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サン!

 メールの方は、とふと思って、(おう)は最初の、美喜(みき)の未読メールに視線を向けると、開かれた。『死なないよね? 絶対に元気になって!』と、(ひど)く心配させてしまっていた。その次は祐樹(ゆうき)の未読メールだった。こんなことになるとは思わなかったが、ごめん、という感じで謝られた。

 ――その次が、肝心(かんじん)藤谷(ふじたに)からのメールだった。しかし昨日の十時頃にきたものらしい。

『私たちはみんな無事だったよ。櫻も無事だって私も信じてる。元気になって帰ってきてね』という言葉をもらった時、(おう)は、体中が溶け出したかとも思えるほどの脱力感に(おそ)われた。

 きっと、現実(こっち)の方の藤谷だと察せられた。ただ、独似()三次元()空間()の記憶は覚えているのかもしれない。――でも、無事なんだ。あっちの方が現実になってなくて、本当によかったっ。

 次からの二通は親からのものだった。その内容を見て、一番心配をかけたのを再実感した。ただ、美喜たちと遊んでいる途中でいきなり倒れた、ということになっているようだった。

 その次の幸生(こうき)のメールは驚きばかりだったし、全部が真剣だった。美喜たち以上に心配する気持ちはストレートだった。

 ――まさに本能的に胸中(きょうちゅう)で、腹の底から、ごめんなさい、と言い続けていた。

 そして漠然(ばくぜん)とだが、思い出されている。

 はっきり思い出そうとすると分からなくなりそうだが、そうしなくてももう分かっている。

 美喜たちが肩を貸してくれているのを忘れるほど、みんなの優しさに甘えていた。

 その優しさの目的は、僕が立ち上がれた時だ。――それを忘れていたのが悔しい。

 それでも、生きて帰ってこられたことが、腹の底から嬉しいっ。

 動かなければ気が済まない。そのきっかけをくれた藤谷がありがたいんだっ!

 こんな自分だけど、ここまで生きてこれてよかった。これからも生きていけるのが嬉しい。

 今までも生きてこられた。だからなのだろう。ちゃんと受け入れてくれる人たちに出会えた。

 生きることを(あきら)めないで、()え忍びながら生きて、動いてきて、本当によかったっ!

 ――そのことも思い出せた。思い出せた! 腹の底から嬉しくてたまらないっ。

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