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 周りの子ども連中はまだ爆笑している。そして、藤谷(ふじたに)の髪を引っ張り上げる手が離された。

 だから藤谷は(ひざ)をついて、座り込むが、全ての力が抜けたかのように、ダラリと俯いた。

 しかも女の子(たれめ)がセーラーパーカーのジップから手を離しながら素早く近寄ってきた。

 え? と思った時には、腰の辺りに抱き()められている感覚がある。

 (おう)は下を見ると、女の子(たれめ)に抱き締められている。

 その力が強い。まさに心から抱き締めてきている。

「ありがとうございます」

 今までの、軽蔑(けいべつ)でしかない勝気の声とは打って変わって、甘ったるい声だ。

「決心してくれて、本当にありがとうございます」

 しかも、心の底から嬉しそうな笑顔で見上げてきている。

 ――心の底から感謝されている。

「あのまま何も言ってくれなかったらと思うと、身の毛がよだつほどです。あれ以上のことをさせないでくれて、本当に助かりました。……そして、ごめんなさい」

 ガクッ、と不快にくずおれてしまいそうになった。目眩(めまい)のように視界もブレた。

「本当は藤谷百合奈(ふじたにゆりな)の言う通りです。本当に、殺したらもったいないんです。抵抗されるなら四肢を切断して持って帰れば済みますから。……それに、あれ以上する気もありませんでした」

 不気味な鳥肌に(おそ)われる。歯がガチガチなるほど、寒気に襲われる。

「だから、感謝の形です。一週間でいいですよ。猶予(ゆうよ)をあげます。……あまりにいきなりでしたし、勝手が過ぎましたから」

 ……なんなんだ、こいつ。

「受け取るしかないですよね? でなきゃ、みんなに謝ることすらできないんですから」

 なんなんだこいつ。信じられない。なんなんだっ。ふざけやがってっ!!

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