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 電撃音とガラスの破砕音(はさいおん)が一斉に鳴ったかのような銃撃音(じゅうげきおん)の連続が、左奥から近づいてくる。それに気づいて、(おう)は顔を上げた。

 後ろ向きで(すべ)ってきた藤谷(ふじたに)が櫻の右の方へ移った。そしてかなり左奥の宙を飛ぶ蓮司の前へ(あわ)蒼白(あおじろ)い一閃を連射している。まるで左上へ流れる防護柵(ぼうごさく)を形作ってくれていた。

 と、藤谷がそれをやめたが早いか蓮司へ一直線に()び上がった。急接近して、斬りかかる。――氷塊(ひょうかい)がけたたましく(けず)られているかのような激突音。つばぜり合いになった。が、互いが後ろへ(はじ)かれた。それでスケートリンクへ着氷(ちゃくひょう)しても、藤谷は蓮司へ跳び上がった。

 藤谷が顔と胸を(おお)うように蓮司へシールドを向けるが、蓮司による連射を食らっていく。

 藤谷の両のシールドが砕けていく。しかしその内側にも、小型のシールドがあった。

 さらには押し返されてしまって、藤谷が膝を曲げて着氷した。

 それでも藤谷は弾き飛んだように蓮司へ()んで()りかかる。また弾き返されて、また蓮司の連射で撃たれた一閃たちに体全体を押されて、着氷しても、()ね返っていく。迫りくるものを避けずに食らいながら、まさに何としてでも食らいつこうと斬りかかる。斬りかかり続ける。

 藤谷のかすかな表情が見える。――口がわずかにへの字に(ゆが)められるほど、口が結ばれて、眉根(まゆね)が寄せられている。双眸(そうぼう)も、眼差(まなざ)しも、向けられた者を射貫(いぬ)かんとするほど真っすぐだ。夜道の猫が光沢(こうたく)のように光らす目のように、そして(あわ)蒼白(あおじろ)く光っているように見える。

 何よりも、落ち着いている。落ち着いている、その様子が逆に(こわ)い。殺気と恐怖と、喉元(のどもと)に切っ先を突きつけられているかのような、生命(いのち)の危機を感じさせられる。

 ――藤谷がそんなにまでなっている。櫻は知らない内に眉根を寄せ上げていた。目の辺りを力みながら目を細めていた。もう()(たま)れない。僕も戦えたらっ。そっちに行けたらっ!!

 そんな中で、()ね返された藤谷がまた、しかし後ろにもつれたように(かが)んで着氷した。と、蓮司の背中から重低音が割れたような噴出音(ふんしゅつおん)。蒼白い霞の(ヘキサグラム)。藤谷へ急接近し始めた。

 蓮司のカラス色ハンドガンが一瞬で変形を終えると、そのレイピアが藤谷へ振り下ろされる。

 藤谷が(かろ)うじて(こっち)に向かって避けると、右腕を引きながら蓮司へ駆け出した。そして蓮司の寸前で右のライフルの刃を突き出した。――当たりどころが悪かったように弾かれる音。

 櫻はゾ、と嫌な予感を抱いた。その時には蓮司の左手が、藤谷の右腕を外へ押した。そして目にも留まらないバック宙をしながら、高く跳び上がった。金属を切り裂いたかのような音もした。藤谷の左肩越しで、(たて)一線の光も一瞬(きらめ)いた。その光を追うように、桜色の少量の点線も()()がった。それは奥への()(えが)いていた。

 後ろ姿の藤谷の両足が少しだけ浮いて、意識が飛んだかのように、仰向(あおむ)けに倒れ――そうになったがすぐさま前かがみ気味に着氷して、持ち(こた)えた。

 ――櫻の頭の中で何が弾けた。視界が一瞬激しくブレた。まるで引っ(ぱた)かれた時のように。

「死なないでくれッ、藤谷ぃいいいい!!」思わず目をきつく閉めるほど叫んでいた。

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