22222222
「大丈夫、だよ」と唐突に藤谷に言われて、続いた。
「今、櫻の背中に、何も動けない、丁度そこから、止まることしかできない、仕切りがあるの」
「……止まる……しか?」――仕切り? じゃあ急に止まったのは、そこにぶつかったから?
しかし、藤谷はそれ以上話さなくなった。
と、噴出音が激しくなるとともに、落下速度が落ちていく。
櫻はできる限り顔を下ろして、目を落とすと、まさに高層ビル並の瓦礫の山の頂上が、――長方形の岩が近い。すぐにそこへ、藤谷と着地した。
突然背中に回された藤谷の両腕がストンと落ちたのを感じた時、力なく寄りかかってきた。さらに藤谷の息遣いが危なっかしい。酷く苦痛そうだ。――櫻は強烈な危機感に襲われた。
「……ごめんね。なんかもう、力入らなくて……、お願い、このままでいさせて」
藤谷のかすれた声も、囁いたようにしか聞こえないほどまで小さくなっていた。柔らかくもない。あまりにも弱々しかった。――今こそ本当に藤谷がまずい!
「そ、それくらい構わないよっ。というか……ごめん。……これくらいのことしかできなくて」
「そんなこと、ないよ。私は大丈夫だから。……もう、終わるから」
「……え? 終わる?」
「うん。……もう、大丈夫だよ。……多分、もう少しでちゃんと、元に戻れるから……」
藤谷が絞り出した声でそう言ったが、微かに嬉しそうでもあった。
その嬉しそうな感じが、痛みのように一層、心を打つほどのものだった。
櫻は視界を上下に潰すように目元を力んだ。――涙が目に溜まって、少しだけ溢れ出てくる。
「それに、」と藤谷が言って、続いた。
「元に戻りたいと願えば……さっきの、戦ったこととか全部、眠ってる時に見る、夢のようになって、……知らない、内に……忘れている、ようになるよ……」
え? と櫻は思った。「そんなばかな」――いや違う。忘れていた。蓮司の言葉が蘇った。空間創造されたのは現実空間の特定範囲でコピーだ。自分の知っている現実とは違うんだった。
「――いや、ばかな、だ。新空間でも現実だろ?」
「確かにそう、だけど……今、現実が、二つあるの」
柔らかい感じに戻ってきた藤谷の声が、確かに、理解に苦しむことを言った。
……そう思う方がおかしいと櫻は思った。そうだ。ここはすでに現実空間のコピーだ。現実だってコピーされていても不思議じゃない。理解に苦しんでいる方がおかしい気がする。
「現実をコピーした、空間と、空間移動する、前にいた現実空間、には、二人の私と櫻がいる。その……二つの空間は、二人三脚で動いてるの」
「ぼ、僕が……藤谷も、二人? というか二人三……って、一緒に、同時進行ってこと?」
「うん。……その、こっちの空間は、独似三次元空間って、いって……再現化された本心と、現実を混ぜた……ようにして、……現実を、再現化させたもの、なの……」
「ど、くじ、三次元空間……?」
名前以上に、ここが再現化された本心とも関わっていることが、櫻はショックだった。




