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しかし、目元に作られた影から、雫が絶えず落ちている藤谷の口元が、まるで微笑んでいる。
「……それはね、……ありがとう。……嬉しいのは、ウソじゃない」
そう言って、藤谷は頼りなく、しかし立ち上がった。そして地面を擦りながら元来た道へと歩き出した。
「……ごめんなさいっ――!!」
しかし弱々しく、そしてゆっくりと〝がさがさ〟鳴る足音が遠ざかっていくだけだ。
櫻は一度頭を振った。
……自分が許せない。
恐いから言ったなんて、正直に言うことができなかった。
ちくしょうっ。ちくしょうっ!!
……でも、まだ終わったわけじゃないっ。
まだだっ。S.I.X.はまだある。これさえあれば、何かしら一つくらいできるはずだっ。
だから今すぐ、藤谷を追わないと! ――それなのに全身に、これ以上の力を入れられない。
潔くない自分に腹が立つ。いい加減にしろっ、と乱暴に頭を振り続けた。
そしてハーッ!! と息を下へぶちまけて、櫻は藤谷へ駆け出した。




