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突然右から体当たりを食らった。
飛ばされて、床を転がる。――氷の床にいるのに、地面を擦るように滑らずに済んでいる。すぐに止まることもできた。うつ伏せ状態から立ち上がりながら藤谷を見ると、藤谷が蓮司の後頭部の前で、右腕のライフルから長ナイフのように伸びるそれを振り上げて、力んで、まさに躊躇っている。
躊躇っている。
躊躇って、――何をする気なんだ?
と、藤谷が、肩が揺れるほど一気に息を吸い込んだ。
「っ!! ぁあああああああああああああああああああああああああッ――――――――!!」
長ナイフのようなそれが体重ごと下ろされる。
むごい音とともに、わずかな桜色の雫が噴き上がった。
蓮司の後頭部に深く減り込んでいるものがある。
……櫻は信じられなかった。
ふと、藤谷が蓮司に、殺すからと言ったのが思い出された。
――本当に殺すなんて、思いもしなかった。
「っ、……櫻、……が……、っ」藤谷が、息のつまっているような声で言って、また口を開けた。
「櫻が、やることじゃないよ……。櫻、なんだから……。ここまでっ、……小学校の時からっ、がんばってきたんだからっ……」
「……違う。殺す気、なんか……ただ、同じほどの痛みを、思い知らせたかった、だけで……」
「……ご、めん。……私の……したこと、こそ……。けど、ねっ、……これはっ、蓮司の妹から、頼」
バンッ!! と視界の左端で、白い氷の床を大きく減り込ませるほど、何かが跳び上がった。




