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全力疾走する中で何かが背中から噴出されている。重低音が割れたかのような固い噴出音が厳しく響いてくる。両側の肩甲骨にも、そして両腰の下と、背骨全体にも、後押しを受ける。
そんな中、蓮司から、電撃音とガラスの破砕音が一斉に鳴ったかのような銃撃音が、連続で鳴り出した。一つの星の光のように小さくて蒼白い光が一気に拡大したように煌き続けてくるが、周囲を何度も、まさに光速で過っていく。ただ、その光は、次第に櫻に集中してきた。
右耳右腰左肘上みぞおち――全身に畳みかけられる。畳みかけられる。激痛まで感じ始めた。
想像もしなかった。目を剥いた。死の恐怖まで抱いた。――でも今度は僕が克つんだっ!
自然と涙が溢れ出てきながら――だが、蹴り続けるのをやめたくない。
もう藤谷にこれ以上させたくないんだっ。させてしまえば僕だけになるかもしれないんだっ。
そうだっ。戦うことだけを考えろっ。
そうやって自分に打ち込む。吐きそうになりながらも蹴り続ける。全身に全力を込める。
唐突に左目にも強烈な鈍痛を食らった。右膝にも左腿にも食らって、前のめりにバランスを崩した。左頬を白い氷の床にぶつけて滑っていく。が、擦られる音が鳴るだけで、痛みはない。
だから顔を上げると、今度は顎に若干の刺激痛を抱く。抱きながらも、四肢がもつれながらも櫻は、何としてでも立ち上がろうともがいて、立ち上がった。
「ぅゔおおおおおおおああああああ!!」諸々の痛みと邪魔な感情を隅っこに追いやりたくて、目を剥くほど吠え続ける。「――ああああああああああああああああああああああ!!」
急に背中からの後押しが強くなり過ぎたから、グワンと速度が急激に上がった。
その加速を感じながら、全力疾走まで超えた。――低空飛行。
この時も突然、淡く蒼白い一閃たちが両側を塞ぐように、後ろから過っていく。
櫻は自分と蓮司を囲んでいるような気がした。きっとこれは藤谷からのものだとも思った。
ついに距離を数メートルほどまで詰めた。櫻は蓮司を睨みながら太刀を大きく振りかぶる。
追い詰められた風な表情に変わった蓮司も、ハンドガンを全力で投げようとするように振りかぶりながら、一瞬でレイピアへ変形させた。さらには目を見開きながら笑って大口を開けた。
「所詮はその場のォ!!」その叫びを聞いた時には目前に迫った。櫻は太刀を左下へ強振する。――氷塊がけたたましく削られているかのような激突音が爆発し出した。
その激突音がやまない。服の下の皮膚まで裂かんとするほどの激しい衝撃にも襲われている。白い眩しさも強烈だ。櫻は目元を力みながら目を細めた。ただ、その眩しさは、藤谷と蓮司の背中や足から何度も見た、淡く蒼白い霞だ。さらには上昇していっているように見える。
その手前に焼鉄色の刀身があるのも、微かに見える。
と、鍔の辺りから両手の中の柄にヒビが入る振動を感じた気がした。なのに刀身にはヒビが入っていないように見える。分からない。分からないが、とてつもない危機感に襲われた。
――いや、傷ついたって無駄にはならないっ。少しでもこっちに意識を向けさせて、余裕をなくさせれば、二人で生き残れる可能性が絶対に広がるっ!
唇の裏側で食いしばる歯が剥き出しになるほど腹の底から、櫻はそう思った。
「くたばれぇええええええッ!!」腹の底から斬り下ろす力を増していく。




