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「なら私を言い負かしてみせてよね。それもできねぇくせに偉そうにしないでください!! こっちはね、再現化された本心(ルニ・オーソナー)空間移動(かんどう)して、時間を無視して(きた)えてます。要は何日、何年経とうが、ゼロ()秒なの。その時間の分、未来が決まっちゃいますけど間動(かんどう)した時に戻れるんです」

 え……? と(おう)は呆然とした。まるで不意を突かれた。怒りがどこかへすっ飛んでいた。

 一度、それをやって、成功して、興奮して、感動したことがあるのだ。その時はやることを思い出してすぐに現実に戻ったが、確かに時間は、最初に間動した時から動き出した。

 そして、いつかに聞いたこともある。それは、ルニ・オーソナーで過ごした時間の分の未来が決まってしまう代わりに、自分の中(ルニ・オーソナー)寿命(じかん)を自在に操れるということだ。

「しかもです、藤谷百合奈(ふじたにゆりな)さん。というかインプリシットです。私たちに何度も()ね返されて、逃げ回ってんですよね? もう何回目になるんだろーなー」

「……そうだからっ、……櫻をっ、(あきら)めろってわけ!?」

「そういうことです、大竹櫻(おおたけおう)! ここは藤谷百合奈のために、(おとこ)を見せたらどうですか?」

 ――藤谷に左手の(そで)を思いっきり(にぎ)()められた。

 ハッとして櫻は藤谷を見るとちょうど藤谷も顔を向けてきた。本気で真剣だ。眉根(まゆね)をきつく寄せて、必死な眼差(まなざ)しを向けられて、袖を握る手の力は、死んでも離さないと言わんばかりだ。

「行かないでっ!! 思い出してっ。殺せないのっ。殺しちゃったらもったいないんだよっ!」

「本当に殺さないとでも思ってんですか?」

 電撃音とガラスの破砕音(はさいおん)が一斉に鳴ったかのような銃声がして、藤谷の袖を握る手が一気に離れた。血色(せんけつ)。藤谷が右肩と右胸を貫かれた。藤谷が自分を抱え込むように(ひざ)からくずおれた。

 しかし藤谷の後ろから短髪の男の子が、藤谷の髪を鷲掴(わしづか)みにして、後ろへ引っ張り上げた。

 しかも女の子(たれめ)まで、(こっち)と向かい合うように藤谷の斜め前にくると、ハンドガンを握る左手を少し曲げた膝に乗せて、見せつけるように藤谷の胸倉を(つか)むから、セーラーパーカーの首元にシワができた。

「右胸にも当たっちめんたなんて(おどろ)きです。……別にいいですけど」と女の子(たれめ)が少し予想外な感じで言ったが、まさに試してきている笑みを浮かべてくる。

 ――櫻は今まで呼吸を忘れていた。そして知らない内に目を見開いていたことにも気づいた。

「もし藤谷百合奈がこのまま、こんな大勢の中で無理やり脱がされたら、先輩が黙ってんのがいけないんですよ? 乱れた姿。私たちは見てもいいんですけど、先輩は見たくないでしょ?」

 そう言いながら女の子(たれめ)が、セーラーパーカーのジップに手をかけた。

 しかも、周りの連中がくすくすと、まさに嘲笑(あざわら)い出した。

「あっ、そーです。そういえば藤谷百合奈さん、実の父親と経験があるんでした。……まぁ、父親に無理やり脱がされたから、カウントされないかな……。けど、ウソじゃないですよ?」

 そう言いながら女の子(たれめ)がジップを少しだけ下げて止めたのが見えたが、櫻は分からなかった。

 ――女の子(こいつ)が何を言ったのか分からなかった。

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