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纏う全てを引き裂かんばかりに凄まじい。――なのに、それ以上酷くなるとは思えない。が、安心できない不思議な感覚だ。そして目蓋の裏が朱く見えるほど眩しい。だから、そっと目を開ける。両腕の隙間から射し込んでくる白い眩しさを目に、腕時計を握る右手も左手もどける。
――目を見張って、両腕を下ろして、櫻は呼吸をしている自覚を忘れた。
藤谷が右のライフルを突き出して、力いっぱい押しているそのライフルの刃と、蓮司の右手が逆手に握って、刃を斜め上へ伸ばしているカラス色レイピアとのつばぜり合い。淡く蒼白い霞が、藤谷の右のライフルの、シールドの後ろから――いや、右腕全体から噴出されていて、カーテンが強風で激しくはためくように揺れている。
藤谷の踏み締める両足からも蒼白い霞が噴出されている。そのために白い氷の床が削られて、それで現れる無数の、氷の欠片の吹雪が、大きな放物線を描いて追い出されている。
それ以上に、――今まで見てきた現象以上に、つばぜり合いの境目から、粉雪のような無数の欠片が強烈な隙間風のように、放射状に爆散している。
強烈な眩しさを伴う光を放射状に放つ、昼の太陽ようだ。――それなのに、眩しく感じない。
その、放射光のような吹雪からも、淡く蒼白く粒子状の欠片が、零れ落ちたように拡散している。四時の夜空の鮮やかな星々の輝きのようだ。――それも、あんなに激しく輝いているというのに眩しくない。そして解れたコットンの繊維が水に漂うように、広がって消えていく。
――やっぱり〝アノゥル〟の世界みたいだ。そこは、一昨年の夏頃に連載が始まった漫画のフィクション。……それなのに櫻は、その世界にいるような感じを抱いてしまう。
「ィヒャハーッ、こんな小細工! 自らに毒を打ちこんで自殺行為までするほどのことか!?」
「そうしてでも蓮司にさせたくないだけだあ!」
「アッハッハッハ! 偽善だ偽善だぜ目の前の偽善者ァ!! 今こそ葬ってやるぜッ!!」
「私は蓮司に限界を感じていないのにっ。我慢の限界だって!!」
蓮司が叫んで、藤谷が叫び返していた。
櫻はそれだけしか分からない。それが、自分でもよく分からない。激突音がけたたましいというのにまた、声が聞こえたのが、信じられないからなのかもしれない。
――それ以上に、暴風と一緒に襲いかかってくるいくつかの氷の破片に気を取られてしまう。
さっきと違うのだ。おかしいのだ。特に顔の皮膚にも当たってきているのに、平気なのだ。刺さる痛みをなぜか感じないし、痛みに近い、響く感覚もない。厚い服の上に雫が落ちてきたかのような微かな当たりだけで済んでいる。だから、両腕で顔を覆わなくても平気でいられる。
『ドライブPG〝OH_OTAKE〟との接続を完了』
突然何かが思いついたかのような思考の声が、確かにその声が脳裏に響いてきた。




