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 ――(あわ)蒼白(あおじろ)(かすみ)の、上昇する速度も一緒に増していくように見え始めた。背中から(かす)かに聞こえる固い噴出音の音高(ピッチ)が、高くなっていっているような気もした。背中を押される感覚が増していく。体が前へと動いている。蓮司(れんじ)を押し返している。勢いが増している。

 強烈な白い(まぶ)しさに()まれそうな両腕もついに呑み込まれたほど、眩しさが増す。

 太刀(たち)も、両腕の全体も後押ししてくれる感覚。背中を後押ししてくれる感覚と同じ感覚(それ)だ。

 全てがまるで叫んだ勢いに呼応してくれているかのようだ。

模擬(もぎ)戦用のくせにっ。調子こいてぇえッ!!」蓮司の()めたような声がして、続いた。

「俺らのためにだ!! お前が死ねぇえええ!!」――その叫びに呼応(こおう)したかのように、蓮司の力が一気に、急激に増し始めた。両腕を右下へ動かされていく。押し返されている。

 まずいっ、と(おう)は危機を感じるや(いな)咄嗟(とっさ)に飛び退()いた。

 一気に視界が晴れる。細める両目を全開にした時、右へ振り下ろされたレイピアを見た。

 櫻は右足を後ろに着いて止まった。蓮司の右手が返されながら左足の方へ引かれていく。

 ――左上への逆袈裟斬(ぎゃくけさぎ)り。予感して、櫻は左足を後ろ足にした。

 左上へ走り出した刃。――しかし右膝(みぎひざ)を左上へ持ち上げて、スケート靴の(ブレード)で受け止めた。

「なにぃ!?」その驚愕(きょうがく)を聞きながら、櫻は目の前で粉々に砕け散った(ブレード)の破片たちを見た。

 そして受けた勢いに乗る。反時計回りで背を向けて、右足を勢いよく氷に押しつける。

 すかさず左足の後ろ()りで(ブレード)をぶつけたが、銃身(バレル)のようなナックルガードで防がれた。(しも)()み砕いたような感覚がした時、(ブレード)がまるで(けず)られたように砕け散ったのを見た。

 ただ、蓮司を()り飛ばすことができていた。

「お前の願いがっ、ここまで届いてっ――!?」

 目を見開いて、歯を食いしばりながら苛立(いらだ)たしくそう言った蓮司が、まさに(ひる)んでいる。

 その(すき)に櫻は、蓮司を追いかける。そして、背中のところどころを押される感覚を抱いた。一瞬で蓮司に追いつく。だから体を右へ限界まで(ひね)って、ナックルガードで左頬をぶん(なぐ)った。

 ――まさに(おの)の刃だというのに、殴り飛ばした感覚だった。蓮司の顔面が左下を向いている。

 と、蓮司が(こっち)へ顔を上げてきながらレイピアの切っ先を、突き出そうとする気配がしたから(おう)は、左下へ伸びる太刀を右上へ強振すると、突き出してきたレイピアの剣身を、鉄パイプでガラスを割ったような一瞬で、粉砕した。――同時に、蓮司の目がひん()かれる。

 そんな蓮司の前髪を左手で(つか)んで引き寄せながら櫻は、後頭部を柄頭(つかがしら)で叩きつけた。蓮司が叩きつけられるがまま氷の床でうつ()せになる。だからナックルガードで後頭部を殴打(おうだ)した。

 殴打して、殴打する。

 殴る。殴る。殴り続ける。

 痛いだろっ。痛いんだよっ! 思い知れっ!! そして二度と近寄ってくんなぁあああっ!!

 何度も殴る。何度も殴る。殴って殴って殴り続ける。

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