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切実に思うが、魔法使いの空間じゃないんだから叶うわけないだろと余計、不愉快になった。
本当に不愉快だ。こうなったのは、無理やり借りを作らされたためになっただけではない。
藤谷の推測は、小学生の頃、カウンセリングでお世話になった時点で実現していたのだ。
病室でもそう脅された。その時からはまっているんだと。もう個人情報を掌握されている。意識を取り戻す前から、アンチリファードの子ども連中に囲まれていたことまで、言われた。
しかもそうやって脅された時に、女の子から、見逃してやれるほどの余裕まで見せられた。『あのまま入院している中で、先輩の身の回りの人たちを洗ってその人から狙っていくつもりでもあったんですよ? どうです。まず先輩が先にこうなってよかったと思いません? 自分のせいで周りを巻き込んだみたいな気持ちで、苦しむことにならないで済むんですから』と。
さらにこの石の道の両側には、鬱蒼とした雑木林が長く続いている。
この道のあるエリアが、森林の中を通るような舗装された道なのを知っていて、把握もしているとはいえ、雑木林の中でまでお世話になった覚えはない。
――しかし途中で雑木林の中に入るよう命令された。
きっと逃げられない。右隣の藤谷と一緒でも逃げられないんだろう。それでも行くしかない。命令に従って、薄暗い森の中を入って、奥まで歩いていく。敷き詰められた落ち葉の上を歩くからザゥザスザチッザス、というような音が立つ。落ち葉とともに落ちている枝も踏んでいる。
歩く。歩く。踏んでいる。踏んでいるし、踏んでいく。踏んでいく。歩く。歩く。
……いつまで歩かされんだよ、と櫻は次第に腹が立ってき
「はーいっ、お待ちどうさまでーす。カウントダウンだよワンツースリィ!」
早いんだよカウントが、と櫻は胸中で舌打ちしたがまだ何も起きていない。後ろで得意げに言い切ったくせに何も起き――起きた。目眩がしたかのように視界がブレたが、すぐに治った。
突然四方八方からがさがさと足音がし始めた。そして、まるで忍者が木の影から現れたかのようなさりげなさで、まるで無数のプルオーバーパーカーの集団が現れて、――囲まれている。
しかもみんな子どもだ。男の子と女の子だ。シールド付のライフルも、みんなが持っている。
左へ見渡しながらそれが分かっていく中で藤谷の、まるで体が後ろを向いているかのような手に右腕を掴まれた。ハッとそれを見るとやっぱり藤谷が後ろを向いているから、身を翻した。
目の前で銃を下ろした女の子と対峙するが、その女の子がじとー、とニヤついている。




