にハッとなった。
「あ、えと、そっか。い、いただきます」と言い切ると、iCPCを取ろうと右手をブレザー
「あぶな!」
「でおぅ!」いきなり藤谷に飛びつかれた。抱きしめられながら床へ倒れた。
そうなってからも櫻は大口を開けて目を見開いたまま硬直していた。――本当にまずいのだ。
甘くて、微かで優しくて、女の子らしい心地のいい香りがしている。服の向こう側の硬い筋と作り物のような膜を、左手の平に感じている。何よりも、指の方が、独特の柔らかい感触を受けながら沈み込んでいる。濃厚なクリームを包み込む柔らかい膜に沈み込ませたかのようだ。
そして、指と指の隙間からとろけ落ちてしまいそうに感じるのが、それこそが非常にまずい。――これ以上押しつけると潰れて何かが弾け出てしまうんじゃないか!? とまで思うほどだ。
いっぱいいっぱいだ。目の焦点が合わないままだ。視界もブルブル震えている。
ふと、藤谷の後ろに見える左の壁に窪みを作るほど減り込んでいるみかんに今、気づいた。
――それもかなりやばいと大口を開けた時、藤谷が起き上がったために遮られた。
見間違いではなかった。しかしみかんはそんな器用に減り込むような果物ではない。はずだ。




