三三三三
「つってもねぇ……、アンチリファードには人を殺せる度胸まではないなぁ」
「……その、ことは……もう、思い知りました」
そして櫻は顔を上げると、「あちゃ〰〰」と片山が苦虫を噛み潰したように顔を歪めていた。
「そうなのか? それでならホントにキツイなぁ。…………それでも、頑張ったんだよな? まずったとか言ってらんないね。すまなかったよ」
「いや……僕の方こそです。……申し訳ありません」
「謝らなくていいんだよ。つっても……まぁ、……奴ら、拷問はするだろうからなぁ……」
こんな時にさらりと言ってくるものだから、恐ろしくて堪らなくなってがっくりと俯いた。
と、片山の方から体のどこかを叩かれたらしい音が、まるで制止をされたように聞こえた。
「けーれどその心配もないだろうよ」
ぇえ……? とげんなりしながら、櫻は白目になりそうな感じで目を上げた。
「色々下準備が済んだしね」
「下準備って?」と藤谷が少し驚いたように言って、また口を開いた。
「もうすぐに大一と玲奈を取り戻せるってことなんだよね」
「ちょっと!」藤谷が今度は呆気に取られたように叫んで、急いで口を開けた。
「そんなの聞いてないよ! なんでもっと早く教えてくれなかったの!?」
「ここぞって時に言った方がウソにならないじゃん? やあ元気? おらは片山だよ?」
「……何で最初からやり直したんですか」と櫻は顔を上げた。
「そりゃあ君そっちのけで話進めてたからだぁ。というわけでまー、今のおらの生息地のことなんだけど、アンチリファードにいるからねー」
「えっ!? インプリシットなのになんでですか!?」
「スパーイ。……というか藤谷さんが悪い奴って言ったじゃん? ――そう! このおらさ、アンチリファードに弱みを握られてるってわけなのさ!」
「……なんで威張るんですか。っというか相当危ないじゃないですか」
「まぁおら一番最強だからね。アンチリファードでもかもだけど、おらって一番最強だか――あんだねこらよぉ。今おっさんのくせにちっせぇなーって思ってんだろ」
「また? ……まぁ……小さいってのは少しだけ……」
「あたりだぁ。小さいよ~ぅ? だから省エネなんだよね。ガンガン戦えます」
「はぁ……そうですか……」
「心配すんなよー? みーんなおらをビビってんだ。だからみんなより鍛えててもみんなさー、見て見ぬ振りしてくれんだぁー」そう言って、楽勝とでも言いたげに腕を組んで笑う片山には、確かにどっしりとした雰囲気がある……気はする。
心配したわけではないが、櫻は、確かに大丈夫そうだと思えた。




