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三
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道に出た時に藤谷に追いついたが、後ろ姿が怒っている。それで一層自分に嫌気がさす中、櫻は追いかけるようについていくと、すぐに広大な天然の芝生の広場に出た。
「ヤーマッダー! ヤーマッダー! ヤーマッダー! ヤーマッダー!」
幼くてえげつない声がたくさん聞こえるので左を見ると、広場の外の細い道路で生き倒れをしたようなうつ伏せの男が、男女四人の幼稚園児の乗り物にされていて、その周りにいる八人ほどの、水色のスモックを着ている幼稚園児の男女が名前をコールしている。しかも、先頭の幼稚園児が右手に硬そうな模造剣を握りしめながら、優勝を果たしたプロレスラーのように、両手の拳を天へ突き上げてしたり顔だ。
そして、乗り物にされているというのに、その男があまりかわいそうに見えない。
みんな楽しそうだ。……腹立たしいほど楽しそうだ。
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